食品衛生行政の動き(国を中心に)2026年4月
株式会社 中部衛生検査センター 顧問 道野 英司
※URLは4月17日現在
1 食品表示基準の改正
消費者庁は4月1日、「食品表示基準及び食品表示法第六条第八項に規定するアレルゲン、消費期限、食品を安全に摂取するために加熱を要するかどうかの別その他の食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす事項等を定める内閣府令」を改正し、個別品⽬ごとの表⽰ルールの改正、カシューナッツをアレルギー表示義務品目(特定原材料)への追加を行いました。また、「食品表示基準について」(消費者庁次長通知)を改正し、関連規定の整備、ピスタチオを特定原材料に準ずるものへの追加等を行ったほか、「食品表示基準Q&A」を改正しました。(改正府令)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_260401_07.pdf
(「食品表示基準について」の改正)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_260401_14.pdf
(「食品表示基準Q&A」の改正)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_260401_33.pdf
2 ノロウイルスによる食中毒事例
厚生労働省は3月26日、令和8年2月報告されたノロウイルス食中毒53件の原因食品、患者数、発生要因等について都道府県等に情報を提供しました。https://www.mhlw.go.jp/content/001681250.pdf
3 感染症発生動向調査
厚生労働省/国立健康危機管理研究機構国立感染症研究所は、2026年第13週(3月23日〜3月29日)の感染症週報では「感染性胃腸炎の定点当たり報告数は横ばいであった。都道府県別の上位3位は島根県(11.00)、石川県(10.86)、愛媛県(10.15)である。」としています。また、第14週(3月30 日~4月5日)の速報値の上位は愛媛県(9.25)、岐阜県(9.22)、島根県(8.73)です。https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/index.html
4 有毒植物の誤食による食中毒防止の徹底
厚生労働省は3月27日、有毒植物の誤食による食中毒が多く発生するシーズンに入ったことを踏まえ、都道府県等に対して食用と確実に判断できない植物を絶対に「採らない」、「食べない」、「売らない」、「人にあげない」よう住民に注意喚起を要請しました。https://www.mhlw.go.jp/content/001681274.pdf
5 令和8年の食中毒発生状況
厚生労働省は3月25日、厚生科学審議会食品衛生監視部会を開催し、令和7年の食中毒発生の概要について報告しました(詳細は解説を参照)。https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_71733.html
6 令和8年度輸入食品等監視指導計画の公表等
厚生労働省は3月27日、令和8年度輸入食品等監視指導計画を公表し、3月31日、モニタリング計画、検査命令の実施について各検疫所長あて通知しました。(令和8年度輸入食品等監視指導計画)
https://www.mhlw.go.jp/content/001680126.pdf
(令和8年度輸入食品等モニタリング計画)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_72156.html
(検査命令通知)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_72155.html
(令和7年度違反事例)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/yunyu_kanshi/ihan/index.html
7 乳及び乳製品の輸入可能国の追加
厚生労働省は3月27日、ベトナム政府との協議結果を踏まえて、同国政府発行の乳及び乳製品に関する衛生証明書の受け入れることとし、各検疫所長に通知しました。 ベトナムを加え計55か国からの乳及び乳製品の輸入が可能となりました。https://www.mhlw.go.jp/content/11135200/001681564.pdf
8 ポーランド産牛肉の輸入条件の見直し
厚生労働省は4月10日、ポーランド産牛肉について月齢条件撤廃を含め輸入条件をアイルランド、カナダ、米国、フランス等と同様としました。https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_72264.html
9 食品中の放射性物質に関する「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」の改正
原子力災害対策本部は3月30日、都道府県等が実施する食品中の放射性物質検査の検査計画や原子力災害対策特別措置法に基づく出荷制限等の取扱いを定めたガイドラインを過去1年間の検査結果を踏まえて改正し、厚生労働省から都道府県等に通知しました。(ガイドライン)
https://www.mhlw.go.jp/content/11135000/001679659.pdf
(厚生労働省通知)
https://www.mhlw.go.jp/content/11135000/001681562.pdf
10 食品添加物の使用基準等の改正
消費者庁は4月7日、食品、添加物等の規格基準の一部を改正し、亜硫酸ナトリウム、グルコン酸亜鉛、次亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、ピロ亜硫酸カリウム及びピロ亜硫酸ナトリウムの使用基準等を改正しました。(改正告示本文)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/food_additives/second_additive_01/assets/standards_cms102_260407_02.pdf
(新旧対照表)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/food_additives/second_additive_01/assets/standards_cms102_260407_03.pdf
(施行通知)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/food_additives/assets/standards_cms102_260407_01.pdf
11 食品中の残留農薬・動物用医薬品の試験法の改正
消費者庁は4月8日、「食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質の試験法について」を改正し、MCPAなど7品目の試験法を追加しました。https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/pesticide_residues/test_method/assets/standards_cms209_260408_01.pdf
12 令和7年度食品、添加物等の年末一斉取締りの結果
厚生労働省は3月27日、令和7年度食品、添加物等の年末一斉取締りの結果を取りまとめ、公表しました。主な結果としては、大量調理施設7千施設に立ち入り、うち3千6百施設に指導を行い、食肉を取り扱う施設については2万2千施設に立ち入り、7百施設に改善を指導しました。https://www.mhlw.go.jp/content/001681548.pdf
13 令和6年度食品中の残留農薬等に関する検査結果
厚生労働省は3月31日、令和6年度の食品中に残留する農薬、飼料添加物及び動物用医薬品の検査結果をとりまとめて公表しました。検査の総数は約 300 万件、検出数は国産品と輸入品を合わせて約1万件(0.34%)、基準値超過数は 224 件( 0.008%)でした。https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001681032.pdf
14 令和7年度野生鳥獣肉の衛生管理等に関する実態調査結果
厚生労働省は3月31日、令和7年度野生鳥獣肉の衛生管理等に関する実態調査の結果を都道府県等に通知し、処理時の消化管内容物の漏出防止などについて遵守状況が十分ではないことが確認されたため、関係事業者の指導について特段の対応を要請しました。https://www.mhlw.go.jp/content/001683940.pdf
15 複数の都道府県等で営業を可能とするキッチンカーの飲食店営業許可の事例
厚生労働省は3月27日、自動車を用いた飲食店営業に関して複数の都道府県間等の区域を越えて営業を行うことを可能とする事例について都道府県等に通知しました。本通知は「規制改革実施計画について」(令和7年6月 13 日閣議決定)において、当該事例の横展開を求められたものです。https://www.mhlw.go.jp/content/001681567.pdf
16 アレルゲンを含む食品(落花生、くるみ)のファクトシートの公表
食品安全委員会は3月24日、アレルゲンを含む食品(落花生、くるみ)のファクトシートを公表しました。(落花生)
https://www.fsc.go.jp/foodsafetyinfo_map/allergen.data/factsheets_Allergy__Peanut.pdf
(くるみ)
https://www.fsc.go.jp/foodsafetyinfo_map/allergen.data/factsheets_Allergy_walnut.pdf
(解説)
「令和7年の食中毒発生状況」
3月下旬に厚生労働省から令和7年の食中毒発生状況が公表されました。令和7年の食中毒発生報告は事件数1,172件、患者数24,727人で、令和元年以来では最も多い水準となりました。令和6年に続いてノロウイルス食中毒が事件数、患者数ともに大幅に増加し、特に飲食店、仕出し屋での増加が顕著で、患者数100人を上回る中規模の食中毒が急増しました。1 病因別発生状況
ノロウイルス、カンピロバクター、アニサキスが主要な病因物質でした。ウイルスや細菌ではノロウイルス(462件、18,566人)、カンピロバクター(220件、1,226人)、ウェルシュ菌(33件、1,260人)、サルモネラ菌(25件、662人)、黄色ブドウ球菌(15件、305人)、病原大腸菌(14件、546人)、寄生虫ではアニサキス(280件、283人)、クドア(22件、207人)でした。
2 都道府県別発生状況
事件数で100件又は患者数で1,000人を超えた都道府県は、北海道(111件、1,418人)、栃木県(15件、1,241人)、東京都(133件、1,307人)、神奈川県(91件、1,272人)、富山県(26件、1,081人)、岐阜県(26件、1,030人)、愛知県(37件、1,999人)大阪府(55件、1,149人)、兵庫県(41件、3,878人)でした。
3 大規模食中毒、死者が報告された食中毒の発生状況
患者数が100人を超える事件が39件となり、令和6年の17件、令和5年の14件を大きく上回りました。39件の内訳はノロウイルス32件、腸管出血性大腸菌O1572件で、ヒスタミン、腸炎ビブリオ、ウェルシュ菌、サポウイルス、不明が各1件でした。患者数500人を超える2件の食中毒は、1月に愛知県(一宮市)で患者数769人、2月に兵庫県で患者数2,307人のノロウイルスによる事件で、いずれも仕出し弁当が原因で発生しました。
また、死者が発生した食中毒は、8月に北海道(旭川市)で発生した腸炎ビブリオ食中毒で60代男性1人、6月に岡山県で発生したイヌサフランによる食中毒で80代女性が死亡しました。特に植物性自然毒による食中毒の死者は過去10年間で21人となり食中毒による死亡の約半数を占めています(次いで腸管出血性大腸菌の12人)。
4 月別、原因施設別、原因食品別発生状況
月別では2月及び3月の発生数がノロウイルス食中毒の多発で大幅に増加し、患者数は前年の2倍以上になりました。原因施設別では全体の約半数が飲食店(658件、11,724人)で発生し、次いで旅館(50件、1,922件)、仕出屋(44件、6,146人)でした。前年の飲食店(548件、8,656人)、仕出し屋(31件、1,268人)の発生と比較して大幅に増加しました。原因食品別では魚介類が237件、1,405人で最も多く、カキが原因又はその疑いとされたノロウイルス食中毒は16件233人でした。