平成27年9月号のレポートを掲載しました。

(株)中部衛生検査センター
 学術顧問
森田邦雄

1 農薬の急性参照用量(ARfD)の設定に関する国際シンポジウムの開催

平成27年9月3日、内閣府食品安全委員会事務局は、国際専門家招へいプログラム「農薬の急性参照用量(ARfD:Acute Reference Dose)設定に関する国際シンポジウム」の開催を公表した。その内容は次のとおり。  食品安全委員会が行う農薬のリスク評価(食品健康影響評価)においては、一日摂取許容量(ADI)に加え、昨年6月より、ヒトの24時間又はそれより短期間の経口摂取で健康に悪影響を及ぼさないと推定される摂取量(急性参照用量:ARfD)の検討を行っています。  農薬の毒性試験は、主にADIを設定することを意図して行われていることから、ARfDの検討に当たり、単回投与などにより認められる毒性影響を把握するには、知見や経験が必要です。  そこで、農薬の国際的なリスク評価機関であるJMPR(FAO/WHO合同残留農薬専門家会議)における、ARfD設定のためのガイダンス作りにおいて中心的な役割を果たしたドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)及び元米国環境保護庁(EPA)の専門家をお招きし、諸外国におけるARfD設定の考え方などについて情報提供していただきます(同時通訳付き)。  なお、本シンポジウムにはどなたでも参加できますが、講演に専門的な内容が含まれていますので、食品衛生に関する一定の知識をお持ちの方を主な対象者と考えております。 1.開催日時:平成27年10月7日(水) 14:00〜17:00  (13:30 受付開始) 2.会場:日本学術会議講堂(東京都港区六本木7-22-34)  別紙1 地図参照[PDF:73KB] 3.主催:食品安全委員会 4.募集人数:約200名 5.参加料:無料 http://www.fsc.go.jp/koukan/annai/tokyo_risk_annai271007.html 平成27年9月8日、本国際シンポジウムへの参加者募集が開始された。 申込締切は平成27年9月30日(水)17:00 http://www.fsc.go.jp/koukan/annai/tokyo_risk_annai271007_2.html2 食品媒介感染症防止に向けた食品安全確保のための定性的定量的アプローチに関する 国際シンポジウムの開催  平成27年9月3日、内閣府食品安全委員会事務局は国際専門家招へいプログラム「食品媒介感染症防止に向けた食品安全確保のための定性的定量的アプローチに関する国際シンポジウム」の開催を公表した。その内容は次のとおり。  食品安全委員会では、食品の安全性の確保のため、食品により媒介される感染症の原因となる微生物・ウイルス・寄生虫の食品健康影響評価を行っています。 今般、海外より食品の微生物学的リスク評価の専門家をお招きし、定性的定量的アプローチの国際的な動向について情報提供・討議いただきます(同時通訳付き)。 1.開催日時:平成27年11月19日(木) 13:00〜17:00 (13:00 受付開始) 2.会場:政策研究大学院大学 想海樓ホール(東京都港区六本木7-22-1)  別紙 地図 参照[PDF:108KB] 3.主催:食品安全委員会 4.募集人数:約150名 5.参加料:無料 6.講演者(予定) (1)Zwietering MH (オランダ Wageningen大学)、(2)小関成樹(北海道大学)、(3)寺嶋淳(国立医薬品食品衛生研究所)、(4)豊福肇(山口大学)等 http://www.fsc.go.jp/koukan/annai/tokyo_risk_annai271119.html3 「食品表示基準について」の通知を一部改正  平成27年9月14日、消費者庁は次長名をもって各都道府県知事等宛「食品表示基準について」(平成27年3月30日付け消食表第139号消費庁次長通知)の一部を改正する通知を出した。  これは、平成27年7月29日食品衛生法第10条の規定に基づき、アンモニウムイソバレレートを同法省令別表第1に追加したことに伴い必要な改正を行うとともに、食品表示法施行後における事業者等からの問合せを受け、食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)の解釈として本通知に明確化すべきと判断した点等についても併せて改正したもので、その主な点は次のとおり。 (1) (加工食品)1 義務表示事項(8) L-フェニルアラニンを含む旨について中 「「L-フェニルアラニン化合物を含む旨」の表示は、「L-フェニルアラニン化合物」と表示すること。」を 「「L-フェニルアラニン化合物を含む旨」の表示は、「L-フェニルアラニン化合物を含む」等と表示すること。」に改める。 (2) (生鮮食品)3 表示の方式中 「オルトフェニルフェノール等を使用した旨の表示について」を 「別添 添加物1-6の「1 防かび剤又は防ばい剤」に掲げる添加物を使用した旨の表示について」に、 「ばら売り等により販売されるかんきつ類の表示については、以下のいずれかの方法により表示すること。」を「ばら売り等により販売される別添 添加物1-6の「1 防かび剤又は防ばい剤」に掲げる添加物を規格基準の第2添加物の部F使用基準に従い使用した食品の表示については、以下のいずれかの方法により表示すること。」に改める。 (3) 別添 添加物1-4 各一括名の定義及びその添加物の範囲 7 香料中 (3)添加物の範囲 以下の添加物を香料としての目的で使用する場合に「アンモニウムイソバレレート」を加える。 (4) 別添 アレルゲンを含む食品に関する表示 別表2 特定原材料等由来の添加物についての表示例 1 特定原材料中備考欄の「原材料の一部に」を「一部に」と改める。 http://www.caa.go.jp/foods/pdf/150914_tuchi-bun.pdf http://www.caa.go.jp/foods/pdf/150914_tuchi-shinkyu.pdf4 1-メチルナフタレンを添加物に指定  平成27年9月18日、食品衛生法第10条に基づき1-メチルナフタレンを添加物に指定し、その使用基準等を定めるための食品衛生法施行規則の一部を改正する省令及び食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件が公布され、厚生労働省食品安全部長名をもって各都道府県知事等に運用に関する通知が出された。  使用基準については、1-メチルナフタレンについては、「着香の目的以外に使用してはならない。」との使用基準が設定されたことから、有機溶剤として使用する等の着香の目的以外の使用は認められないこととしている。 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000098055.pdf5 米国でサルモネラ汚染の可能性があるキュウリを自主回収  国立医薬品食品衛生研究所の食品安全情報(微生物)No.19 / 2015(2015.09.16)に、米国食品医薬品局の情報として、Custom Produce Sales社がサルモネラ汚染の可能性があるキュウリを自主回収している記事があり、その主な内容は次のとおり。  Custom Produce Sales社(カリフォルニア州Parlier)は、サルモネラ汚染の可能性により、2015年8月1日以降にFat Boyブランドで販売されたキュウリ全品を自主回収している。他のFat Boyブランド製品は今回の回収対象ではない。ネバダ州で2015年8月1日以降に、再生利用可能な黒いプラスチック容器入りで販売されたブランド名なしのキュウリは回収対象である。  同社が保健当局と協力して行っている本回収は、全米30州でサルモネラ(Salmonella Poona)感染患者計341人(死亡者2人を含む)が報告されているアウトブレイクに関連している。  Fat Boyブランドのキュウリは、メキシコのバハ・カリフォルニア州で生産され、米国カリフォルニア、コロラド、イリノイ、アイオワ、ネバダ、ノースダコタ、オクラホマおよびテキサスの各州で販売された。  これらのキュウリは、「Fat Boy Fresh Produce」と表示がある段ボール箱で出荷された。この種類のキュウリは「Slicer」または「American」キュウリと呼ばれることが多い。色は濃い緑で、一般的な長さは7~10インチ(約18~25 cm)、直径は1.75~2.5インチ(4.4~6.4 cm)である。 http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2015/foodinfo201519m.pdf6 米国における豚肉が原因とみられるサルモネラによる集団感染情報  平成27年9月15日公表された食品安全委員会の食品安全関係情報で米国における豚肉が原因とみられるサルモネラによる集団感染に関する情報が報告されており、その主な内容は次のとおり。 米国疾病管理予防センター(CDC)は8月28日、Salmonella I 4,[5],12:i:- に汚染された豚肉が原因とみられる集団感染情報を更新した。 8月27日現在、ワシントン州から152人の感染届出があり、前回(8月14日)以降18人増えた。感染者は、4月25日から8月12日までの間に発病しており、年齢は1歳~90歳(中央値35歳)で、女性が47%を占める。情報の得られた144人中24人(17%)が入院したが、死者は出ていない。  疫学調査等の結果、Kapowsin Meats社製の豚肉が感染源と推定されている。現在感染者の面談調査を実施中で、89人中65人(73%)が発病の前週に豚肉を摂取したと回答している。健康な消費者を対象に前週の食事内容を尋ねたアンケートでは、豚肉が43%であることから、73%は有意な高比率であることが分かる。Kapowsin Meats社は、8月27日、自主回収の範囲を拡大し、237トンの豚肉製品を対象とした。回収製品は、バーベキュー用の豚肉及び豚の内臓、血液、クズ肉などである。 参考URLはこちら7 ノロウイルスによる食中毒の予防について通知  平成27年9月30日、厚生労働省は医薬食品局安全部監視課長名をもって各都道府県等衛生主管部(局)長宛に標記通知を出した。その主な内容は次のとおり。  例年、ノロウイルスによる食中毒は、冬期に多発し、年間食中毒患者数の約5割を占め、食中毒予防の観点から重要な問題となっています。発生件数は、毎年10月から増えはじめ、11月に急増する傾向があり、発生原因の多くは調理従事者を介したものとなっています。  食中毒患者数及び事案数ともに過去最大となった2006/2007年シーズンのノロウイルスの大流行は、変異株が急速に全国に広まったことによると推察されていますが、2014/2015年シーズンのノロウイルスを原因とする食中毒などの健康被害事例では、これまで検出例の少ない遺伝子型(GⅡ,17)のノロウイルスが検出されており、注意が必要です。  つきましては、本シーズンにおけるノロウイルスによる食中毒の発生防止のため、予め大量調理施設(弁当屋、仕出し屋、旅館、学校、病院等)等に対し、リーフレット、ノロウイルスに関するQ&A及び関連通知※に基づき、調理従事者の衛生管理について周知、指導を行うようお願いします。 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000098877.pdf8 次亜臭素酸水に係る食品健康影響評価に関する審議結果(案)の意見・情報の募集  平成27年9月30日、内閣府食品安全委員会事務局は、厚生労働大臣から食品安全委員会に求められた次亜臭素酸水に係る食品健康影響評価について、平成27年9月29日に開催された第578回食品安全委員会において添加物専門調査会における審議結果(案)を審議し、審議結果(案)について広く意見・情報を募ることとした。 締め切りは、平成27年10月29日(木)。  次亜臭素酸水は食肉表面の殺菌料として、米国では牛、豚、めん羊及び山羊の食肉の洗浄に用いる水に対し有効臭素濃度900ppm未満、食鳥の消毒、氷作成用の水に対し有効臭素濃度450ppm未満の使用が認められており、カナダでは、牛の食肉に有効臭素濃度300ppm未満、食鳥のチラー水、と体に有効臭素濃度300ppm未満が認められている。  厚生労働省の使用基準(案)は、「次亜臭素酸水は食肉表面の殺菌料としては食肉の表面殺菌の目的以外に使用してはならない。次亜臭素酸水の使用量は、臭素として食肉(食鳥肉を除く)にあっては浸漬液又は噴霧液1kgにつき0.90g以下、食鳥肉にあっては浸漬液又は噴霧液1kgにつき0.45g以下でなければならない。」と米国と同様の使用方法としている。  今後、厚生労働省は食品安全委員会からの答申を受け、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いた後、新たな添加物として指定し、使用基準を定めることとなる。 http://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc1_tenkabutu_hypobromousacidwater_270930.html9 ヒラメのKudoa septempunctata に係る食品健康影響評価に関する審議結果(案)の意見・情報の募集  平成27年9月30日、内閣府食品安全委員会事務局は平成25年3月に食品安全委員会水が自ら評価を行う案件として決定したクドア属粘液胞子虫について、平成27年9月29日に開催された第578回食品安全委員会において微生物・ウイルス専門調査会における審議結果(案)を審議し、審議結果(案)について広く意見・情報を募ることとした。 締め切りは、平成27年10月29日(木)  この中で、人への感染は、Kudoa septempunctata 胞子又は胞子原形質が腸管細胞に直接作用し、下痢又は嘔吐が出現するものと推察され、総胞子接種量は一症例当りおおむね10⁷個以上と推定している。 http://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc4_biseibutu-virus_kudoaseputempunctata_270930.html