平成29年6月号のレポートを掲載しました。

(株)中部衛生検査センター
 学術顧問
森田邦雄

1 農林水産省、食品表示法第6条第1項の規定に基づき指示を行った。

平成29年6月13日、 農林水産省は、株式会社ライフコーポレーション(以下「ライフ」という。)が、小分けし販売したチーズについて、容器包装の重量を含む重量を内容量として表示して販売していたことを確認し、ライフに対し、食品表示法第6条第1項の規定に基づき、表示の是正と併せて、原因の究明・分析の徹底、再発防止対策の実施等について指示を行ったことを公表した。その主な内容は次のとおり。
関東農政局が、平成29年3月24日から平成29年4月18日までの間、ライフの東京本社及び錦糸町駅前店に対し、食品表示法第8条第2項の規定に基づく立入検査を行った。
その結果、農林水産省は、ライフが、ライフ錦糸町駅前店において小分けしたチーズに、容器包装の重量を含む重量を内容量として表示し、ライフ錦糸町駅前店及びライフさいたま新都心店において、少なくとも平成29年1月16日から平成29年3月24日までの間に、4,743パックを一般消費者に販売したことを確認した。
表示例 ゴーダについて容器の重量9gを含む重量を内容量として表示
指示の内容は次のとおり。
(1) 販売する全ての食品について、直ちに表示の点検を行い、不適正な表示の食品については、速やかに食品表示基準の規定に従って、適正な表示に是正した上で販売すること。
(2) 販売していた食品について、食品表示基準に規定する遵守事項が遵守されていなかった主な原因として、消費者に対し正しい表示を行うという意識及び食品表示制度に関する認識の欠如並びに食品表示についての内容確認及び管理体制に不備があると考えられることから、これを含めた原因の究明・分析を徹底すること。
(3) (2)の結果を踏まえ、食品表示に関する責任の所在を明確にするとともに、食品表示の相互チェック体制の強化、拡充その他の再発防止対策を適切に実施すること。これにより、今後、販売する食品について、食品表示基準に違反する不適正な表示を行わないこと。
(4) 全役員及び全従業員に対して、食品表示制度についての啓発を行い、その遵守を徹底すること。
(5) (1)から(4)までに基づき講じた措置について、平成29年7月13日までに農林水産大臣宛てに提出すること。
http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/kansa/170613_10.html 

2 食品用器具及び容器包装の規制に関する検討会取りまとめ公表

平成29年6月16日、厚生労働省は、平成28年8月より「食品用器具及び容器包装の規制に関する検討会」を開催し、国際的な整合性を含め、食品用器具及び容器包装の安全性を高める具体的な仕組みについて検討を行ってきた。今般、これまでの議論やパブリックコメントを踏まえ、その取りまとめを公表した。その主な内容は次のとおり。
これまで、我が国の食品用器具及び容器包装の規制は、国が規格基準を定めた物質についての使用制限(ネガティブリスト制度)等と、業界団体の自主管理等の取組によって、安全性の確保が図られてきた。
しかしながら、現在のネガティブリスト制度による規制では、欧米等で使用が禁止されている物質であっても、個別に規格基準を定めない限り、直ちに規制することができない。
目指すべき方向性
○業界団体の非会員も含めた共通ルールの必要性と、国際的な整合性を図る必要性があることから、リスクを評価し、使用を認めることとした物質以外は原則使用を禁止する制度(ポジティブリスト制度)を基本とする。
○制度の対象となる材質:合成樹脂
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000166832.html 

3 「大量調理施設衛生管理マニュアル」の改正

平成29年6月16日、厚生労働省は医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長名をもって各都道府県知事等宛に標記通知を出した。「大量調理施設衛生管理マニュアル」 については、「大規模食中毒対策等について」(平成9 年3 月24 日付け衛食第85 号)の別添で示しているところであり、その主な改正は次のとおり。
Ⅱ 重 要 管 理 事 項 5.その他(4)調理従事者等の衛生管理に次の②が加えられた。
② 調理従事者等は、毎日作業開始前に、自らの健康状態を衛生管理者に報告し、衛生管理者はその結果を記録すること。
③について「検便検査には、腸管出血性大腸菌の検査を含めること。 また、必要に応じ10月から3月にはノロウイルスの検査を含めること。」が「検便検査(注7)には腸管出血性大腸菌の検査を含めることとし、10月から3月までの間には月に1回以上又は必要に応じて(注8)ノロウイルスの検便検査に努めること。」に改められ、次の注7及び注8が加えられた。
注7:ノロウイルスの検査に当たっては、遺伝子型によらず、概ね便1g当たり105オーダーのノロウイルスを検出できる検査法を用いることが望ましい。ただし、検査結果が陰性であっても検査感能性を踏まえた衛生管理が必要である。 注8:ノロウイルスの検便検査の実施に当たっては、調理従事者の健康確認の補完手段とする場合、家族等に感染性胃腸炎が疑われる有症者がいる場合、病原微生物検出情報においてノロウイルスの検出状況が増加している場合などの各食品等事業者の事情に応じ判断すること。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000168026.pdf 

4 平成29年度食品、添加物等の夏期一斉取締りの実施

平成29年6月19日、厚生労働省は医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長名をもって各都道府県知事等宛標記通知を出した。これは、食品衛生法第22条の規定に基づく「食品衛生に関する監視指導の実施に関する指針」(平成15年厚生労働省告示第301号)第三の六に基づき、夏期に多発する食中毒等の食品による事故の防止を図るとともに、積極的に食品衛生の向上を図る見地から、例年のとおり、全国一斉に標記取締りを行うこととしたもので、実施に当たっては、平成28年度の夏期一斉取締りの結果を参考とし、大量調理施設等に対する監視指導を行うとともに、腸管出血性大腸菌、カンピロバクター等による食中毒防止対策等について監視指導を、また、監視指導の結果、汚染食品を発見した場合のほか、食中毒が発生した場合には、流通経路の遡り調査を徹底して行い、汚染源を排除するための適切な措置を講ずるとともに、関係機関に対して速やかに情報提供するようとしている。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000168193.pdf 

5 「食品等事業者団体による衛生管理計画手引書策定のためのガイダンス」の一部改正通知

平成29年6月22日、厚生労働省は医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部監視安全課長名をもって各都道府県等衛生主管部(局)長宛標記通知を出した。
食品等事業者団体による衛生管理計画手引書策定については、「「食品等事業者団体による衛生管理計画手引書策定のためのガイダンス」について」(平成29年3月17 日付け生食監発0317 第2号。)別添「食品等事業者団体による衛生管理計画手引書策定のためのガイダンス(第1版)」(以下「ガイダンス」という。)を公表したところであるが、今回下記の別紙を追加したものである。
1.原材料に由来する潜在的な危害要因(ガイダンス別紙1)
基準B 向け手引書作成等における危害要因分析の実施に当たり、危害要因を選定する際の参考として、食品衛生法に基づく規格基準や既存の文献に基づき、原材料ごとに想定される危害要因を整理したもの。
2.食品分類ごと各段階における異物混入事例(健康被害発生事例)(ガイダンス別紙2)
平成26 年度~平成28 年度(11 月まで)に各都道府県等に報告された、製造、加工、調理の現場における硬質異物の混入事例のうち健康被害が発生したものであり、各食品等事業者が取り扱う食品分類ごとに各段階における異物混入事例を整理したもの。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000168899.pdf 

6 表示の適正化に向けた取組について

 平成29年6月23日、消費者庁は、食品衛生の監視指導の強化が求められる夏期において、食品の表示・広告の適正化を図るため、都道府県等と連携し、食品表示法、景品表示法及び健康増進法の規定に基づき下記夏期一斉取締りの実施を公表した。
 国及び道府県等においては、食品衛生の監視指導の強化が求められる夏期において、食中毒などの健康被害の発生を防止するため、従来から食品衛生の監視指導を強化してきたところですが、例年どおり、この時期に合わせ、食品等の表示の信頼性を確保する観点から、食品表示の衛生・保健事項に係る取締りの強化を全国一斉に実施します。
(1)実施時期:平成29年7月1日から同月31日まで
(2)主な監視指導事項
ア アレルゲン、期限表示等の衛生・保健事項に関する表示
イ 保健機能食品を含めた健康食品に関する表示
ウ 生食用食肉、遺伝子組換え食品等に関する表示
エ 道の駅や産地直売所、業務用加工食品に関する表示
オ 食品表示基準に基づく表示方法の普及・啓発
http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/pdf/food_labeling_information_170623_0001.pdf 

7 平成28年度食品衛生法等の表示に係る年末一斉取締り結果公表

 平成29年6月23日、消費者庁は標記結果を公表した。その内容は次のとおり。
年末一斉取締り結果について
http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/pdf/food_labeling_information_170623_0003.pdf 
平成28年度夏期・年末(総括)一斉取締り結果
http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/pdf/food_labeling_information_170623_0002.pdf 

8 食品、添加物等の規格 基準の一部を改正する件について通知

平成29年6月23日、厚生労働省は医薬 ・生活衛生局生活衛生・ 食品安全部長名をもって各都道府県知事等宛標記通知を出した。食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(平成29年厚生労働省告示第226号)が本日公布され、これにより食品、添加物等の規格基準の一部が改正されたもので、その主なものは次のとおり。
製造基準関係
過酢酸製剤については、過酢酸又はそれぞれの成分規格に適合する氷酢酸、氷酢酸を水で希釈した液、過酸化水素、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸若しくはオクタン酸以外を原料として、製造することは認められないこととされ、氷酢酸の使用が追加された。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000168926.pdf 

9 カンピロバクター食中毒対策の推進に関するQ&Aについて事務連絡

平成29年7月6日、厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部監視安全課及び消費者庁食品表示企画課の連名で各都道府県等食品衛生主管部(局)食品衛生担当課宛標記事務連絡を出した。
カンピロバクター食中毒対策の推進については、「カンピロバクター食中毒対策の推進について」(平成29 年3 月31 日付け生食監発0331 第3 号及び消食表第193 号。以下「通知」という。)により関係事業者に対して加熱調理が必要である旨の情報伝達に関する指導及び食中毒発生時の対応をお願いしているところ、今般、その趣旨等について「カンピロバクター食中毒対策の推進に関するQ&A」を作成したもので、その問いは次のとおり。
問1.平成29 年3 月31 日付け通知「カンピロバクター食中毒対策の推進について」の趣旨を教えてください。
問2.通知の2において「必要に応じて公表をする」とありますが、具体的にどのような対応例がありますか?
問3. 通知の2において、「食中毒調査結果として厚生労働省に報告すること」とありますが、加熱用表示等に関する調査の結果報告については、どのように行えば良いですか?
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000170338.pdf