平成29年4月号のレポートを掲載しました。

(株)中部衛生検査センター
 学術顧問
森田邦雄

1 蜂蜜を原因とする乳児ボツリヌス症による死亡事案について事務連絡

平成29年4月7日、厚生労働省は医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部監視安全課名をもって各都道府県等衛生主管部(局)宛標記事務連絡を出した。 主な内容は次のとおり。 乳児ボツリヌス症の予防対策については、昭和62年10月20日付け健医感第71号、衛食第170号、衛乳第53号、児母衛第29号「乳児ボツリヌス症の予防対策について」により通知しているところです。 今般、別添のとおり、東京都足立区において、乳児に対し離乳食としてジュースに蜂蜜を混ぜて与えたことによる乳児ボツリヌス症による死亡事案が発生したことから、情報提供するとともに、改めて1歳未満の乳児に蜂蜜を与えないよう関係事業者及び消費者に対し注意喚起を行うようお願いします。 なお、本事案については、製品に1歳未満の乳児に与えない旨の表示がなされていたことを申し添えます。 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000161263.pdf2 平成28年度食品表示に関する消費者意向調査報告書公表 平成29年4月11日、消費者庁食品表示企画課は標記報告書を公表した。 その主な内容は次のとおり。 (1) 調査の目的 消費者の食品表示制度に対する理解度等を調査し、その結果を分析することで、食品表示法等の関係法令やガイドライン等の定着状況を把握するとともに、消費者の食品表示に対するニーズを把握し、食品表示制度の見直しに役立てることを目的とする。 (2) 調査対象者(有効回答数と標本数) 回収数 有効回答数 有効回答率 標本数 16,949 12,691 74.9% 10,648 (3) 調査内容の概要 食品表示制度等の理解・活用状況 ・栄養表示、アレルゲン表示、原材料・添加物表示、製造所固有記号等の理解・活用状況(製造所固有記号届出データベースの活用状況を含む。) ・特別用途食品の表示方法の理解・活用状況 ・外食・中食のアレルゲン情報提供の認知・活用状況 http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/research/2016/pdf/information_research_170411_0001.pdf http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/research/2016/pdf/information_research_170411_0002.pdf http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/research/2016/pdf/information_research_170411_0003.pdf3 有毒植物による食中毒防止の徹底について通知 平成29年4月13日、厚生労働省は医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部監視安全課長名をもって各都道府県等衛生主管部(局)長宛標記通知を出した。 その内容は次のとおり。 毎年、特に春先から初夏にかけて、有毒植物を食用の植物と誤って喫食したことによる食中毒が多く発生しています。平成28年には事件数35件、患者数119名(内、死亡者4名)が報告されており、高齢者の事例が高い割合を占めています。 つきましては、各都道府県等におかれては、食用と確実に判断できない植物については、絶対に「採らない」、「食べない」、「売らない」、「人にあげない」よう、地域広報誌等、高齢者の目にもとまりやすい各種メディアの活用や、高齢者施設等の関係団体を通じ、継続的に消費者に注意喚起を行うようお願いします。また、農産物直売所等で販売されていた山菜や野菜に有毒植物が混じっていたことが明らかとなった事例も複数報告されていることから、必要に応じ、農林部局等関係部局とも連携し、事業者に対する監視指導を行うようお願いします。 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000161691.pdf4 安全性審査済の遺伝子組換え食品の検査法の標準化報告書公表 平成29年4月26日、消費者庁は 高度加工食品からのDNA検出の検討に関する標記報告書を公表した。 その主な内容は次のとおり。 (1) 目的 我が国においては、安全性審査済み遺伝子組換え(GM)食品の中で、しょうゆ、コーンフレーク、デキストリン、液糖、植物油(大豆油、コーン油、なたね油及び綿実油)、てん菜を主な原料とする砂糖及び水飴(本研究ではこれらを総称して「高度加工食品」と呼ぶ。)はGM表示不要の品目となっている。これらがGM表示不要となった背景は、平成11年7月に発表された「遺伝子組換え食品部会における技術的検討のための小委員会報告(平成11年報告)」にある。つまり、平成11年報告では、これらの高度加工食品からDNAの検出ができなかったためである。平成11年報告において、加工食品試料からのDNA抽出にはCTAB法(DNAの検出には通常のPCRにより増幅した断片をアガロースゲル電気泳動にて分析する方法)が用いられていた。しかし、近年主流となっているDNA精製キットやリアルタイムPCRを用いることにより、当時GM表示不要と判断された高度加工食品からDNA検出できる可能性が考えられた。そこで本研究では、GM食品の検査に使用されているDNA精製キットを用い、リアルタイムPCRによる高度加工食品からのDNA検出を試みた。 (2) 試料 しょうゆ20製品はしょうゆ情報センターを通して入手した。コーンフレーク5製品、デキストリン6製品、液糖4製品、穀物酢3製品、植物油16製品、てん菜糖8製品、水飴7製品は、スーパーマーケット又はインターネットを通して入手した。 (3) 結果 ●コーンフレークは、5商品全てでDNAの検出が可能。 ●デキストリン及びデキストリンを原材料に含む加工食品は、6商品中1商品のみDNAの検出が可能であったが、残り5商品はDNAの検出が不可能。 ●その他の商品はDNAの検出が不可能。 概要 http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/research/2016/pdf/information_research_170426_0008.pdf 報告書 http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/research/2016/pdf/information_research_170426_0009.pdf