平成28年6月号のレポートを掲載しました。

(株)中部衛生検査センター
 学術顧問
森田邦雄

1 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部改正

平成28年6月8日、厚生労働省は医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長名をもって各都道府県知事等宛に、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部を改正する省令(平成28 年厚生労働省令第109 号)が本日公布され、これにより乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部が改正されたところであり、その運用等について通知した。その主な内容は次のとおり。 第1 改正の概要 (1) 食品衛生法第11 条第1項の規定に基づき、脱脂濃縮乳の製造において、たんぱく質量の調整のために、乳糖及び生乳、牛乳、特別牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳又は無脂肪牛乳からろ過により得られたものを使用することを認めたこと。 (2) 脱脂濃縮乳の製造基準として、新たに、脱脂粉乳と同様に、保持式により63℃で30 分間加熱するか、又はこれと同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌すること及び工程中は10℃以下又は48℃を越える温度で管理すること等を定めたこと。 (3) 脱脂濃縮乳の保存基準について、製造実態に基づき、「濃縮後直ちに10℃以下に冷却して保存すること」から「濃縮後(濃縮後殺菌した場合にあっては殺菌後)直ちに10℃以下に冷却して保存すること」に改正したこと。 第2 施行・適用期日 公布日から適用されるものであること。経過措置として、第1の(2)については、公布日から6月以内に限り、なお従前の例によることができること。ただし、第1の(1)の規定により、たんぱく質量の調整のため、乳糖及び生乳、牛乳、特別牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳又は無脂肪牛乳からろ過により得られたものを使用する場合は、第1の(2)の製造基準を満たすこと。 第3 運用上の注意 脱脂濃縮乳の製造に当たり、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について」(平成14 年12月20日付け食発1220004 号厚生労働省医薬局食品保健部長通知)中の第3の1に準じて指導すること。 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/jititai_1.pdf2 食品、添加物等の規格基準の一部を改正 平成28年6月8日、厚生労働省は医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長名をもって各都道府県知事等宛に、食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(平成28 年厚生労働省告示第245号)が本日公布され、これにより食品、添加物等の規格基準の一部が改正されたところであり、その運用等について通知した。その主な内容は次のとおり。 第1 改正の概要 (1) 食品衛生法第11 条第1項の規定に基づき、生食用鮮魚介類、生食用かき及び冷凍食品(生食用冷凍鮮魚介類に限る。)(以下「生食用鮮魚介類等」という。)の加工基準において、亜塩素酸水、次亜塩素酸水及び次亜塩素酸ナトリウム並びに水素イオン濃度調整剤(以下「pH 調整剤」という。)として用いられる塩酸に加え、pH調整剤として用いられる二酸化炭素の使用を認めることとしたこと。 (2) 硫酸亜鉛の使用基準を一部改正し、新たに発泡性酒類に使用することを認めることとしたこと。 (3) ポリエチレンナフタレートを主成分とする合成樹脂製の器具又は容器包装について、個別規格を設定することとしたこと。 第2 適用期日 公布日から適用されるものであること。ただし、公布日から起算して6月を経過した日までに製造され、又は輸入されるポリエチレンナフタレートを主成分とする合成樹脂製の器具又は容器包装については、なお従前の例によることができること。 第3 生食用鮮魚介類等に関する事項 運用上の注意 二酸化炭素については、生食用鮮魚介類等に対し、次亜塩素酸ナトリウムの使用等に伴いpH 調整剤として使用することは認められるが、生食用鮮魚介類等の加工時に二酸化炭素を直接使用することは認められないこと。 第4 添加物に関する事項 運用上の注意 (1) 硫酸亜鉛については、発泡性酒類を製造する際のイーストフードとして、新たに発泡性酒類に使用することを目的として改正したものであること。 (2) 硫酸亜鉛の使用に当たっては、適切な製造工程管理を行い、食品中で目的とする効果を得る上で必要とされる量を超えないものとすること。 第5 器具若しくは容器包装又はこれらの原材料の材質別規格に関する事項 運用上の注意 ポリエチレンナフタレートを主成分とする合成樹脂製の器具又は容器包装とは、基ポリマー中のエチレンナフタレートの含有率が50%以上のものをいうこと。 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/jititai.pdf3 平成28年度食品、添加物等の夏期一斉取締りの実施 平成28年6月17日、厚生労働省は医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長名をもって各都道府県知事等に標記通知を出した。実施時期は平成28年7月1日から30日で、その主な内容は次のとおり。なお、実施要領については公表していない。 夏期に多発する食中毒等の食品による事故の防止を図るとともに、積極的に食品衛生の向上を図る見地から、例年のとおり、全国一斉に標記取締りを行うこととしたので、別添の実施要領に基づき遺漏なく実施されるよう願います。 実施計画の策定に当たっては、平成27年度夏期一斉取締りの結果を参考とし、大量調理施設等に対する監視指導を行うとともに、腸管出血性大腸菌、カンピロバクター等による食中毒防止対策等について監視指導を願います。 また、監視指導の結果、汚染食品を発見した場合のほか、食中毒が発生した場合には流通経路の遡り調査を徹底して行い、汚染源を排除するための適切な措置を講ずるとともに、関係機関への速やかな情報提供に努められるよう願います。 本通知は「食品衛生に関する監視指導の実施に関する指針」(平成15年厚生労働省告示第301号)第3の六に基づき、一斉取締りの実施に当たって厚生労働省が示す方針であるが、本実施要領は基本的事項であり、各都道府県等において、都道府県等食品衛生監視指導計画等に基づき、適宜事項を追加して実施されるよう願います。 なお、取りまとめ結果については、公表することとしている。 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000127789.pdf4 飲食店におけるカンピロバクターによる食中毒予防の指導 平成28年6月17日、厚生労働省は医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部監視安全課名をもって各都道府県等衛生主管部(局)宛に標記事務連絡を出した。その内容は次のとおり。 細菌性食中毒の発生件数のうち、飲食店で提供された生又は加熱不十分な食鳥肉(内臓を含む。)を原因とするカンピロバクター食中毒が多数を占めている。 今般、カンピロバクターによる食中毒予防に係る生又は加熱不十分な食鳥肉料理を提供する飲食店営業者向けのリーフレットを厚生労働省ホームページに掲載した。 ついては、平成28年度食品、添加物等の夏期一斉取締り(平成28年6月17日付け生食発0617第1号)等、関係事業者に対する指導に当たっては、当該リーフレットを活用しつつ、カンピロバクターによる食中毒予防について指導を徹底されるようお願いする。 (参考)リーフレット 厚生労働省ホームページ食中毒細菌による食中毒カンピロバクター (参照リンクはこちら) 事務連絡 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000128385.pdf5 食品衛生法等の規定に基づく食品等の表示に係る夏期一斉取締りの実施 平成28年6月23日、消費者庁は平成28年6月13日次長名をもって各都道府県知事等に標記通知を出したことを公表した。この通知は、「食品衛生に関する監視指導の実施に関する指針」(平成15 年厚生労働省告示第301 号)に基づき食品衛生の監視指導の強化が求められる夏期において、食品等の表示の適正を確保する観点から、全国一斉に標記取締りを実施するためのものである。その主なものは次のとおり 実施計画の策定に当たっては、平成27年度夏期一斉取締りの結果を参考にするとともに、食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)に定める表示事項(食品表示法第六条第八項に規定するアレルゲン、消費期限、食品を安全に摂取するために加熱を要するかどうかの別その他の食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす事項等を定める内閣府令(平成27 年内閣府令第11 号)第5条第1項に定める事項に係るものに限る。)が遵守されるよう監視指導をお願いする。 (1) 実施時期:平成28 年7月1日から同月31 日まで (2) 主な監視指導事項 ア アレルゲン、期限表示等の衛生・保健事項に関する表示 イ 保健機能食品及びいわゆる健康食品の表示 ウ 道の駅や産地直売所、業務用加工食品の表示適正化 エ 食中毒等の健康被害事案に係る原産地表示調査等の関係機関の連携 オ 食品表示基準に基づく表示方法の普及・啓発 http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/pdf/160623_pressrelease_0003.pdf6 「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」の成案公表 平成28年6月30日、消費者庁表示対策課食品表示対策室は標記について、パブリックコメント手続を終了し、従来のものを全面改正し公表した。 その目次は次のとおり 第1 はじめに 第2 本留意事項の対象とする「健康食品」 第3 景品表示法及び健康増進法について 第4 景品表示法及び健康増進法上問題となる表示例 第5 違反事例 「第1 はじめに」の内容は次のとおり 近年、国民の健康志向の高まりから、健康食品が広く普及する中、インターネット等を利用した広告・宣伝も活発に行われている。 一方で、このような広告・宣伝の中には、健康の保持増進の効果等が必ずしも実証されていないにもかかわらず、当該効果等を期待させるような健康増進法上の虚偽誇大表示や不当景品類及び不当表示防止法上の不当表示(優良誤認表示)(以下、これらを併せて「虚偽誇大表示等」という。)に該当するおそれのある宣伝等も見受けられる。虚偽誇大表示等は、健康増進法や景品表示法による禁止の対象となる。 消費者庁は、健康食品の広告その他の表示について、どのようなものが虚偽誇大表示等として問題となるおそれがあるかを明らかにするため、景品表示法及び健康増進法の基本的な考え方を示すとともに、具体的な表示例や、これまでに景品表示法及び健康増進法において問題となった違反事例等を用いて、「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(以下「本留意事項」という。)を取りまとめたので、これを公表する。 なお、本留意事項においては、景品表示法及び健康増進法上問題となる表示例を具体的に示しているが、虚偽誇大表示等に関する景品表示法及び健康増進法の規定は、いずれも、特定の用語、文言等の使用を一律に禁止するものではない。虚偽誇大表示等に該当するか否かは、表示全体から、表示ごとに個別具体的に判断されることに留意する必要がある。 また、「いわゆる健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(平成25年12 月24 日消費者庁)は廃止する。 http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/160630premiums_8.pdf7 「大量調理施設衛生管マニュアル」の改正について 平成28年7月1日、 厚生労働省は医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長名をもって各都道府県知事等宛に標記通知を出した。その内容は次のとおり。 「大量調理施設衛生管理マニュアル」については、「大規模食中毒対策等について」(平成9年3月24日付け衛食第85号(最終改正:平成25年10月22日付け食安発1022第10号))別添で示しているところです。 平成27年1年間に1,202件の食中毒事件(患者数2万2,718人)が報告されていますが、そのうちノロウイルスによる食中毒は481件(患者数1万4,876人)と大きな割合を占めており、食中毒予防の観点から引き続き重要な課題となっています。 平成27年度に国立医薬品食品衛生研究所において実施されました「ノロウイルスの不活化条件に関する調査」において、塩素系消毒剤やエタノール系消毒剤の中にはノロウイルスに対して不活化効果を期待できるものがあること等の知見が得られましたので、器具、容器等に塩素系消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸水、次亜塩素酸水等)やエタノール系消毒剤を使用する際の留意点、有機物存在下で不活化効果を示した亜塩素酸水又は次亜塩素酸ナトリウム等を十分な洗浄が困難な器具に使用する際の留意点を追加し、本マニュアルの一部を別添のとおり改正することとしましたので、対応方よろしくお願いします。 なお、引き続き、大量調理施設のみならず、中小規模調理施設等においても、本マニュアルの趣旨を踏まえた衛生管理の徹底を図るようお願いします。 参考:「平成27年度ノロウイルスの不活化条件に関する調査報告書」 (「ノロウイルスに関するQ&A」参考文献) http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000125854.pdf 通知文 http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000129222.pdf