平成27年12月号のレポートを掲載しました。

(株)中部衛生検査センター
 学術顧問
森田邦雄

1 レッドミートと加工肉に関するIARCの発表についての食品安全委員会の考え方公表

平成27年11月30日、食品安全委員会はIARC(国際がん研究機関)が、10月26日、加工肉を「ヒトに対して発がん性がある」、レッドミートを「ヒトに対しておそらく発がん性がある」と分類する、毎日50gの加工肉は大腸がんのリスクを18%増やす等の発表に対し、10月27日にFacebookで、この情報の見方には注意が必要との見解を示したが、改めてこの発表について詳しく解説した。その主な点は次のとおり。 IARCは、WHO(世界保健機構)傘下の、がん研究分野における国際協力の促進やがんの原因の特定により予防措置や病気の負担軽減に資することを目的とした研究機関です。WHOはIARCについて、WHOとは独立して活動しているとしています。主な活動として、物質や作業環境などの様々な要因(ハザード)の発がん性をグループ1〜グループ4に分類していますが、この分類は、発がん性を示す根拠があるかどうかによるものであり、ハザードの強さや摂取量による影響が考慮されておらず、したがってヒトの健康に対する影響の大きさを推し量れるものではありません。WHOは10月29日、来年早期に、食事と病気の関係を評価するIARCとは別の委員会で、加工肉とレッドミートについて、最新の科学に基づいて議論を始めると発表しています。 注 分類 グループ1:「ヒトに対して発がん性がある」、<ヒトにおいて「発がん性の十分な証拠」がある場合。> グループ2A:「ヒトに対しておそらく発がん性がある」、<ヒトにおいて「発がん性の限定的な証拠」があり、実験動物において「発がん性の十分な証拠」がある場合。> グループ2B:「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」、<ヒトにおいて「発がん性の限定的な証拠」があり、実験動物では「発がん性の十分な証拠」があると言えない場合。> グループ3:「ヒトに対する発がん性について分類できない」、<ヒトにおいては「発がん性の不十分な証拠」であり 実験動物において 発がん性の不十分な又は限定的な証拠 の場合。> グループ4:「ヒトに対しておそらく発がん性はない」、<ヒト及び実験動物において「発がん性がないことを示唆する証拠」がある場合。> 今回のIARCの発表については、各国の政府機関もコメントを発表しています。その内容としては、食肉や食肉加工品は、(欧米では摂り過ぎていることから)摂取量を適量とする必要はあるが、重要な栄養源であり、食生活全体の観点から捉えることが必要とするものが多いようです。 日本の国立がん研究センターは、平成27年10月29日、日本人の赤肉・加工肉の摂取量は1日当たり63gと世界で最も低い国の一つであり、大腸がんの発生に関して、平均的な摂取の範囲であれば赤肉や加工肉がリスクに与える影響は無いか、あっても小さいといえると発表しています。 なお、諸外国の肉類の国民1人・1日当たりの供給量(2011年)は、以下の通りですが、日本は欧米の半分程度となっています。(単位:g/日) アメリカ、322、ドイツ、241、フランス、242、イギリス、226、日本、123 これまでIARCは、単一の化学物質や、アルコール飲料、喫煙、「石炭ガス製造に従事」といった作業環境など、比較的均質でより直接的に発がんと関連があるものを評価しています。今回の「赤肉」「加工肉」のように、栄養成分を含む化学物質の集合体である食品を評価したのは、極めて異例であるといえます。 肉は、たんぱく質、ビタミンB群、鉄、亜鉛など、私たちの健康維持に必要な栄養成分を含んでおり、肉を極端に避けると栄養素が偏ってしまいます。一方で、肉を過剰に摂取すると、高脂肪・野菜不足となってしまう可能性があります。何かを避けたり、多く食べたりすることは、食生活全体のバランスを崩してしまいます。 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000103039.html2 「HACCP(ハサップ)」に取り組む事業者の公表を開始 平成27年11月30日、厚生労働省は、11月2日に募集したHACCP(ハサップ)チャレンジ事業に参加している13事業者を公表した。 この事業は、世界的にも推奨されている食品の衛生管理手法である「HACCP(ハサップ)」の導入に取り組む食品等事業者をウェブサイト上で紹介することで、事業者自らが積極的に策定、実行する HACCP による衛生管理の取組を応援するとともに、我が国における HACCP の普及を推進し、食品安全レベルの更なる向上を図るものである。また、この事業を通じて、HACCP の取組を消費者の方々をはじめ多くの方に広く知っていただき、HACCP 導入の輪を全国に広げていきたいと考えているとしている。 https://www.n-shokuei.jp/haccp/list3 「健康食品」について、食品安全委員会における報告書及びメッセージを公表 平成27年12月8日、食品安全委員会は、同日開催された委員会に置いて、健康食品に関する報告書及びメッセージをとりまとめ公表した。メッセージの内容は次のとおり。 「若さと健康を願うあなたに」、「△△の健康のための○○」といったキャッチフレーズを、毎日たくさん見聞きします。そして、医薬品のようにカプセルや錠剤の形をしたサプリメント、「健康によい」成分を添加した飲料や食品など、さまざまな「健康食品」が売られています。今や国民のおよそ半分の方々が、こうした「健康食品」を利用されているという調査もあり、「健康食品」市場が拡大しています。これは、健康で長生きしたいという古来変わらない人々の願望の表れでしょう。 「健康食品」がこのような願いに応えるものならばよいですが、残念ながら、現代でも「これさえ摂れば、元気で長生きできる」という薬や食品はありません。それどころか逆に、「健康食品」で健康を害することもあります。しかも、そのような情報は皆様の目に触れにくいのが現状です。消費者は、「健康食品」のリスクについての情報を十分に得られないまま、効果への期待だけを大きくしやすい状態に置かれているといえます。 食品安全委員会ではこういった状況を憂い、幅広い専門家からなるワーキンググループを作り、「健康食品」の安全性について検討しました。まず「健康食品」から健康被害が起こる要因を挙げ、次にその要因ごとに、健康被害事例などを含めた文献などからの科学的事実を調べ、皆様に知っていただきたい要点として取りまとめました。そうして作成した報告書からさらに抜粋して、皆様に向けて19項目のメッセージをまとめました。これらには「健康食品」で健康被害が出ることをなくしたいという本委員会の願いを込めました。 その中でお伝えしたいことのエッセンスは下記のとおりです。「健康食品」を摂るかどうかを判断するときに、是非知っておいていただきたいことをまとめてあります。これらを読んで、「健康食品」についての科学的な考え方を持って、その判断をしてください。健康被害を避けるためにとても大切な知識です。 いわゆる「健康食品」に関する検討ワーキンググループ  座長 脇 昌子 食品安全委員会委員長 佐藤 洋 「健康食品」については、多くの人での何年にも及ぶ長期間の科学的研究が少なく、安全性や有効性が確立しているとはいえません。「健康食品」を利用するかどうかはあなたの判断次第です。信頼のできる情報を基に、あなた自身の健康に役立つ選択をしてください。 ここでいう「健康食品」とは、「健康への効果やダイエット効果をうたって販売されている食品」を言います。これには、特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品も含まれます。 また、ここでは「サプリメント」とは、カプセル・錠剤・粉末・顆粒形態の「健康食品」を言います。 記 「食品」であっても安全とは限りません。 ● 健康被害のリスクはあらゆる食品にあります。身近な「健康食品」にも健康被害が報告されています。 ● 「天然」「ナチュラル」「自然」のものが、安全であるとは限りません。これは食品全般に言えることです。 ● 栄養素や食品についての評価は、食生活の変化や科学の進展などにより変わることがあります。健康に良いとされていた成分や食品が、その後、別の面から健康を害するとわかることも少なくありません。 多量に摂ると健康を害するリスクが高まります。 ● 錠剤・カプセル・粉末・顆粒の形態のサプリメントは、通常の食品よりも容易に多量を摂ってしまいやすいので注意が必要です。 ビタミン・ミネラルをサプリメントで摂ると過剰摂取のリスクがあります。 ● 現在の日本では、通常の食事をしていればビタミン・ミネラルの欠乏症が問題となることはまれであり、ビタミン・ミネラルをサプリメントで補給する必要性を示すデータは今のところありません。健全な食生活が健康の基本です。 ● むしろサプリメントからの摂り過ぎが健康被害を起こすことがあります。特にセレン、鉄、ビタミンA、ビタミンDには要注意です。 「健康食品」は医薬品ではありません。品質の管理は製造者任せです。 ● 病気を治すものではないので、自己判断で医薬品から換えることは危険です。 ● 品質が不均一、表示通りの成分が入っていない、成分が溶けないなど、問題ある製品もあります。成分量が表示より多かったために健康被害を起こした例があります。 誰かにとって良い「健康食品」があなたにとっても良いとは限りません。 ● 摂取する人の状態や摂取量・摂取期間によって、安全性や効果も変わります。 ● 限られた条件での試験、動物や細胞を用いた実験のみでは効果の科学的な根拠にはなりません。口コミや体験談、販売広告などの情報を鵜呑みにせず、信頼のできる情報※をもとに、今の自分とって、本当に安全なのか、役立つのかを考えてください。 メッセージ http://www.fsc.go.jp/osirase/kenkosyokuhin.data/kenkosyokuhin_message.pdf 報告書 http://www.fsc.go.jp/osirase/kenkosyokuhin.data/kenkosyokuhin_datakenkosyokuhin_houkoku.pdf4 平成26年「国民健康・栄養調査」の結果公表 平成27年12月9日、厚生労働省健康局健康課栄養指導室栄養調査係は標記調査結果を公表した。これは、平成26年11月に実施した「国民健康・栄養調査」の結果を取りまとめましたので、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料として、国民の身体の状況、栄養摂取量及び生活習慣の状況を明らかにするため、毎年実施している。平成26年は重点項目として、所得と生活習慣等に関する状況について把握した。 今回は、平成26年国民生活基礎調査において設定された単位区から無作為抽出した300単位区内の5,432世帯を対象として実施し、有効回答が得られた3,648世帯について集計したもので、調査結果のポイントは次のとおり。 〈所得と生活習慣等に関する状況〉 ● 生活習慣等の状況について、所得の低い世帯では、所得の高い世帯と比較して、穀類の摂取量が多く野菜類や肉類の摂取量が少ない、習慣的に喫煙している者の割合が高い、健診の未受診者の割合が高い、歯の本数が20歯未満の者の割合が高いなど、世帯の所得の違いにより差がみられた。 〈健診の受診に関する状況〉 ● 健診を受診していない者では、健診を受診している者と比較して、男女ともに現在習慣的に喫煙している者の割合、運動習慣がない者の割合、血圧の平均値が高く、女性に関しては肥満者の割合も高かった。 〈基本項目に関する状況〉 ● 肥満者の割合、糖尿病が強く疑われる者の割合は、男女ともに増加せず推移し、収縮期血圧の平均値は経年的にみて男女ともに低下傾向にあるなど、生活習慣病の予防対策に一定の効果がみられている。 ● 一方で、喫煙している者の割合は平成22年以降男女とも減少しておらず、このうち、たばこをやめたいと思う者の割合が男性26.5%、女性38.2%にとどまるなど、引き続き対策が必要である http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000106405.html 平成26 年国民健康・栄養調査結果の概要 http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000106547.pdf5 世界保健機関(WHO)が世界の食品由来疾患実被害に関する推定値を初めて発表 国立医薬品食品衛生研究所安全情報部の食品安全情報(微生物)No.25 / 2015(2015.12.09)によると、世界保健機関(WHO)が世界の食品由来疾患実被害に関する推定値を初めて発表した内容を紹介している。その主なものは次のとおり ● 世界保健機関(WHO)が初めて発表した世界の食品由来疾患実被害の推定によると、汚染食品の喫食によって年間で約10人に1人が発症し、その結果として420,000人が死亡している。 ● 5歳未満の小児のリスクが特に高く、食品由来疾患によって毎年125,000人が死亡している。 ● 食品由来疾患実被害が最も大きいのは、WHOのアフリカ地域事務局および東南アジア地域事務局が管轄する地域である。 ● 本報告書では、31種類の病因物質(細菌、ウイルス、寄生虫、毒素、化学物質)について食品由来疾患実被害が推定されており、これによると毎年6億人、すなわち世界の人口の約10人に1人が汚染食品の喫食により発症している。このうち5歳未満の小児125,000人を含む420,000人が死亡している。 ● 世界の食品由来疾患実被害の半分以上を下痢性疾患が占めており、その年間の患者数は5億5千万人で、うち死亡者は230,000人である。小児は食品由来下痢性疾患のリスクが特に高く、年間患者数は2億2千万人で、そのうち96,000人が死亡している。下痢症は、ノロウイルス、カンピロバクター、非チフス性サルモネラ、病原性大腸菌などに汚染された食肉、卵、生鮮農産物および乳製品を生または加熱不十分で喫食することで発症する場合が多い。 http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2015/foodinfo201525m.pdf6 平成27年度輸入食品監視指導計画監視結果(中間報告)の公表 平成27年12月18日、厚生労働省医薬・生活衛生局 生活衛生・食品安全部監視安全課 輸入食品安全対策室は、平成27年度輸入食品監視指導計画に基づく、平成27年4月から9月までの監視結果(中間報告)を取りまとめ公表した。その主な内容は次のとおり。 【 】カッコ内は昨年度同期の数値 届出件数は1,134,155 件【1,138,913 件】であり、届出重量は11,416 千トン【11,952 千トン】であった。これに対し、101,922 件(検査命令31,764 件、モニタリング検査28,539件、自主検査47,067 件)【99,165 件(検査命令28,153 件、モニタリング検査27,719 件、自主検査47,739 件)】について検査を実施し、このうち431件【430 件】を法違反として、積み戻し又は廃棄等の措置を講じた。 違反事例を条文別にみると、食品の微生物規格、残留農薬の基準、添加物の使用基準等の規格基準に係る法第11 条違反の312 件が最も多く、次いでアフラトキシン等の有害・有毒物質の付着等に係る法第6条違反の105 件、添加物等の販売等の制限に係る法第10 条違反の26 件、器具又は容器包装の規格に係る法第18 条違反の17 件となっている。 平成27 年度のモニタリング検査実施状況をみると、延べ95,090件の計画に対し、延べ57,455 件(実施率:約60%)を実施し、このうち延べ93 件を法違反として、回収等の措置を講じるとともに、違反の可能性を判断するためモニタリング検査を強化する措置を講じた。さらに、モニタリング検査強化等の結果、法違反の可能性が高いと見込まれる輸入食品等については、輸入の都度、輸入者に対し検査を受けるべきことを命じることとする検査命令へ移行させ監視体制を強化した。 平成27 年9 月30 日現在で、全輸出国対象の17品目及び29 カ国・1 地域の75 品目を検査命令の対象としており、実績をみると、延べ47,760件の検査命令を実施し、このうち延べ116 件を法違反として、積み戻し又は廃棄等の措置を講じた。 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/heisei27_cyukanhoukokube.pdf7 地理的表示(GI)の登録について 平成27年12月22日、農林水産省は、平成27年6月1日に施行された「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(地理的表示法)」に基づき、7産品の地理的表示(GI: Geographical Indication)を登録したことを公表した。この法律の目的は第1条に次の通り規定している。 第一条 この法律は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定附属書一Cの知的所有権の貿易関連の側面に関する協定に基づき特定農林水産物等の名称の保護に関する制度を確立することにより、特定農林水産物等の生産業者の利益の保護を図り、もって農林水産業及びその関連産業の発展に寄与し、併せて需要者の利益を保護することを目的とする。 具体的に、地理的表示(GI)保護制度は、地域で長年育まれた特別な生産方法によって、高い品質や評価を獲得している農林水産物・食品の名称を品質の基準とともに国に登録し、知的財産として保護するもので、農林水産省は、法定された手続(学識経験者からの意見聴取等)を経て、地理的表示法に基づき生産地や品質等の基準とともに次の7産品の地理的表示を登録したものである。 地理的表示法に基づき登録された特定農林水産物等 登録番号 名称 登録生産者団体 特定農林水産物等の生産地 1 あおもりカシス あおもりカシスの会 東青地域(青森県青森市、青森県東津軽郡平内町、青森県東津軽郡今別町、青森県東津軽郡蓬田村、青森県東津軽郡外ヶ浜町) 2 但馬牛 神戸肉流通推進協議会 兵庫県内 3 神戸ビーフ 神戸肉流通推進協議会 兵庫県内 4 夕張メロン 夕張市農業協同組合 北海道夕張市 5 八女伝統本玉露 八女伝統本玉露推進協議会 福岡県内 6 江戸崎かぼちゃ 稲敷農業協同組合 茨城県稲敷市及び牛久市桂町 7 鹿児島の壺造り黒酢 鹿児島県天然つぼづくり米酢協議会 鹿児島県霧島市、福山町及び隼人町 http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/chizai/151222.html8 「食品表示基準について」の一部改正について 平成27年12月24日、消費者庁は次長名をもって各都道府県知事等宛に食品表示基準について」(平成27年3月30日付け消食表第139 号消費者庁次長通知)の一部を改正する通知を出した。 主なものは、平成28年4月1日より施行される食品表示基準に基づく製造所固有記号制度に係るもの及び食品表示基準(平成27 年内閣府令第10 号)第7条の表「栄養成分又は熱量の適切な摂取ができる旨」の項の3の二に、低減された旨の表示について「ナトリウムの含有量を25パーセント以上低減することにより、当該食品の保存性及び品質を保つことが著しく困難な食品について、ナトリウムに係る低減された旨の表示をする場合あっては、ナトリウムの量が当該他の食品に比べて低減された割合」を表示する特例を設けており、今般、「みそ」及び「しょうゆ」については、当該規定に該当する食品としたものである。その主な改正点は次のとおり。 (1)食品表示基準第3条第1項の表の製造所又は加工所の所在地に係る製造所固有記号が認められる、原則として同一製品を2以上の製造所で製造している場合について、その考え方が次のように示されている。 ア 同一製品について 「同一製品」とは、同一の規格で同一の包材を使用した製品をいう。 (ア) 「同一の規格」とは、原則として、その製品の原材料や添加物の配合、内容量等、通常包材に表示される内容が同一であることをいう。 (イ) 「同一の包材」とは、包材のうち、いわゆるデザイン部分が同一であることはもちろ んのこと、いわゆる表示部分(法定されている表示のみならず、法定されていない表示も指す。)についても同一であることをいう。 ただし、製造所固有記号や消費期限・賞味期限、ロット番号その他製造所において包材に印字することを前提とする表示部分については、包材の同一性に影響を与えない。 イ 同一製品を2以上の製造所で製造している場合について (ア) 「同一製品を2以上の製造所で製造している場合」とは、製造所固有記号の届出時に、次の2つの要件を満たすものとする。 (a) 2以上の製造所が、それぞれ、食品の衛生状態を最終的に変化させる場所であること。 (b) 製造所固有記号の使用によって包材が共有化されること。 (イ) ただし、次に掲げる場合に該当するときには、(ア)の要件を満たさなくとも、「同一製品を2以上の製造所で製造している場合」と取り扱うこととする。 (a) 届出時に1つの製造所で製造している場合であって、オ(エ)の有効期間内に、同一製品につき製造を行うことが計画されている製造所について、製造計画書を添付して届け出るとき。 なお、(a)については、将来的に1つの製造所で製造することが確実となった場合は、製造所固有記号の使用を中止し、当該記号の廃止の届出をしなければならないこととする。当該記号の廃止後、計画に変更が生じ、2以上の製造所で製造することになり、製造所固有記号を使用する場合には、再度、新規の届出を行う必要がある。この場合、廃止した製造所固有記号を使用することはできない。 ウ 表示の方法について (ア) 製造所の所在地(乳にあっては、乳処理場(特別牛乳にあっては、特別牛乳搾取処理場)の所在地)の代わりに製造者(乳にあっては、乳処理業者(特別牛乳にあっては、特別牛乳搾取処理業者))の住所(法人の場合は原則として本社所在地)をもって表示する場合にあっては、製造所固有記号は、製造者の住所、氏名又は名称の次に、「+」を冠して表示することを原則とする。 オ 届出の方法について (ア) 製造所固有記号の届出は、製造所固有記号制度届出データベースにおいて、表示内容に責任を有する製造者(乳にあっては乳処理業者(特別牛乳にあっては特別牛乳搾取処理業者))又は販売者(乳、乳製品及び乳又は乳製品を主要原料とする食品を販売する者を除く。)(以下「届出者」という。)が行うものとする。 通知 http://www.caa.go.jp/foods/pdf/151224_tuchi-bun.pdf 別紙 http://www.caa.go.jp/foods/pdf/151224_tuchi-shinkyu.pdf9 「食品表示基準Q&A」の一部改正について 平成27年12月24日、消費者庁は食品表示企画課長名をもって各都道府県食品表示担当部(局)長宛に食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)に基づく製造所固有記号制度について、平成28 年4月1日から施行されることに伴い、「食品表示基準Q&A」(平成27年3月30日付け消食表第140号消費者庁食品表示企画課長通知)の一部を改正し、また、食品表示法(平成25年法律第70号)施行後における事業者等からの問合せを受け、食品表示基準に係る本Q&Aにおいて明確化すべきと判断した点等について、改正したものを通知した。なお、食品表示基準に基づく製造所固有記号制度に係る本通知の運用については、平成28 年4月1日より開始するとしている。Q&Aの目次は次のとおり。 Ⅰ 制度 (固有記号-1)製造所固有記号制度とは何ですか。 (固有記号-2)平成28年4月1日に施行される食品表示基準に基づく製造所固有記号の制度とこれまでの制度との違いを教えてください。 (固有記号-3)アイスクリーム、牛乳、チーズ等に販売者の住所及び氏名又は名称と製造所固有記号をもって表示することはできますか。 Ⅱ 同一製品 (固有記号-4)以下の製品Aと製品Bは、「同一製品」に該当しますか。 ① 「通常販売している製品A」と「原材料及び添加物の配合等規格は製品Aと同一である が、季節限定パッケージに入れられた製品B」 ② 「通常販売している製品A」と「原材料及び添加物の配合等規格は製品Aと同一である が、内容量が異なり、包材の大きさも異なる製品B」 ③ 「通常販売している商品A」現行の包材の上にキャンペーン等のシールを貼る場合又は販促品(おまけ)を取り付ける場合 (固有記号-5)外見から内容量が分かるものは内容量の表示を省略できる場合がありますが、例えば、表示のない個包装の加工食品を3つ束ねて表示しているものと5つ束ねて表示しているものは、「同一製品」に該当しますか。 (固有記号-6)同一規格について、例外となるケースはありますか。 Ⅲ 原則として同一製品を2以上の製造所で製造している場合 (固有記号-7)「原則として同一製品を2以上の製造所で製造している場合」に製造所固有記号を使用することができるとなっていますが、「例外」について具体的に教えてください。 (固有記号-8)同一敷地内で建屋が異なる2つの自社工場A、Bで同一製品を製造している場合であって、住所が同じとき又は異なるときは、いずれも「同一製品を2以上の製 造所で製造している場合」の要件に該当しますか。 (固有記号-9)自社工場AとBがあり、それぞれにおいて、同一製品を製造しています。自社工場Aの所在地が本社と同じ場合には、「同一製品を2以上の製造所で製造している場合」に該当しますか。 (固有記号-10)同一製品を自社工場Aと他社工場B(製造委託)で製造している場合は、「同一製品を2以上の製造所で製造している場合」に該当しますか。また、該当する場合、届出や表示はどのように行えばよいですか。 (固有記号-11)以下の場合は、「同一製品を2以上の製造所で製造している場合」に該当しますか。 ① 中間加工原料を製造する工場と、その後、それを用いて最終製品を製造する工場の2工場で製造する場合 ② 繁忙期(例えば、年末の1~2か月間)だけ、2以上の工場で製造する場合 ③ 新商品について、売行きがよい場合には、2以上の工場で製造する予定がある場合 ④ 届出時には2以上の工場で製造しているが、届出の有効期間内に製造を縮小し、いずれ1工場で製造する予定がある場合 Ⅳ 応答義務 (固有記号-12)製造所の所在地等が製造所固有記号で表示されている場合、消費者は、どのようにして製造所の所在地等を把握すればよいですか。 (固有記号-13)製造所固有記号で表示される製造所の所在地又は製造者の氏名若しくは名称の情報の提供を求められたときに回答する者は誰になるのですか。 (固有記号-14)製造所固有記号で表示される製造所の所在地や製造者の氏名若しくは名称について、消費者から情報の提供を求められたときには、何をどこまで回答したらよいのですか。 (固有記号-15)製造所固有記号が表す製造所の所在地及び製造者の氏名又は名称を表示したウェブサイトとして、消費者庁のデータベースへのリンクを張ることはできますか。 (固有記号-16)表示されたアドレスのウェブページに製造所の所在地又は製造者の氏名若しくは名称そのものを掲載する必要がありますか。 (固有記号-17)食品表示基準第3条第1項の規定に基づき、製造所固有記号を表示する場合に、別途次の項目のいずれかを表示する必要がありますが、具体的な表示方法を教えてください。 ① 製造所の所在地又は製造者の氏名若しくは名称の情報の提供を求められたときに回答する者の連絡先 ② 製造所固有記号が表す製造所の所在地及び製造者の氏名又は名称を表示したウェブサ イトのアドレス(二次元コードその他のこれに代わるものを含む。) ③ 当該製品を製造している全ての製造所の所在地又は製造者の氏名若しくは名称及び製 造所固有記号 (固有記号-18)固有記号-17の質問中の①及び②に関する事項名は、それぞれ、「お客様ダイヤル」、「当社ウェブサイトアドレス」に限定されるのでしょうか。 (固有記号-19)製造所固有記号が表す製造所の所在地及び製造者の氏名又は名称を表示したウェブサイトにアクセスできる二次元コードを表示する場合には、どのように表示したらいいですか。 Ⅴ 届出の方法等 (固有記号-20)平成28年4月1日から運用が開始される予定の新しいデータベースへの入力方法等の具体的な手続はどのようになりますか。 (固有記号-21)食品表示基準に基づく製造所固有記号を表示する場合には、改めて届出を行う必要がありますが、その際、廃止された食品衛生法第十九条第一項の規定に基づく表示の規準に関する内閣府令(平成23年内閣府令第45号。以下単に「旧制度」という。)に基づき取得している製造所固有記号と同じ記号を届け出ることはできますか。 (固有記号-22)製造所固有記号は、新しいデータベースに届出(登録)した日から使用することができますか。 (固有記号-23)製造所固有記号は5年ごとに更新の届出を必要としていますが、起算日はどの時点になりますか。また、更新の届出は5年の期間が満了する日の何日前からできますか。 (固有記号-24)有効期間内に製造所に係る届出情報を変更した場合の更新期限は、当該変更の届出を行った日から起算して5年になりますか。 (固有記号-25)製造所固有記号の廃止の届出を行ったのですが、同じ製造所で、再度、同一製品を製造することになりました。この場合、廃止した製造所固有記号と同じ記号で再度届け出ることはできますか。 (固有記号-26)新たな製造所固有記号の届出について、 ①届出先 ②届出に必要な書類 ③届出の方法 ④届出が受理されたことをどのようにして知ることができるか ⑤届出を行った記号についてデータベースに掲載されていることを確認する際にはどうすればよいか ⑥届出に不備があった場合どうすればよいか 等届出に係る手続について教えてください。 (固有記号-27)製造所に係る届出情報を変更する場合や製造所固有記号の使用を中止した場合の手続を教えてください。 (固有記号-28)製造所に係る届出情報に変更が生じた場合や製造所固有記号の使用を中止する場合は、速やかに届出を行うこととされていますが、変更や中止した日から何日以内に届け出る必要がありますか。 (固有記号-29)製造者又は販売者と製造所固有記号の組合せから製造所を特定することが困難になる場合は、製造所に係る届出情報の変更が認められないとありますが、具体的にどのような場合ですか。 (固有記号-30)当社の名称は、英語(ローマ字)表記で法人登記を行っていますが、製造所固有記号の届出に必要な製造者の名称も法人登記している英語(ローマ字)表記の名称で問題ないですか。 (固有記号-31)製造所固有記号制度の基本情報について、食品関連事業者の名称や住所(所在地)は、どのように届け出ればよいでしょうか。 (固有記号-32)食品関連事業者の住所(所在地)について、新しい製造所固有記号では、法人の場合、本社の住所(所在地)を届け出ることになっていますが、包材に表示する食品関連事業者(表示責任者)が営業所の場合、住所は、どのように届け出ればよいでしょうか。 (固有記号-32)食品関連事業者の住所(所在地)について、新しい製造所固有記号では、法人の場合、本社の住所(所在地)を届け出ることになっていますが、包材に表示する食品関連事業者(表示責任者)が営業所の場合、住所は、どのように届け出ればよいでしょうか。 (固有記号-33)製造所固有記号は、屋号のみで届け出ることはできますか。 (固有記号-34)食品を製造している工場を有する食品関連事業者と最終的に衛生状態を変化させる小分け包装を行う工場を有する食品関連事業者が異なる場合、小分け包装後の食品に係る製造所固有記号の届出に当たり、どちらの食品関連事業者を届け出ることになりますか。 (固有記号-35)製造所固有記号は誰が決めるのですか。 (固有記号-36)製造所固有記号には文字の種類や文字数に制限がありますか。 (固有記号-37)製造所固有記号に冠する「+」は、製造所固有記号の一部に当たりますか。 (固有記号-38)1社の販売者から複数の食品の委託を受けている製造者が、同一製品を複数の製造所で製造している場合、食品ごとに製造所固有記号を変えることはできますか。 (固有記号-39)1社の販売者から複数の製造所に同一製品の製造を委託する場合、それぞれの製造所に対し、同一の製造所固有記号を使用することは認められますか。 (固有記号-40)同一の事業者が、表示責任者として製造者及び販売者の双方の立場になることがありますが、例えば、A社が同一製品を自らの製造所Bと他者の製造所Cで製造する場合、製造所Bと製造所Cの製造所固有記号をいずれも「X」として届け出ることができますか。 (固有記号-41)製造所固有記号の届出に関し、変更や廃止のための届出制度はありますか。 (固有記号-42)製造所固有記号制度届出データベースによる届出以外の方法による届出は可能ですか。 (固有記号-43)電話で受付状況の問合せができますか。 (固有記号-44)製造所固有記号の各種届出に、手数料は掛かりますか。 (固有記号-45)届出が完了するまでの日数はどれくらい掛かりますか。 Ⅵ 表示の方式等 (固有記号-46)製造所固有記号に冠する「+」は、包材にあらかじめ印刷しておく必要がありますか、それとも製造所固有記号の印字と同時に印字してもよいのでしょうか。 (固有記号-47)新しい製造所固有記号については、全角で届出をしていますが、包材に製造所固有記号を表示する際に全角で表示する必要がありますか。 (固有記号-48)「食品表示基準について」では、同一製品を、製造者が自らの製造所で製造するとともに、他者の製造所に委託して製造する場合には、食品表示基準別記様式1の「製造者」及び「販売者」の事項名を表示しなくとも差し支えないとしていますが、なぜでしょうか。 Ⅶ 業務用食品 (固有記号-49)業務用食品も同一製品を2以上の製造所で製造していなければ、製造所固有記号を使用できないのですか。 (固有記号-50)業務用食品に製造所固有記号を使用する場合、「+」を冠して表示しなければならないのでしょうか。 Ⅷ 経過措置期間の扱い (固有記号-51)新たな製造所固有記号制度の施行から経過措置期間中(平成28年4月1日~平成32年3月31日)に、従前の製造所固有記号制度における届出をすることはでき ますか。 (固有記号-52)新しい製造所固有記号制度は、平成28年4月1日に施行されますが、旧制度に基づく製造所固有記号の表示の経過措置期間は設けられていまか。 (固有記号-53)旧制度に基づく製造所固有記号の届出については、平成28年3月31日までとされていますが、下記のような場合には、旧制度下において届け出た内容と異なる。 (固有記号-53)旧制度に基づく製造所固有記号の届出については、平成28年3月31日までとされていますが、下記のような場合には、旧制度下において届け出た内容と異なるため、旧制度に基づく製造所固有記号による表示はできなくなるのでしょうか。 ① 市町村合併により住所変更が生じた場合 ② 有限会社(特例有限会社)から株式会社に変更した場合 ③ 個人事業主が法人化した場合 (固有記号-54)賞味期限が3年の一般用加工食品の場合、当該製品を平成29年6月に製造すると、賞味期限は平成32年5月になります。賞味期限の平成32年5月は経過措置期間が過ぎていることになりますが、この場合、平成29年5月の製造時に製造所固有記号の新制度のみが適用されるのでしょうか。 通知 http://www.caa.go.jp/foods/pdf/151224_qa-tuchi-bun.pdf Q&A http://www.caa.go.jp/foods/pdf/151224_qa-shinkyu.pdf10 日本食品標準成分表2015年版(七訂)について 平成27年12月25日、文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会では、日本食品標準成分表を5年ぶりに改訂しまし公表した。今般の改訂は、15年ぶりとなる収載食品の拡充や、新たに炭水化物成分表を作成するなど、大幅なものとなった。 http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365295.htm