「食品衛生行政」国の動き 平成29年10月

(株)中部衛生検査センター
 学術顧問
森田邦雄

1 鹿慢性消耗性疾患のファクトシート公表

 平成29年10月24日、食品安全委員会は標記ファクトシートを公表した。
 鹿慢性消耗性疾患(Chronic Wasting Disease: CWD)は、シカ科の動物が罹患する伝達性海綿状脳症(Transmissible Spongiform Encephalopathy: TSE)であり、アメリカアカシカ(Cervus canadensis)、アカシカ(Cervus elaphus)、ミュールジカ(Odocoileus hemionus)、オグロジカ(Odocoileus hemionus)、オジロジカ(Odocoileus virginianus)、ニホンジカ(Cervus nippon)、ヘラジカ(Alces alces)及びトナカイ(Rangifer tarandus)が感受性動物であることが知られている。これまでに日本における発生は確認されていない(2017年9月末現在)。また、食品を介した経路も含めて、病原体であるCWDプリオンが、人へ感染することを示す証拠はこれまでに確認されていない。一方、近年、諸外国ではCWDのシカ科動物間における感染拡大が報告されている。これらのことを踏まえ、査読を受けた科学論文として報告されている知見を整理し、本ファクトシートとして取りまとめたものである。

http://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_cwd.pdf