「食品衛生行政」国の動き 2022(令和4)年7月

 
(株)中部衛生検査センター顧問
森田邦雄
 

1 「食品安全総合情報システム」公表

 令和4年7月15日、食品安全委員会が公表した標記システムに次の記事が掲載されている。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/search?year=&from=struct&from_year=2022&from_month=6&from_day=18&to=struct&to_year=2022&to_month=7&to_day=1&max=100

(1)世界保健機関(WHO)は、6月24日、A型肝炎に関するファクトシートを更新した。

概要は、以下のとおり。
1. 主な事実
(1)A型肝炎は、軽度から重度までの疾病を引き起こす肝臓の炎症である。
(2)A型肝炎ウイルス(HAV)は、汚染食品及び水の摂取、あるいは感染者との直接の接触を通して伝播される。
(3)A型肝炎感染者のほぼ全員は完治し、免疫は生涯保持される。しかしながら、ごく少数だがA型肝炎感染者が劇症肝炎により死亡することがある。
(4)A型肝炎感染の危険性は、安全な水の欠如及び不衛生な設備や不衛生状態(汚染された及び汚れた手等)に関連する。
(5)A型肝炎予防のための安全で効果的なワクチンが利用可能である。
2. 概要/3. 地理的分布/4. 伝播/5. 症状/6. リスク集団/7. 診断/8. 治療 /9. 予防/10. WHOの対応
訳注:2022年6月2日更新時からの変更点は、「10. WHOの対応」の更新(2022年5月の第75回世界保健総会で示されたHIV・ウイルス性肝炎・性感染症に関する新たな戦略、2022年の世界肝炎デー等の情報の追加)である。

  https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu05860360294

(2)世界保健機関(WHO)は、6月24日、E型肝炎に関するファクトシートを更新した。

概要は、以下のとおり。
1. 主な事実
(1)E型肝炎は、E型肝炎ウイルス(HEV)の感染によって引き起こされる肝臓の炎症である。
(2)毎年、世界では約2,000万人がHEVに感染し、E型肝炎発症者は330万症例に上ると推定されている。
(3)E型肝炎は、2015年に約44,000人の死因となったとWHOは推定している(ウイルス性肝炎による死亡の3.3%を占める)。
(4)当該ウイルスは、主に汚染した水を介して、糞口経路で伝播する。
(5)E型肝炎は、世界中で確認されているが、当該疾病は東南アジアで最もよく見られ る。
(6)中国では、E型肝炎ウイルス感染を予防するワクチンが開発、認可されているが、他の国ではまだ使用できない。
2. 概要/3. 伝播/4. 症状/5. 診断/6. 治療/7. 予防/8. WHOの対応
訳注:2022年6月2日更新時からの変更点は、「8. WHOの対応」の更新(2022年5月の第75回世界保健総会で示されたHIV・ウイルス性肝炎・性感染症に関する新たな戦略、2022年の世界肝炎デー等の情報の追加)である。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu05860370294

2 食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件及び食品衛生法第 13 条第3項の 規定により人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるものとして厚生労働大臣が定める物質の一部を改正する件について

 令和4年8月10日、厚生労働省は大臣官房生活衛生・食品安全審議官名をもって各等検疫所長宛標記通知を出した。

 これは、農薬及び動物用医薬品スピノサド、農薬スルホキサフロル等の、食品中の残留基準値を設定し、又は改正するとともに食品衛生法第 13 条第3項に基づき、対象外物質に、安息香酸を追加したものである。

 適用期日は、告示の日から適用される。

https://www.mhlw.go.jp/content/11135200/000975363.pdf