平成27年8月号のレポートを掲載しました。

(株)中部衛生検査センター
 学術顧問
森田邦雄

1 「食品表示基準Q&A」の一部改正について通知

平成27年7月30日、消費者庁は食品表示企画課長名をもって各都道府県等食品表示担当部(局)長宛標記通知を出した。これは、食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(豚の食肉の生食禁止)が平成27年6月2日に公布、同年6月12日に施行されたことに伴い、「食品表示基準Q&A」(平成27年3月30日付け消食表第140号消費者庁食品表示企画課長通知)の一部を改正するとともに食品表示法施行後における事業者等からの問合せを受け、食品表示基準に係る本Q&Aにおいて明確化すべきと判断した点等について別紙新旧対照表のとおり改正したもので、その主なものは次のとおり。 (加工-5)タンクローリーやコンテナ等の通い容器についても表示義務が課されるのですか。 改正前(答) 1 食品表示基準においては、最終製品における表示の正確性を確保するため、タンクローリーやコンテナ等の通い容器についても表示義務の対象とします。通い容器に関する全ての義務表示事項は、容器包装に限らず、送り状、納品書等又は規格書等に表示することも認めることにしています。 2 なお、タンクローリーやコンテナ等の通い容器は、容器包装に該当しないことから、賞味期限(消費期限)、保存の方法、及び内容量等の表示義務はありません(食品表示基準第11条の表の「容器包装に入れないで販売する場合」に該当します。 改正後(答) 1 食品表示基準においては、最終的に小売りされる食品における表示の正確性を確保するため、タンクローリーやコンテナ等の通い容器についても必要に応じて表示義務の対象としています。 2 タンクローリーやコンテナ等の通い容器は、容器包装に該当しないものの、業務用加工食品に該当する場合、食品表示基準第11条第1項の表の「容器包装に入れないで販売する場合」に該当します。 3 この場合、業務用加工食品として必要な表示事項は、送り状、納品書等又は規格書等に表示してください。 (加工-309)JASの格付が行われていない業務用加工食品には等級を表わす用語を表示してはいけないのですか。 改正前(答) 食品表示基準第14条の規定において、等級を表す用語の表示は禁止されています。 改正後(答) 食品表示基準第14条の規定において、業務用加工食品については、等級を表す用語の表示は禁止されていません。 (E-14)表示の省略方法で食品表示基準上、省略の難しいものはありますか。 改正前(答)の一部 食用油脂、××、(一部に豚肉、牛肉、大豆を含む)」と一括表示します。 改正後(答)の一部 食用油脂、××、(一部に豚肉・牛肉・大豆を含む)」と一括表示します。 http://www.caa.go.jp/foods/pdf/150730_qa-bun.pdf 別紙新旧対照表 http://www.caa.go.jp/foods/pdf/150730_qa-shinkyu.pdf2 平成26年度食料自給率等公表  平成27年8月7日、農林水産省大臣官房食料安全保障課は平成26年度の食料自給率及びその前提となる食料需給表について公表した。その主な内容は次のとおり。 カロリーベース食料自給率(供給熱量ベースの総合食料自給率)は、前年度と同率の39%、 生産額ベース食料自給率は前年度から1ポイント減少の64%、主食用穀物自給率は59%、 飼料自給率は27%であった 品目別自給率(自給率の算出は、自給率=国内生産量/国内消費仕向量×100(重量ベース)とし、牛肉、豚肉、鶏肉、鶏卵、牛乳・乳製品の( )については、飼料自給率を考慮した値である、単位 %)の主なものは、次のとおり。 米97、うち主食100、小麦13、いも類78、豆類10、大豆7、野菜80、果実43牛肉42 (12)、豚肉51 (7)、鶏肉67 (9)、鶏卵95 (13)、牛乳・乳製品63(28)、魚介類54、うち食用60 平成26年度食料自給率の概要 http://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/anpo/pdf/150807_2-01.pdf 平成26年度食料自給率について http://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/anpo/pdf/150807_2-02.pdf 平成26年度食料需給表 http://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/anpo/pdf/150807_2-03.pdf3 平成26年度輸入食品監視指導計画に基づく監視指導結果及び輸入食品監視統計公表  平成27年8月31日、厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課輸入食品安全対策室は標記結果等を公表した。 主な内容は次のとおり。([ ]内は平成25年度の数値) (1) 平成26 年度の輸入届出件数は約222 万件[約219 万件]であり、輸入届出重量は約3,241万トン[約3,098 万トン]であった。 (2) 輸入届出件数のうち195,390件[201,198件]について試験検査を実施し、このうち877件(延べ913件)[1,043件(延べ1,085件)]を法違反として、積み戻し又は廃棄等の措置を講じた。 (3) 平成26 年度のモニタリング検査においては、94,043件[93,711件]の計画に対し、延べ96,580件[95,730件](実施率:約103%[約102%])を実施し、140件[152件]を法違反として、回収等の措置を講じた。 (4) 条文別違反事例 違反条文 違反件数(件) 構成比(%) 主な違反内容 第6条 245 26.8 とうもろこし、落花生、アーモンド、乾燥イチジク、ハトムギ、ピスタチオナッツ、とうがらし、ナツメグ、くるみ、ごまの種子、フェネグリーク、くり、ハスの種子等のアフラトキシンの付着、有毒魚類の混入、下痢性貝毒の検出、シアン化合物の検出、非加熱食肉製品、ナチュラルチーズからのリステリア・モノサイトゲネス検出※3、米、小麦、菜種、大豆等の輸送時における事故による腐敗・変敗・カビの発生等 第9条 3 0.3 衛生証明書の不添付 第10条 54 5.9 TBHQ、キノリンイエロー、パテントブルーV、サイクラミン酸、アゾルビン、パラオキシ安息香酸メチル、ヨウ素化塩、アシッドブルー3 ナトリウム、アミド化ペクチン、ホウ酸、ヨウ素酸カリウム、一酸化炭素、塩化メチレンの指定外添加物の使用 第11条 539 59.0 野菜及び冷凍野菜の成分規格違反(農薬の残留基準違反)、水産物及びその加工品の成分規格違反(動物用医薬品の残留基準違反、農薬の残留基準違反等)、その他加工食品の成分規格違反(大腸菌群陽性等)、添加物の使用基準違反(二酸化硫黄、ソルビン酸、安息香酸等)、添加物の成分規格違反、放射性物質の検出等 第18条 70 7.7 器具・容器包装の規格違反、原材料の材質別規格違反 第62条 2 0.2 おもちゃ又はその原材料の規格違反 総 計 913(延数)※1 877(実数)※2 ※1 検査項目別の延べ件数 ※2 検査対象となった届出の件数 ※3 基準改定前に違反となったもの http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000095949.html http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/kannshishidoukextuka_26_zenntai.pdf