「食品衛生行政」国の動き 2020(令和2)年9月

(株)中部衛生検査センター 学術顧問
森田邦雄

1「食品安全総合情報システム」公表

 令和2年9月11日、食品安全委員会が公表した標記システムに次の記事が掲載されている。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/search?keyword=%EF%BC%AC%EF%BC%A4%EF%BC%95%EF%BC%90&query=&logic=and&calendar=japanese&year=&from=struct&from_year=2020&from_month=08&from_day=15&to=struct&to_year=2020&to_month=08&to_day=28&areaId=00&countryId=000&informationSourceId=0000&max=100&sort_order=date.desc

 米国疾病管理予防センター(CDC)は8月、桃に関連した複数州にわたるサルモネラ属菌集団感染に関する情報(初報8月19日、続報8月21日、24日及び27日)を公表した。
 概要は、以下のとおり。

1. CDC、複数州の公衆衛生及び規制当局、カナダ並びに米国食品医薬品庁(FDA)は、桃に関連した複数州にわたるSalmonella Enteritidisの集団感染に関して調査を行っている。

2. 2020年8月27日時点で、S. Enteritidis集団感染株の感染者が78人、12州(ミネソタ州、ミシガン州、ニューヨーク州、アイオワ州他)から報告されている。

3. 発症日は2020年6月29日から8月3日まで、患者の年齢は1歳から92歳、年齢中央値は44歳である。患者の64%が女性である。情報の得られた67人のうち、23人の入院が報告されている。死亡者の報告はない。

4. 患者から分離された32菌株の全ゲノムシークエンス解析(WGS)では、どの薬剤耐性も予測されなかった。CDCの全米薬剤耐性監視システム(NARMS)検査機関による標準薬剤感受性試験法を用いた臨床分離株の試験が実施中である。

5. 疫学的なエビデンスによって、桃が当該集団感染の原因である可能性が高いことが示されている。Prima Wawona社(Wawona Packing Company LLC)によって包装あるいは供給された、汚染した桃を販売した可能性のある他の小売業者を特定するために当該調査は進行中である。

6. WGSによって、カナダでのS. Enteritidis集団感染は米国の当該集団感染と(その原因株が)遺伝的に関連していることが示されている。8月23日、カナダ当局は自国の同菌による集団感染について米国から輸入された桃に関連付けた。

7. Prima Wawona社あるいはWawona Packing Company LLCによって包装・供給され、リコール対象となっているばら売り又は袋入りの桃、あるいはこれらの桃を使って作られたリコール対象の食品(「ピーチサルサ」等)を、喫食、提供、販売しないこと。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu05440230104

2 令和2年度食品ロス削減月間について

 令和2年9月25日、消費者庁、農林水産省及び環境省は連名で標記プレスリリースを行った。
 これは、令和元年10月1日に施行された「食品ロスの削減の推進に関する法律」(略称 食品ロス削減推進法)において、10月は「食品ロス削減月間」、10月30日は「食品ロス削減の日」とされていることから(法第9条)、令和2年度の食品ロス削減月間において、各省が共同して、食品ロスの削減に向けた取組についての集中的な普及・啓発に取り組むものである。

https://www.caa.go.jp/notice/assets/consumer_education_cms201_1.pdf

3 毒キノコによる食中毒に注意!

 令和2年9月25日、消費者庁は標記プレスリリースを行った。その主な内容は、次のとおり。

 秋の味覚としてキノコを楽しみにしている方もいると思います。キノコ狩りに行く方もいるのではないでしょうか。
 野生のキノコを原因とする食中毒は毎年発生しており、死者も出ています。特に9月から11月にかけて、多く発生しています。楽しい思い出を台無しにしないためにも、食中毒に十分気を付けましょう。

<ポイント>
キノコによる食中毒は、食用のキノコと外見がよく似た毒キノコを誤って食べてしまうことが主な原因です。
 知らないキノコは絶対に「採らない」「食べない」「売らない」「人にあげない」!
 「茎が縦に裂けるキノコは食べられる」、「毒キノコは派手な色をしている」等の言い伝えは誤りです。
 体調に異常を感じたら、直ちに医療機関を受診しましょう。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_039/assets/consumer_safety_cms203_200925_01.pdf

4 食品中のデオキシニバレノールの規格基準の設定等

 令和2年9月30日開催された厚生労働省の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会において、標記及び清涼飲料水の規格基準の改正について検討された。今後、部会の了承を得、薬事・食品衛生審議会からの答申を受け、規格基準改正のための所要の手続きが取られる。その主な内容は、次のとおり。

(1)デオキシニバレノールの規格基準
 デオキシニバレノール(以下「DON」という。)は、穀類(特に小麦、大麦及びトウモロコシ)の赤かび病の病原菌であるGibberella zeaeの無性胞子を形成する不完全時代のFusarium graminearum、Fusarium culmorumなどにより産生されるかび毒であり、急性毒性としては、嘔吐、消化管、リンパ組織への障害、慢性毒性としては、体重減少などが知られている。
 小麦に含有するDONについて現在の暫定的な基準値1.1 mg/kgをDON の規格基準として1.0 mg/kg とする。
 TDIについては、マウスを用いた2年間の慢性毒性試験における体重増加抑制から無毒性量を0.1 mg/kg 体重/日とし、不確実係数100を適用して、DONのTDIは従前のとおり1 μg/kg bw/日とされた。

(2)ミネラルウォーター類における成分規格
 清涼飲料水の規格基準のミネラルウォーター類における成分規格のうちミネラルウォーター類のうち殺菌又は除菌を行うものの化学物質の成分規格として、新たにフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)0.07 mg/lを加える。

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000195459_00003.html