「食品衛生行政」国の動き 平成29年11月

(株)中部衛生検査センター 学術顧問
森田邦雄

1 英国食品基準庁(FSA)、英国産の市販生鮮鶏肉のカンピロバクター汚染に関する調査に ついて最新情報を提供

 平成29年11月2日、食品安全委員会は食品安全関係情報を公表した。この中に標記最新情報が掲載されており、その主な内容は次のとおり。
 全市場の平均で、最大汚染区分(1,000CFU(コロニー形成単位)/g超)に該当する検体の割合は6.5%であった。この割合は、調査が始まった2014/2015年の19.7%から低下した。

1. 主な結果
年次調査では、2016年8月~2017年7月に、市販の生鮮丸鶏合計3,980検体について検査が行われた。
・小売大手9社におけるカンピロバクター高汚染率(1,000CFU/g超)鶏肉の割合は5.6%であった。
・小規模事業者及び個人経営の精肉店で構成される「その他」グループでは、小売大手9社と比べ、鶏肉のカンピロバクター汚染率は17.1%とかなり高かった。
・レベルを問わずカンピロバクター陽性であった鶏肉の割合は、2014/2015年の73.2%から2016/2017年の54%と大幅に減少した。
・今回の調査結果(3年次目の最終期、2017年4~7月)は、合計1,437の鶏肉検体について検査が行われ、高汚染区分(1,000CFU/g超)に該当する検体の割合は、2014年同期の20.1%から5.9%に低下した。

2.消費者向けの助言
鶏肉は、以下に示す厨房における適切な実践を行えば、安全に摂取できる。
・生の鶏肉は包装して冷蔵する。包装した生の鶏肉は、肉汁が他の食品にかかりカンピロバクターなどの食中毒原因菌による汚染が生じないよう、冷蔵庫の最下段に保存する。
・生の鶏肉は洗浄しない。完全に加熱調理することで、存在するカンピロバクターなどの細菌は死滅する。鶏肉を洗浄すれば、水滴により細菌が拡散する場合がある。
・生の鶏肉に使用した調理器具は完全に洗浄し清潔にする。生の鶏肉を取り扱った後は石鹸とぬるま湯でしっかりと手洗いをする。これらを実践することで、交差汚染が回避されカンピロバクター拡散防止の一助となる。
・鶏肉は完全に加熱調理する。湯気が出て熱くなるまで、最後までしっかり加熱調理してから供する。鶏肉の最も厚い部分に切れ目を入れ、湯気が出ているか、ピンク色の部分がないか、流れ出る肉汁が透明であるかを調べる。

http://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/search?keyword=%EF%BC%AC%EF%BC%A4%EF%BC%95%EF%BC%90&query=&logic=and&calendar=japanese&year=&from=struct&from_year=2017&from_month=10&from_day=06&to=struct&to_year=2017&to_month=10&to_day=20&areaId=00&countryId=000&informationSourceId=0000&max=100&sort_order=date.desc

2 カナダ公衆衛生庁(PHAC)、パン粉をまぶした生鶏肉の冷凍製品が原因と見られるサルモネラ集団感染に関する調査について最新情報を提供

 平成29年11月2日、食品安全委員会は食品安全関係情報を公表した。この中に標記最新情報が掲載されており、その主な内容は次のとおり。

 カナダ公衆衛生庁(PHAC)は、2017年10月18日、パン粉をまぶした生鶏肉の冷凍製品が原因と見られるサルモネラ・エンテリティディス集団感染に関する調査について最新の情報提供を行った。
 これらの製品は全てカナダ全土で流通している。当該製品は今回の集団感染に関する調査と関連性があると見られることから、PHACはカナダ国民に対して、リコール製品を摂取しないよう助言する。
 2017年10月18日時点で、6州(前回9月28日と比べ2州増)で18人(同5人増)のサルモネラ・エンテリティディスが原因のサルモネラ症患者が報告されている。
 患者は今年の6~9月に発病した。患者の年齢は0~85歳で、平均年齢は41歳である。患者の大半(67%)は女性である。
 発病前にPub Style Chicken Burgers(800g)を摂取していた。賞味期限2018年5月12日の同製品及び賞味期限2018年5月15日のJanes Pub Style Snack Popcorn Chicken(800g)の検体は、検査でサルモネラ・エンテリティディス陽性であった。陽性検体からは、今回の集団感染で報告された患者と同じ遺伝子フィンガープリントが検出された(全ゲノムシークエンス解析法による)。

http://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/search?keyword=%EF%BC%AC%EF%BC%A4%EF%BC%95%EF%BC%90&query=&logic=and&calendar=japanese&year=&from=struct&from_year=2017&from_month=10&from_day=06&to=struct&to_year=2017&to_month=10&to_day=20&areaId=00&countryId=000&informationSourceId=0000&max=100&sort_order=date.desc

3 自動車による食品の移動販売に関する取扱いについて通知

 平成29年11月6日、厚生労働省は医薬・生活衛生局食品監視安全課長名をもって各都道府県等衛生主管部(局)長 宛標記通知を出した。その主な内容は次のとおり。

 自動車による食品の移動販売については、昭和42 年3月3日付け環乳第5016 号「自動車による食品の移動販売に関する取扱要領について」(以下「取扱要領」という。)を参考として指導願っているところ、今般、平成29 年7月19 日付け総評評第80 号「買物弱者対策に関する実態調査の結果(通知)」(別添)により、買物弱者対策に取り組む事業者の負担軽減等の観点から、営業許可手続の簡素化及び流水式設備の設置義務の緩和を求める調査結果が示された。ついては、下記を踏まえ、適切な対応がなされるよう特段の御配慮方お願いする。

(1)営業許可について、近年の衛生水準の向上及び移動販売の形態の多様化等の現状を踏まえ、関係都道府県等の間で、同水準の施設基準が確保されており、監視指導の方法、違反判明時の通報体制、行政処分の取扱い等について調整がなされている場合は、営業所等所在地を管轄する都道府県知事等のみが営業許可を行うこととする取扱いとして差し支えない。
(2)流水式手洗設備の設置について、液漏れのないように包装した食品のみを取り扱い巡回中にこれらの食品の小分けや再包装を行わない場合であって、巡回先で現地の手洗設備を利用する又は食品の取扱いの都度使い捨て手袋を着用する等の条件により、施設及び食品取扱者の適切な衛生管理が担保されると判断できるときは、流水式手洗設備の設置は省略して差し支えない。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000183659.pdf

4 シアン化合物を含有する食品の取扱いについて事務連絡

 平成29年11月6日、厚生労働省は医薬・生活衛生局食品監視安全課輸入食品安全対策室名をもって各検疫所宛標記事務連絡を出した。天然にシアン化合物を含有する食品について法第6条第2号の解釈を示したもので、その主な内容は次のとおり。

 地方自治体の買上げ調査において、びわの種子粉末からシアン化合物が検出された事例を踏まえ、天然にシアン化合物を含有することが知られている主な食品にびわの種子を追加したことから、下記により、引き続き、輸入者への指導の徹底をお願いする。

(1)天然にシアン化合物を含有することが知られている食品及びその加工品(検査命令対象食品を除く。)については、輸入の都度、貨物を保留の上、シアン化合物に係る自主検査を指導すること。なお、10ppmを超えてシアン化合物を検出した場合にあっては、食品衛生法第6条違反として措置すること。
<主な食品> 亜麻の実、杏子の種子、梅の種子、ビターアーモンド、キャッサバの葉、びわの種子
(2)搾油用原料として輸入され、国内において油に加工されるなど、最終製品中にシアン化合物が検出されないことが明らかな場合にあっては、1の検査を要しないものとすること。その場合にあっては、当該品が国内において当該目的以外に使用されないことを確認すること。
(3)(1)の検査により10ppmを超えてシアン化合物を検出した場合であっても、国内における調理・加工等により、最終製品においてシアン化合物の摂取量が低減されることが確認された事例については、食品衛生法第6条違反に該当しないものとして取り扱っているので、参考とすること。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000183546.pdf

5 葛の花由来イソフラボンを機能性関与成分とする機能性表示食品の販売事業者16社に対する景品表示法に基づく措置命令について

 平成29年11月7日、消費者庁は、葛の花由来イソフラボンを機能性関与成分として、痩身効果を標ぼうする機能性表示食品の販売事業者16社(以下「16社」という。)に対し、16社が供給する機能性表示食品の表示について、景品表示法に違反する行為(同法第5条第1号(優良誤認)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令(別添1~16参照)を行ったことを公表した。その主な内容は次のとおり。

(1)表示内容
 16社は、それぞれ、例えば、別紙記載のとおり表示することにより、あたかも、対象商品を摂取するだけで、誰でも容易に、内臓脂肪(及び皮下脂肪)の減少による、外見上、身体の変化を認識できるまでの腹部の痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。
(2) 実際
 前記の表示について、当庁は、景品表示法第7条第2項の規定に基づき、16社に対し、それぞれ当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、16社から資料が提出された。しかし、当該資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。

http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_171107_0001.pdf

6 ノロウイルスによる食中毒の予防について

 平成29年11月10日、厚生労働省は医薬・生活衛生局食品監視安全課長名をもって各都道府県等衛生主管部(局)長宛標記通知を出した。その主な内容は次のとおり。
 例年、ノロウイルスによる食中毒は冬期に多発し、1件当たりの患者数も多くなる傾向にあることから、公衆衛生上、大きな問題となっている。ノロウイルス食中毒の約8割は調理従事者を介した食品の汚染が原因とされており、手洗いや就業前の健康状態の確認といった、調理従事者の衛生管理の徹底が予防対策として重要です。一方、昨年度実施した調査によれば、ノロウイルス食中毒が発生した施設のうち、調理従事者の健康の確認状況をきちんと記録している施設は3割以下という結果が得られている。
 このような状況を踏まえ、大量調理施設(弁当屋、仕出し屋、旅館、学校、病院等)等に対し、リーフレット、ノロウイルスに関するQ&A 及び関係通知を活用して、調理従事者の衛生管理について周知、指導を行うようよろしくお願いする。
 なお、公益社団法人日本食品衛生協会においては、11 月から1月までの間を「ノロウイルス食中毒予防強化期間」として、食品等事業者や消費者に対し、広く啓発活動事業を推進することから、厚生労働省では後援名義の使用を承認したので、貴管下の食品衛生協会等関係団体における自主衛生管理の推進及び食中毒の未然防止を図る事業について、支援・協力をよろしくお願いする。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000184271.pdf

7 平成29年度食品、添加物等の年末一斉取締りの実施について通知

 平成29年11月14日、厚生労働省は大臣官房生活衛生・食品安全審議官名をもって各都道府県知事等宛標記通知を出した。その主な内容は次のとおり。

 食品衛生法第22条に基づく「食品衛生に関する監視指導の実施に関する指針」(平成15年厚生労働省告示第301号)第三の六に基づき、食品流通量が増加する年末及び食中毒患者が最も発生する冬期における食中毒の発生防止を図るとともに、積極的に食品衛生の向上を図る見地から、例年のとおり、全国一斉に標記取締りを行うこととしましたので、別添の実施要領に基づき遺漏なく実施されるようお願いします。
 実施に当たっては、これまでの年末一斉取締りの結果を参考とし、冬期に食中毒患者増加するノロウイルス食中毒の発生防止のため、大量調理施設等に対する監視指導を重点的に行うとともに、腸管出血性大腸菌、カンピロバクター等による食中毒の発生防止のための対策等について監視指導をお願いします。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000184648.pdf

8 「食品衛生法改正懇談会」の報告書を取りまとめ公表

 平成29年11月15日、厚生労働省の「食品衛生法改正懇談会」)は、報告書を取りまとめ公表した。 その主な内容は次のとおり。

主な提言内容
1.健康被害の防止や食中毒等のリスク低減
① 食中毒対策の強化
・ フードチェーン全体を通じた衛生管理の向上のため、食肉処理段階での対策の強化や、生産段階との連携強化等
・ 広域的な食中毒事案に対応するため、厚生労働省、都道府県等の関係者間での連携や食中毒発生状況の情報共有等の体制を整備
② HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)の制度化
・ HACCPによる衛生管理を制度化(全ての食品等事業者を対象に、衛生管理計画を作成し、手洗い励行等の一般衛生管理に加え、事業者の規模等に応じたHACCPによる衛生管理の実施を求める)
③ リスクの高い成分を含むいわゆる「健康食品」等による健康被害防止対策
・ 健康被害防止の観点から、リスクの高い成分を含むいわゆる「健康食品」等について、製造工程管理や原材料の安全性の確保のための法的措置を講じ、実効性のある仕組みを構築
・ 事業者から行政への報告の制度化を含む健康被害の情報収集・処理体制を整備
④ 食品用器具及び容器包装規制の見直し
・ 認められた物質以外は原則使用禁止とするポジティブリスト制度導入に向け、対象材質・物質の範囲、事業者間で伝達すべき情報やその伝達方法、適正な製造管理等について具体化
br> 2. 食品安全を維持するための仕組み
① 営業許可制度の見直しと営業届出制度の創設
・ 現在政令で定める34営業許可業種について、食中毒リスクや営業の実態に応じて、許可対象業種を見直すとともに、営業届出制度を創設
② 食品リコール情報の把握・提供
・ 食品等事業者が自主回収情報を行政に報告し、行政が国民に提供する仕組みを構築
③ 輸入食品の安全性確保・食品輸出事務の法定化
・ 輸入食品の安全性の確保のため、輸出国段階での対策強化として、HACCPによる衛生管理や乳製品・水産食品等の衛生証明書の添付の輸入要件化
・ 食品の輸出のため、自治体の食品輸出関連事務の根拠規定など、法的な規定の創設
br> 3.食品安全に関する国民の理解促進
リスクコミュニケーションの強化
・ リスク等に関する情報を正しく消費者に伝えるため、行政から国民への情報の発信方法や内容を工夫
・ 国民との双方向の情報及び意見の交換を推進

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000184688.html

食品衛生法改正懇談会取りまとめ
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11131500-Shokuhinanzenbu-Kikakujouhouka/0000184692.pdf

9 腸管出血性大腸菌感染症・食中毒事例の調査結果取りまとめについて通知

 平成29年11月20日、厚生労働省は健康局結核感染症課長及び医薬・生活衛生局食品監視安全課長の連名をもって各都道府県等衛生主管部(局)長宛標記通知を出した。
 平成29 年8 月の感染症発生動向調査における腸管出血性大腸菌感染症のうち、特にO157/VT2 の報告が関東地方を中心に多発したため、地方自治体において通常の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び食品衛生法に基づく調査に加え、「腸管出血性大腸菌による食中毒等の調査及び感染予防対策の啓発について」(平成29 年9 月1日付け健感発0901 第2号、薬生食監発0901 第3号通知)に基づき患者の行動等の調査を行い、国立感染症研究所の協力を得て、これらの調査結果を分析し、取りまとめ、平成29 年11 月17 日の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会に報告したものを通知したものである。
 取りまとめの主なものは次のとおり。
(1)曝露状況調査票に記載のあるO157/VT2タイプの遺伝子型分析の結果、平成29年7月17日から9月1日までに発症した141件のうち116件の菌株情報が判明し、91件が同一遺伝子型であった。
(2)この同一遺伝子型のO157/VT2 による患者の報告数は、発症日別にみると平成29年7 月24 日から8 月8 日までに最初の山があり、東京都(17 件)、神奈川県(14件)、埼玉県(6 件)、千葉県(4 件)、長野県(3 件)、群馬県、栃木県、福島県、三重県、愛知県、兵庫県から各1 件ずつ報告された(8 割以上が関東地方からの報告)。調査の結果、いずれも疫学的関連性を把握することはできなかった。
平成29年8 月9 日から8 月17 日に二つ目の山があり、この集積の中に惣菜チェーン店、飲食店における食中毒事例を含む集団発生事例があった。
(3)平成29年8 月9 日から8 月17 日の期間に発生したこれらの食中毒事例は、埼玉県、前橋市、川越市、滋賀県で報告され、埼玉県及び前橋市は同一の惣菜チェーン店の一部を原因施設としていたが、川越市、滋賀県の原因施設との関連を見出すことはできなかった
(4)食中毒調査では、惣菜チェーン店や飲食店が提供した食品が原因とされたが、各事例に共通する発生要因は明らかになっていない。
(5)平成29年7月下旬に最初の山が認められたが、明らかな集団事例がなく、広域食中毒としての有効な調査開始が困難であった。
(6)調査に際して、広域発生事例の早期探知等が遅れた要因としては、①各自治体間の情報共有、②国による情報のとりまとめ、③当該とりまとめ情報の関係自治体間への共有、④遺伝子型別の検査手法の違いによる結果の集約等に時間を要したことが挙げられる。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000185419.pdf

10 「豆腐の規格基準の改正」に係る食品健康影響評価に関する審議結果(案)についての意見・情報の募集

 平成29年11月22日、内閣府食品安全委員会事務局評価第二課は標記意見・情報の募集を行った。
 厚生労働大臣から食品安全委員会に求められた「豆腐の規格基準の改正」に係る食品健康影響評価について、平成29年11月21日に開催された第674回食品安全委員会において微生物・ウイルス専門調査会における審議結果(案)が審議され、広く国民から意見・情報を募ることとしたものである。募集期限は平成29年12月21日。その主な内容は次のとおりで、ボツリヌス菌及びセレウス菌について耐熱性等詳しく記載されている。
 厚生労働省からの諮問を受け、豆腐の規格基準では冷蔵保存することとされている無菌充填豆腐について、その保存基準を常温保存に変更した場合の食品健康影響評価を実施した。
 厚生労働省が条件として示す製造工程(原料の大豆に存在する可能性があり耐熱性を示す芽胞形成細菌に対応するため、豆乳は120℃・4分間加熱と同等以上で殺菌すること、凝固剤は衛生度の高い凝固剤を用いた上で、発育し得る微生物を死滅させ又は除去するのに十分な効力を有する殺菌又は除菌すること等)を踏まえて製造された無菌充填豆腐は、常温下で長期間保存及び流通することが想定されることから、ハザードとなり得る対象病原体として特定したボツリヌス菌及びセレウス菌が当該食品の最終製品に残存した場合、人に健康被害を引き起こす可能性がある。
 「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針」に基づき十分に衛生管理されることを前提として、かつ、厚生労働省が条件として示す殺菌、除菌等の製造工程を経た場合、ボツリヌス菌及びセレウス菌は死滅し、最終製品に残存しないと考えられることから、現在、豆腐の規格基準に基づき冷蔵で保存されている無菌充填豆腐について、冷蔵保存から常温保存に変更した場合のリスクに差があるとは考えられないと結論付けた。

意見・情報の募集
http://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc1_biseibutu-virus_tofu_291122.html

審議結果(案)
http://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc1_biseibutu-virus_tofu_291122.data/pc1_biseibutu-virus_tofu_291122.pdf

11 食品表示の適正化に向けた取組について公表

 平成29年11月27日、消費者庁は、食品衛生の監視指導の強化が求められる年末において、食品の表示・広告の適正化を図るため、都道府県等と連携し、食品表示法、景品表示法及び健康増進法の規定に基づき下記の取組を実施することを公表した。その主な内容は次のとおり。
br>  国及び都道府県等においては、食品衛生の監視指導の強化が求められる年末において、食中毒などの健康被害の発生を防止するため、従来から食品衛生の監視指導を強化してきたところ、例年どおり、この時期に合わせ、食品等の表示の信頼性を確保する観点から、食品表示の衛生・保健事項に係る取締りの強化を全国一斉に実施する。
(1)実施時期:平成29年12月1日から同月31日まで
(2)主な監視指導事項
ア アレルゲン、期限表示等の衛生・保健事項に関する表示
イ 保健機能食品を含めた健康食品に関する表示
ウ 生食用食肉、遺伝子組換え食品等に関する表示
エ 道の駅や産地直売所、業務用加工食品に関する表示
オ 食品表示基準に基づく表示方法の普及・啓発
 また、平成29年11月14日、消費者庁は次長名をもって各都道府県知事等宛「平成29年度食品衛生法等の規定に基づく食品等の表示に係る年末一斉取締りの実施について」通知した。

http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/pdf/food_labeling_information_171127_0001.pdf

12 平成29年度食品衛生法等の表示に係る夏期一斉取締り結果について公表

 平成29年11月27日、消費者庁は、標記結果を公表した。その主な内容は次のとおり。
 地方公共団体(都道府県、保健所設置市及び特別区の保健部局)による、食品等の表示に係る平成29年度夏期一斉取締りの指導件数等は以下のとおり。
(1)食品表示法の措置概要  命令0  指示0  命令及び指示以外の措置2,181
(2)許可を要する営業施設及び許可を要しない営業施設への監視指導施設数、違反件数等
           監視指導延べ施設数     表示違反に対する措置
                         食品表示法  食品衛生法
許可を要する営業施設   251,928          834      17
許可を要しない営業施設  131,627         1,207       0
計            383,555         2,041      17

http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/pdf/food_labeling_information_171127_0002.pdf

http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/pdf/food_labeling_information_171127_0003.pdf

13 食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について通知

 平成29年11月30日、厚生労働省は大臣官房生活衛生・食品安全審議官名をもって各都道府県知事等宛標記通知を出した。これは、食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(平成29 年厚生労働省告示第345号)が同日公布され、これにより食品、添加物等の規格基準(昭和34 年厚生省告示第370 号。以下「告示」という。)の一部が改正されたことに係わるものである。
 施行期日については公布の日から適用されること。ただし、平成30 年11 月29 日までに製造、加工又は輸入される添加物に係る第2 添加物の部の運用については、なお従前の例によることができること。
 なお、粗製海水塩化マグネシウムにあっては厚生労働大臣が定める日までの間、なお従前の例によることができることとなっている。
 改正の概要は、告示中の第2 添加物の部が全面的に改正され、その主なものは次のとおり。

(1)成分規格を新たに設定。
アガラーゼ、アクチニジン等62 品目の酵素及びアナトー色素、カカオ色素、カラシ抽出物等27 品目の酵素以外のもの
(2)新規に規格が設定された添加物を製造する営業を営もうとする者は、食品衛生法第52 条に基づき、添加物の製造業の許可を受けなければならないこと(ただし、平成30 年11 月29 日までの間は、なお従前の例によることができること。)。
(3) 新規に規格が設定された添加物の製造又は加工を行う営業者は、法第48 条に基づき、食品衛生管理者を置かなければならないこと(ただし、平成30 年11 月29 日までの間は、なお従前の例によることができること。)。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000186590.pdf