腸内細菌科群について

平成23年9月に食品、添加物等の規格基準の一部が改正され、生食用食肉の規格基準に、わが国で初めて腸内細菌科群に関する成分規格が設定されました。 対象となる食品は、生食用食肉として販売される牛肉(内臓を除く)と定義されており、ユッケ、タルタルステーキ、牛刺し、牛タタキが含まれます。その規格基準には、成分規格、加工基準、保存基準、調理基準が定められ(厚生労働省告示第321号)、成分規格は次のように規定されています。

腸内細菌科群は、「生食用食肉の腸内細菌科群検出試験法について」(平成23年9月26日、食安発0926第1号)に従って試験を行ったときに、バイオレット胆汁ブドウ糖(VRBG)寒天培地上で特徴的な集落を形成し、ブドウ糖を発酵するオキシダーゼ陰性の細菌と定義されています。VRBG寒天培地は、Violet Red Bili Glucose Agarの略で、組成は、獣肉ペプトン などの動物組織の酵素消化物、酵母エキス、胆汁 酸塩No.3、ブドウ糖、NaCl、ニュートラルレッド、 クリスタルバイオレッド、寒天、精製水から成っています。

この選択分離培地での腸内細菌科群の典型集落は、淡紅色~赤色又は紫色を呈します(右の写真)。この試験法に基づき検査すると従来の大腸菌群検査では確認できなかったサルモネラ属菌、赤痢菌、エルシニア属菌などの乳糖非分解菌も確認することができます。 腸内細菌科群の有無を調べることは、大腸菌群の有無に比べてサルモネラ属菌や腸管出血性大腸菌などを含む食肉の汚染状態を広範囲に知ることができ、その安全性の確保に欠かすことができない検査法と考えらます。 食品安全委員会は、「生食用食肉(牛肉)における腸管出血性大腸菌及びサルモネラ属菌の食品影響評価」に基づいた検査において、「25検体(1件体当たり25g)以上が陰性であれば、高い確率(97.7%の製品につき95%)で達成目標値(0.0014cfu/g)に達したことが確認できる。」と評価しています。本試験法はこの評価に基づいております。

(VRBG寒天培地上の集落)