「食品衛生行政」国の動き 2021(令和3)年5月

 
(株)中部衛生検査センター顧問
森田邦雄
 

1 「食品安全総合情報システム」公表

 令和3年5月21日、食品安全委員会が公表した標記システムに次の記事が掲載されている。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/search?keyword=%EF%BC%AC%EF%BC%A4%EF%BC%95%EF%BC%90&query=&logic=and&calendar=japanese&year=&from=struct&from_year=2021&from_month=04&from_day=17&to=struct&to_year=2021&to_month=05&to_day=07&areaId=00&countryId=000&informationSourceId=0000&max=100&sort_order=date.desc

(1)欧州食品安全機関(EFSA)は、2021年4月30日、生乳、初乳、乳製品及び初乳ベースの製品の低温殺菌を検証するためのアルカリホスファターゼの使用及び代替検査法に関する科学的報告書(73ページ、2021年4月6日採択)を公表した。

 概要は、以下のとおり。
 生乳、初乳、乳製品又は初乳ベースの製品の低温殺菌は、殺菌処理直後のアルカリホスファターゼ(ALP)検査で陰性となる、少なくとも72℃で15秒間又は63℃で30分間の処理、あるいは同等の組み合わせによる処理によって実施されなければならない。牛乳の場合、ISO規格11816-1(訳注:生及び加熱処理済み全乳等に含まれるALP活性の蛍光測定法)に準じて測定された活性が1リットル当たり350 milliunits (mU/L)以下の酵素活性である場合が陰性となる。他の動物種(特にめん羊及び山羊)由来のこれらの製品の低温殺菌を検証するためのALP試験及び代替法の使用並びに限界について評価が行われた。牛由来製品のALP試験の現在の限界も(同評価に)活用されている。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu05600340149

(2)ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、2021年4月、最新の消費者意識調査結果を公表した。

 概要は、以下のとおり。
 BfRの消費者意識調査は、消費者の健康保護における中心的なツールである。同調査は半年ごとに行われる。2021年第1回の調査では、約3分の2が、消費者の健康というテーマに関心があると回答した。うち約半数が、当該テーマに関して頻繁に情報収集を行っていた。健康に対するリスクとして、食品中の特定の栄養素(糖分、脂質又は塩分)の含有量が多いことが挙げられた。消費者の健康に関するトピック別では、薬剤耐性及び食品中のマイクロプラスチックを懸念する人の割合が最も多かった(それぞれ50%超)。一方、家庭における食の衛生への懸念は比較的少なかった(10%が懸念)。回答者のほとんど(総計で約3分の2)が、特に食品衛生に関しては十分な情報を得ていると回答した。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu05600670314

2 HACCP に沿った衛生管理の本格施行について

 令和3年5月31日、厚生労働省は、医薬・生活衛生局食品監視安全課長名をもって各都道府県等衛生主管部(局)長宛標記通知を出した。

 その主な内容は、次の通り。
 「食品衛生法等の一部を改正する法律」が平成 30 年6月 13 日に公布され、 令和2年6月1日から、食品衛生法第 50 条の2第2項の基準に基づき、原則全ての食品等事業者は HACCPに沿った衛生管理に沿った衛生管理を実施するよう求められ、その実施については、1年間の経過措置期間が設けられていたことから、令和3年6月1日から本格施行されます。

 つきましては、各都道府県等におかれては、厚生労働省が内容を確認した手引書(別添1)に基づき、適切に指導及び助言を行っていただきますようお願いします。

 また、「HACCPに沿った衛生管理の施行について」(令和2年6月1日付け薬生食監発0601第2号)で通知した「HACCPに沿った衛生管理の制度化に関するQ&A」について、本格施行に合わせて内容を更新しましたので、業務の参考のためお知らせします。

https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000786683.pdf

3 営業許可制度の見直し及び届出創設施行について

 令和3年5月31日、厚生労働省は、医薬・生活衛生局食品監視安全課長名をもって各都道府県等衛生主管部(局)長宛標記通知を出した。

 その主な内容は、次の通り。
 「食品衛生法等の一部を改正する法律」により営業許可制度の見直し及び営業届出創設が行われ 、本年6月1日から施行されます。

 つきましては、各都道府県等におかれては、「食品衛生法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政省令の制定について」等の関連通知等に基づき、管内関係者に対する周知徹底をはじめ、運用に遺漏なきようお取り計らいのほどよろしくお願いします。

 なお、営業許可及び営業届出に関しては、必要な経過措置を設けていることから、御留意くださいますようお願いします。

 また、「「営業許可制度の見直し及び営業届出制度の創設に関するQ&A」について」(令和2年12月28日付け事務連絡(最終改正:令和3年4月23日))及び「営業規制の経過措置に関するQ&A」(令和3年4月27日付け事務連絡)について、内容を更新しましたので、業務の参考のためお知らせします。

https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000786684.pdf

4 「食品等自主回収(リコール)報告制度の創設に関するG&A」について

 令和3年5月31日、厚生労働省は、医薬・生活衛生局食品監視安全課名をもって各都道府県等衛生主管部(局)宛標記事務連絡を出した。

 その内容は、次の通り。
 本制度に関する問い合わせへの対応等をとりまとめ、別添のとおり「食品等自主回収(リコール)報告制度の創設に関するQ&A」等を作成するとともに、厚生労働省ホームページに掲載しましたので、業務の参考のためお知らせします。

https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000786685.pdf

5 食品衛生法第10 条第2項に基づく食肉等の衛生証明書の取扱いについて

 令和3年5月31日、厚生労働省は、医薬・生活衛生局食品監視安全課長名をもって各検疫所長宛標記通知を出した。

 その主な内容は、次の通り。
 食品衛生法等の一部を改正する法律による改正後の法第11 条第1項の規定に基づく食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための措置も含め、「とさつ等が我が国と同等以上の基準に基づき、衛生的に行われた旨」の証明に係る同等性の確認を獣畜又は家きんの別で行ったことから、令和3年6月1日以降に輸入される食肉等の衛生証明書の取扱いを下記のとおりとするので、遺漏のないようにお願いする。

https://www.mhlw.go.jp/content/11135200/000786474.pdf

6 「水の量り売りを行う自動販売機の衛生確保について」の一部改正について

 令和3年6月1日、厚生労働省は、医薬・生活衛生局食品基準審査課長及び食品監視安全課長連名をもって各都道府県等衛生主管部(局)長宛標記通知を出した。

 その主な内容は、次の通り。
 水の量り売りを行う自動販売機については、「水の量り売りを行う自動販売機の衛生確保について」(平成15年11月19日付け食安基発第119001号・食安監発第1119001号)により、その営業を営もうとする者については、喫茶店営業又はその他の適当な営業許可を受けなければならないものであることとされていたものが、令和3年6月1日より「営業届出の対象と改正された。

https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000787310.pdf