「食品衛生行政」国の動き 2021(令和3)年6月

 
(株)中部衛生検査センター顧問
森田邦雄
 

1 アレルゲンを含む食品(卵)に関連する情報

 令和3(2021)年6月8日、食品安全委員会は標記情報を公表した。

これは、アレルゲンを含む食品(卵)について、同日に開催した第819回食品安全委員会において評価結果をとりまとめたもので、その主な内容は次の通り。また、Q&Aも公表している。

 平成28(2016)年3月、食品安全委員会は、「アレルゲンを含む食品」を自らの判断で行う食品健康影響評価の対象とし、アレルゲンを含む旨の表示(以下、「食物アレルギー表示」という。)制度の妥当性について科学的な検証を行うこととしました。今回は、特定原材料(食物アレルギーを引き起こすことが明らかになった食品のうち、食品表示基準に定めるところにより表示しなければならないもの)の一つである「卵」を評価しました。現時点における科学的知見に基づいて調査審議を重ねた結果、『現在の食物アレルギー表示制度は、「卵」についてはおおむね妥当である』と判断しました。

https://www.fsc.go.jp/osirase/allergen_egg.html

アレルゲンを含む食品(卵)に係るQ&A

https://www.fsc.go.jp/osirase/allergen_egg_faq.html

2 「鉛」の評価書に関する情報

 令和3(2021)年6月29日、食品安全委員会は標記情報を公表した。

これは、「鉛」の健康影響について、食品安全委員会において評価結果をとりまとめたもので、その主な内容は次の通り。またQ&Aも公表している。

 平成20(2008)年に、食品安全委員会が、「(1)自らの判断で行う食品健康影響評価」及び「(2)器具及び容器包装の改正並びに(3)清涼飲料水の規格基準の改正」にかかる食品健康影響評価として「鉛」について科学的な検証を行うこととしたものです。

 現時点における科学的知見に基づいて調査審議を重ねた結果、現時点では、疫学研究データを用いて、有害影響を及ぼさない血中鉛濃度を導き出すことは困難であると判断しました。現在の我が国における平均的な血中鉛濃度は1μg/dL程度あるいはそれ以下と考えられ、疫学研究の結果から何らかの影響が示唆される血中鉛濃度1〜2μg/dLと近いと考えられました。そのため、今後とも鉛ばく露低減のための取組が必要であると判断しました。

https://www.fsc.go.jp/osirase/lead_and_health_assessment.html

3 「食品安全総合情報システム」公表

 令和3(2021)年7月2日、食品安全委員会が公表した標記システムに次の記事が掲載されている。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/search?keyword=%EF%BC%AC%EF%BC%A4%EF%BC%95%EF%BC%90&query=&logic=and&calendar=japanese&year=&from=struct&from_year=2021&from_month=06&from_day=05&to=struct&to_year=2021&to_month=06&to_day=18&areaId=00&countryId=000&informationSourceId=0000&max=100&sort_order=date.desc

 米国食品医薬品庁(FDA)、調査報告書「2020年夏のSalmonella Enteritidis集団感染に関係する桃の汚染に寄与した可能性がある要因」を公表した。

概要は以下のとおり。
 FDAは、桃でのS. Enteritidis集団感染に関する調査報告書を公表した。FDA並びに複数州及び政府の関係機関は令和2(2020)年夏の桃の喫食に関連したS. Enteritidis集団感染について調査を行った。当該集団感染により、総計で、28人の入院者を含む101人の患者が17州から報告されることとなった。桃に関連していたサルモネラ属菌の集団感染は本件が初めてと見られる。

 FDAは、2020年8月から10月にかけて、米国疾病管理予防センター(CDC)、州の関係機関並びにカナダの公衆衛生当局と協力して、当該調査を実施した。疫学的及び遡及調査により、ある大規模な栽培者/生産者によって包装あるいは供給されていた桃が集団感染の原因である可能性が高いことが判明した。遡及調査のエビデンスは、カリフォルニア州のCutler、Kerman及びSangerでの桃の梱包/保管作業と桃果樹園に関するその後の2件の調査に情報を提供し、優先順位付けに役立った。当該大規模栽培者/生産者は、調査全体を通じてFDAに協力し、FDAの調査結果及び勧告についてFDAとの協力を継続している。

 FDAは、桃や他の農産物の汚染の可能性を低減するための、科学及びリスクに基づく適切な措置の実施が、生鮮農産物の安全性を改善するための最も効果的かつ実用的な手段になると考えている。特に措置が個々の農場の特定の慣行や条件に合わせて調整されている場合はそうである。FDAは、全ての栽培者が、粉塵(dust)ばく露の潜在的な影響を含め、隣接及び近隣の土地利用によってもたらされる可能性のあるリスクを認識し、評価することを奨励している。 FDAはまた、公衆衛生の結果に関しては、人々、動物、植物とそれらが共有する環境の間で相互に連関していることを認識しており、そしてFDAはこの問題に対処するために、より広範な農業コミュニティ(例、生産者、動物事業を管理する人々、州及び連邦政府機関、並びに学術界)の様々な集団の間での協力を奨励している。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu05630260105