平成27年2月号のレポートを掲載しました。

(株)中部衛生検査センター
 学術顧問
森田邦雄

1 景品表示法第6条の規定に基づく措置命令

平成27年2月4日、消費者庁は長官名をもって、株式会社ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツに対し、不当景品類及び不当表示防止法第4条第1項の規定により禁止されている同項第1号に該当する不当な表示を行っていたので、同法第6条の規定に基づき、次の内容の措置命令を出した。命令の概要は次のとおり。 同社の経営するホテル内の飲食店における表示について、次に掲げる事項を速やかに一般消費者に周知徹底しなければならない。この周知徹底の方法については、あらかじめ、消費者庁長官の承認を受けなければならない。 事項例 (1) 婚礼用メニューの「黒毛和牛ヒレ肉の低温ロースト 磯の香りをのせた岩海苔のブー ルコンポーゼを添えて 黒酢ソースと仙台小ねぎのコンビネーションと共に」と記載されている「岩海苔」について「養殖ののり」を使用していたこと (2) 婚礼用メニューの「ヴァン・ルージュで煮込んだ黒毛和牛頬肉の宝石箱見立て 野菜のロンドと共に」と記載されている「黒毛和牛頬肉」について「和牛の定義に該当しない牛の頬肉」を使用していたこと。 http://www.caa.go.jp/representation/pdf/150204premiums_1.pdf2 フタル酸ベンジルブチル(BBP)に係る食品健康影響評価に関する審議結果(案)についての意見・情報の募集  平成27年2月18日、内閣府食品安全委員会事務局評価第一課は標記の意見・情報の募集を公表した。 これは、厚生労働大臣から食品安全委員会に求められたBBPに係る食品健康影響評価について、平成27年2月17日に開催された食品安全委員会において器具・容器包装専門調査会における審議結果(案)が審議され、広く国民から意見・情報を募ることとなったものである。なお、締め切りは平成27年3月19日(木)である。 BBPは、フタル酸エステルの一種であり、フタル酸エステルはポリ塩化ビニル(PVC)を主成分とするプラスチックの可塑剤として使用される化学物質である。その概要は次のとおり。  器具・容器包装の規格基準の改正に係る物質として、BBPの食品健康影響評価を実施した。 評価に用いた試験成績は、体内動態(ラット、イヌ及びヒト)、急性毒性(ラット)、亜急性毒性(ラット及びイヌ)、慢性毒性及び発がん性(マウス及びラット)、生殖・発生毒性(マウス、ラット及びウサギ)、遺伝毒性等の試験成績である。 発がん性試験において、マウスでは腫瘍性病変は認められず、ラットでは雌に単核細胞、白血球の増加が認められた。また、ラットを用いた慢性毒性及び発がん性試験において、雄に膵臓の腺房細胞腫瘍の増加が認められた。遺伝毒性試験の結果から、BBPには生体にとって問題となる遺伝毒性はないと考えた。 BBP投与によるものと推定される健康影響に係る無毒性量をNagaoらの試験(2000)で得られた20mg/kg体重/日とすることが適当であると判断した。 ラットを用いた二世代生殖毒性試験のNOAEL20mg/kg体重/日を不確実係数100(種差10、個体差10)で除し、BBPのTDIを0.2mg/kg体重/日と設定した。 また、大気、室内空気・戸外の空気、飲料水、ハウスダスト及び食品からの取り込み量からヒトに対する暴露量の推定と食品中からのBBPの検出実態が示され、文献データを用いて算出した日本人(成人)のBBPの推定一日摂取量(最大見積もり)は、3.25μg/kg体重/日であった。 http://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc1_bbp_270218.html3 カンタキサンチンを添加物に指定  平成27年2月20日、厚生労働省は同日公布された規則及び告示の改正について「食品衛生法施行規則の一部を改正する省令及び食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について」として医薬食品局食品安全部長名をもって各検疫所長宛通知した。その主な内容は次のとおり。 規則の改正は、食品衛生法第10条の規定に基づきカンタキサンチンを省令別表第1に追加し、公布の日から適用されるとし、告示改正における使用基準関係について、次の通り運用を示した。 (1) カンタキサンチンの使用基準にいう「魚肉ねり製品(かまぼこに限る。)」は、魚肉を主原料として調味等を加えて練った物を加熱してたん白を凝固させ、これを成形し、蒸し煮した物をいうものであること。 ただし、はんぺん、さつま揚げ、ツナハム、魚肉ソーセジ及びこれらの類似品はこれに含まれないこと。 (2) カンタキサンチンの使用に当たっては、適切な製造工程管理を行い、食品中で目的とする効果を得る上で必要される量を超えないものとすること。  その他の告示の改正は、同法第11条第1項の規定に基づき、農薬、動物用医薬品及び飼料添加物について、オラキンドックス、クレンブテロール等の食品中の残留基準を設定した。 オラキンドックス及びクレンブテロールについては、「不検出」とされる農薬等の成分である物質として規定されたことに伴い、別紙2「食品、添加物等の規格基準に規定する各試験法の検出限界等について」が示され、「食品、添加物等の規格基準の一般規則 5,6及び7に規定する各試験法の検出限界等は下表に示すとおりなので、試験を行う際に留意すること。検出限界以上の測定値が得られ分析値を求める際には、検出限界より1桁多く求め、その多く求めた1桁について四捨五入するものとする。なお、ここでいう検出限界とは、適切な精確さをもって定量できることが確認された分析対象化合物の最低量又は濃度をいう。」としている。 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000074981.pdf