放射性物質

放射性物質について

ほとんどの元素は、安定な原子や分子として存在していますが、わずかに不安定な原子も存在しています。これらの原子は、粒子や電磁波を放出することにより、安定な原子へと変わっていきます。この放出される粒子や電磁波が放射線です。 放射線を出す物質を放射性物質、放射線をだす能力を放射能と呼びます。これを、ホタルで例えるならホタルが放射性物質、ホタルの光を出す能力が放射能、ホタルの光が放射線となります。

放射能や放射線を表す単位

放射能や放射線を表す単位としては、ベクレル(Bq:Becquerel)やシーベルト(Sv:Sievert)が使われます。ベクレルは放射性物質がもつ放射能の強さ表し、1秒間に1個の放射線を放つ放射能の量が1ベクレルです。シーベルトは人が放射線を受けた際の人体への影響を表しています。これらを電球に例えると、光の強さそのものに相当するのがベクレル、距離によって異なる明るさに相当するのがシーベルトと言えます。また、ベクレルは、放射性物質を含む食品や水を食べたり飲んだりすることによる放射線の影響を防ぐために、安全基準の単位としても使われています。

放射性物質が人に与える影響

放射性物質は、セシウム134、137やヨウ素131など物質によって放出される放射線の種類や強さが違うため、異なる放射性物質が仮に同じ500ベクレルの放射能を持っていたとしても、人に与える影響が異なります。したがって、換算計数を用いることによって、放射能の強さを表すベクレルから、人体に与える影響を表すシーベルトに換算することができます。このことから、測定結果が同じ1シーベルトであるなら人体に与える影響は同じと言えます。

現在の放射性物質の基準値

現在の放射性物質の基準値は、放射性物質としてはセシウム134、137が対象で、4つの食品区分において1kgあたり飲料水が10ベクレル、乳児用食品が50ベクレル、牛乳が50ベクレル、一般食品が100ベクレルと設定されています。 ここでは一般食品の基準値の考え方を説明します。平成24年4月より食品の安全と安心を確保する観点から、食品中の介入線量が年間1ミリシーベルトとされました。この年間1ミリシーベルトという数値は、食品の国際規格を作成しているコーデックス委員会の現在の指標でもあります。この年間1ミリシーベルトから飲料水の線量(年間0.1ミリシーベルト)を差し引いた年間0.9ミリシーベルトが一般食品に割り当てられた線量とされています。 一般食品の基準値1kgあたり100ベクレルは、年齢別摂取量と換算計数で割ることで年齢別に限度値を算出され(この際、流通する食品の50%が汚染されているとする)、その中で最も厳しいものを基準値とすることで、どの年齢の人にも考慮された値となっています。