ヒスタミン食中毒

ヒスタミン食中毒は、代表的なアレルギー様食中毒で、ヒスタミンを多く含む食品を食べると、30~60分後に顔面の紅潮、頭痛、じん麻疹、発熱などのアレルギー様症状が現れます。重症となるケースは少ないが、ヒスタミンに対して感受性の高い人では、最悪の場合は呼吸困難で死亡する事例も報告されています。

原因食品

この食中毒の原因食品としては、マグロ、カツオ、サバ、アジ、イワシなどの生の赤身魚およびその加工品(照焼き、フライ、千物など)がリスクの高い食品としてあげられています。

赤身魚でヒスタミンが生成され易いのはなぜか?

魚肉に含まれるヒスタミンの前駆物質であるヒスチジンの量は、白身魚が100gあたり数から数十mgであるのに対して、赤身魚は700から1,800mgと言われています。このヒスチジンは、不適切な温度管理によりヒスタミン生成菌(代表的な菌:モルガン菌)が増殖する過程でヒスタミンに変化します(ヒスタミン生成機構参照)。また、いったん生成されたヒスタミンは、通常の加熱調理では分解されないので、ヒスタミン生成菌を増殖させない赤身魚の冷蔵管理を徹底することが重要です。

発症量

国立衛研登田らは、中毒症状と食品中のヒスタミン量の関係(発症量)について次のように推定しています。

ヒスタミン食中毒予防の主なポイント

● 生の赤身魚は常温(25℃以上)に長時間放置しない。

● 冷蔵(10℃以下)した場合でも長期間の保存中にヒスタミ  ンが生成されることがあるので、出来るだけ早く食べる。

● 赤身魚の千物などの加工品も冷蔵で保管する。

● 冷凍した赤身魚の解凍は冷蔵庫内で短時間に行い、冷凍と  解凍を繰り返さない