腸管出血性大腸菌O26、O111 及びO157 の検査法について(平成24年12月改正)

近年、わが国における食中毒及び感染症の患者から分離された主な腸管出血性大腸菌の血清型は、表1(国立感染症研究所:病原微生物情報から引用)に示したとおりO157、O26、O111などが挙げられています。これらの血清型による下痢症患者は、常に上位を占めており、感染した場合には、重篤な症状を示すことから、糞便や食品からの感染防止対策が重要視されています。

厚生労働省は、これまで食品からのO157やO26の検査法について示していますが、2011年に富山県などで発生した有症者169名、うち重症者17名、死者4名のO111による食中毒事件を契機に、新たに「腸管出血性大腸菌O26、O111 及びO157 の検査法について」通知し、今後はこの検査法に従って食品等からの検査を実施することになりました。

新たに示された検査法は、遺伝子(DNA)検出法ですが、遺伝子増幅設備がない施設では、培養法(直接法・免疫磁気ビーズ法)によって検査しても良いとされています。

遺伝子検出法には、VT毒素(ベロ毒素・志賀毒素ともいう)産生遺伝子を①PCR法(遺伝子増幅法)、②LAMP法(Loop mediated isothermal amplification)及び③リアルタイムPCR法により検出する方法が示されています。これらの方法によってVT毒素産生遺伝子が確認された場合には、遺伝子増幅法に用いた検体、すなわち、保存しておいた培養液を用いて、直接法又は免疫磁気ビーズ法により菌を分離し、詳しい性状について検査を進めることになっています。なお、通知では、「遺伝子検出法によるスクリーニング法については、引き続き検討中であり、確認でき次第、改めて通知する」としていますので、常に検査法の動向には注意していかなければなりません。

検査法の詳細については、厚生労働省(厚生労働省ホームページ→食品→行政機関向け情報→監視指導等に関する通知(平成24年度)→平成24年12月17日付、食安監発1217第1号:「腸管出血性大腸菌O26、O111 及びO157 の検査法について」で検索することができます。