「酸価(AV)」および「過酸化物価(POV)」の検査について

 油脂を使用した食品や油脂を多く含む食品は、時間が経過すると油脂が酸化され劣化が起ります。この現象は、酸素、温度、光、水分等の外的要因により加水分解、酸化、分解、重合などが起り、カルボニル化合物等が生成されることで、食品に異味・異臭や色調の変化を起します。さらに、中毒等の健康被害をも引き起こします。
 このため、食品衛生法では、規格基準や製造・取扱いに関する指導要領が定められています。
 油脂の劣化を評価するための理化学的指標としては、「酸価(AV)」、「過酸化物価(POV)」があり、これらの数値が大きいことは、油脂の劣化が進んでいることを表します。
「酸価(AV)」とは、油脂中の遊離脂肪酸量のことで、油脂1g中に含まれている遊離脂肪酸等の成分を中和するのに必要な水酸化カリウムをmg数(mg/g)で表したものです。
「過酸化物価(POV)」とは、油脂中の過酸化脂質量のことで、油脂1kg中の過酸化物によりヨウ化カリウムから遊離されるヨウ素量をミリ等量(mEq/kg)で表したものです。
 食品の「酸価(AV)」および「過酸化物価(POV)」の検査では、検体(食品)から油脂を最低でも20g 抽出する必要があり、検体(食品)が含有する油脂の量によって検査に必要な検体(食品)の量が変わります。
 例えば、検体(食品)100g中に2gの油脂を含む食品では、検体(食品)の量が最低1kg必要となります。さらに、検体(食品)からの油脂の抽出率は、40~50%であり、20gの油脂を抽出するためには、さらに倍の2kgの検体(食品)の量が必要になります。
 なお、検体(食品)が油脂そのものの場合は、この限りではありません。


(参 考)
・ 食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)
「即席めん類(めんを油脂で処理したものに限る)は、めんに含まれる油脂の酸価が3を超え、又は過酸化物 価が30を超えるものであってはならない」
・ 菓子の製造・取扱いに関する衛生上の指導について(昭和52年11月16日環食第248号)
1.「菓子は、その製品中に含まれる油脂の酸価が3を超え、かつ、過酸化物価が30を超えるものであつてはな   らない」
2.「菓子は、その製品中に含まれる油脂の酸価が5を超え、又は過酸化物価が50を超えるものであつてはなら   ない」
  1. 及び2.に適合するものを販売すること