「食品衛生行政」国の動き 2021(令和3)年9月

 
(株)中部衛生検査センター顧問
森田邦雄
 

1 令和3年度食品ロス削減月間について

 令和3年9月28日、消費者庁は標記について公表した。

 その主な内容は次の通り。

 10月は「食品ロス削減月間」、10月30 日は「食品ロス削減の日」です。

 令和3年度の食品ロス削減月間に、消費者庁は、農林水産省、環境省と連携して、食品ロスの削減に向けた取組についての集中的な普及・啓発に取り組みます。

 また、消費者庁・農林水産省・環境省共同で「食品ロス削減月間」及び「食品ロス削減の日」の普及・啓発のため、食品ロス削減国民運動のロゴマークである「ろすのん」を用いた啓発ポスターを作成し、地方公共団体等に配布します。

  https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/efforts/assets/month-press.pdf

 同日、農林水産省は次の事業を公表している

 「食品ロス削減の日」に合わせ、令和3年10月30日(土曜日)を「全国一斉商慣習見直しの日」として、食品ロス削減に向けた納品期限の緩和に取り組む食品小売事業者、賞味期限表示の大括り化に取り組む食品製造事業者を募集しており、事業者名等を農林水産省HPにて10月29日(金曜日)に公表します。

 また、本年は、上記の取組以外にも、各事業者の商慣習の見直しを含めた食品ロス削減や食品リサイクルの取組について、事業者名の公表とともに掲載し、PRすることが可能です。

  https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/recycle/210928.html

2 「添加物に関する食品健康影響評価指針」を全部改正

 令和3年10月1日、食品安全委員会は標記改正を公表した。

 その主な内容は次の通り。

 食品健康影響評価指針(評価指針)は、食品健康影響評価に必要なデータの明確化を図り、また、その公平性や透明性を確保するために策定されたガイドラインです。

 添加物については、平成22年(2010年)に評価指針が策定され、平成29年(2017年)に加工助剤(殺菌剤及び抽出溶媒)の考え方を取りまとめて改訂されています。

 今回は、平成30年度(2018年度)、31年度(2019年度)の食品健康影響評価技術研究の研究成果やこれまでの食品安全委員会における添加物の評価結果などを踏まえて、これまでの評価指針を全部改正しました。

 今回の主な改正点は、
・加工助剤について、その範囲を全ての加工助剤とした上で、毒性学的懸念の閾値(TTC)の考え方をリスク評価方法に導入したこと
・母乳代替食品のうちおおむね生後4か月までの乳児を対象とした食品に使用する添加物の食品健康影響評価について、その特殊性を考慮したリスク評価方法を定めたこと
・総則に「食品健康影響評価」の項を設け、リスク評価の基本ステップに沿って、「毒性評価」、「ばく露評価」、「リスク判定」の考え方を整理したこと
・各論として、安全性試験について、該当するOECDテストガイドラインを具体例として示したほか、国際動向を踏まえ、反復投与毒性試験などに用いる動物種やその種類数を改めたことやアレルゲン性試験では代替試験法の活用の考え方を示したこと
などです。

 添加物のうち、着香の目的に使用されるもの(香料)、酵素やビタミン、ミネラル等の栄養強化の目的で使用されるもの(栄養成分関連添加物)については、別に評価指針が定められており、本指針は、これらの指針が適用されない添加物について適用されます。

https://www.fsc.go.jp/osirase/osirase_20211001.html

3 「食品安全総合情報システム」公表

 令和3年10月1日、食品安全委員会が公表した標記システムに次の記事が掲載されている。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/search?year=&from=struct&from_year=2021&from_month=8&from_day=28&to=struct&to_year=2021&to_month=9&to_day=15&max=100

 ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)、食品添加物に関する消費者意識調査の結果を公表。

 概要は以下のとおり。

 スイーツ、飲料及び他の加工食品の成分表は、着色料、保存料、乳化剤、甘味料等の食品添加物が記載されている場合が多い。BfRが行った最新の調査によれば、食品を購入する際に添加物を避けているヒトの割合は55%であった。多くの人たちが健康影響の可能性を懸念しており、同時に、食品添加物に関して十分な情報提供を受けていないと感じている。欧州では、食品添加物は厳格な試験が行われており、意図した用途において健康影響が予見されない場合に限り使用が許可される。

 当該調査は、ドイツにおけるオンラインパネルに参加した16歳以上の1,015人を対象に、2021年5月19日から24日まで行われた(オンラインサーベイ)。性別、年齢、学歴及び居住地域を考慮した代表的な割合で無作為抽出が行われた。性別、学歴、年齢、雇用形態、自治体規模、州、世帯規模に基づき追加の重み付けが行われた。

 以下、質問(全14問)から抜粋。

Q:食品添加物の役割は何だと思うか?
(自由回答で回答は3つまで。上位に上げられた回答)
A:風味(63%)、日保ち(保存期間)(62%)、外観(39%)、食感の一貫性(12%)、健康促進(7%)、企業の利益増加(5%)、無回答(6%)。

Q:食料品を購入する際に、以下の項目をどの程度重要視するか?
(非常に重要であると回答した人たちの割合)
A:自然の原材料(81%)、食感が良い(74%)、外観が良い(70%)、強い風味(66%)、保存可能期間が長い(47%)、低価格(41%)。

Q:添加物は食品購入時の決定に影響するか?(複数回答)
A:影響する。特定の添加物を避けるようにしている(55%)、影響する。特定の添加物を摂取するようにしている(4%)、影響しない(40%)、無回答(4%)。

Q:以下の添加物のうち避けるようにしているものは?(複数回答)
A:うまみ調味料(84%)、甘味料(69%)、着色料(64%)、保存料(60%)、乳化剤(43%)、その他(2%)、無回答(0%)。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu05680060314