「食品衛生行政」国の動き 平成30年3月

(株)中部衛生検査センター 学術顧問
森田邦雄

1 ブラジル産鶏肉等の取扱いについて

 平成30年3月9日、厚生労働省は医薬・生活衛生局食品監視安全課輸入食品安全対策室長名をもって各検疫所長宛標記通知を出した。その内容は、次のとおり。

 今般、ブラジル政府から、民間の検査施設及び食肉処理施設がサルモネラ属菌の検査結果を改ざんして農務省に報告していたとの情報を得ました。これまでのブラジル政府からの報告を踏まえ、ブラジル産鶏肉等及びその加工品について、下記のとおり対応することとしましたので、御了知の上、対応方よろしく願いします。
 なお、本措置については、ブラジル政府からの情報、輸入時検査の結果等により見直すことを申し添えます。


 次の施設で処理・加工・製造された鶏肉等及びその加工品の輸入届出がなされた際は、別途通知するまでの間、食肉にあってはサルモネラ属菌、食肉製品にあっては成分規格の検査を指導すること。なお、食肉からサルモネラ属菌が検出された場合には、検疫所業務管理室を通じて輸入食品安全対策室に報告し、食肉製品が成分規格に適合しない場合には、食品衛生法違反として処理すること。
施設名:(SIF 424)BRF S/A
    (SIF 1001)BRF S/A
    (SIF 1010)BRF S/A

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000197091.pdf

2 平成29年食中毒発生状況(概要版)及び主な食中毒事案等公表

 平成30年3月12日開催された厚生労働省の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会において標記資料が公表された。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000197221.html

3 乳児を対象とする調製液状乳の規格基準の設定について公表

 平成30年3月12日開催された厚生労働省の薬事・食品衛生審議会 器具容器包装・乳肉水産食品合同部会において標記資料が公表された。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000196979.html

4 食品衛生法等の一部を改正する法律案公表

 平成30年3月13日、厚生労働省は第196回国会(常会)提出法律案として標記法律案を公表した。公表した内容は、次のとおり。

食品衛生法等の一部を改正する法律案の概要
食品衛生法等の一部を改正する法律案要綱
食品衛生法等の一部を改正する法律案案文
食品衛生法等の一部を改正する法律案新旧対照条文
食品衛生法等の一部を改正する法律案参照条文

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/196.html

5 食品衛生法等の一部を改正する法律案の概要

 平成30年3月13日、厚生労働省が公表した食品衛生法等の一部を改正する法律案の概要は、次のとおり。

(1) 改正の趣旨
 我が国の食をとりまく環境変化や国際化等に対応し、食品の安全を確保するため、広域的な食中毒事案への対策強化、事業者による衛生管理の向上、食品による健康被害情報等の把握や対応を的確に行うとともに、国際整合的な食品用器具等の衛生規制の整備、実態等に応じた営業許可・届出制度や食品リコール情報の報告制度の創設等の措置を講ずる。

(2) 改正の概要
1.広域的な食中毒事案への対策強化
 国や都道府県等が、広域的な食中毒事案の発生や拡大防止等のため、相互に連携や協力を行うこととするとともに、厚生労働大臣が、関係者で構成する広域連携協議会を設置し、緊急を要する場合には、当該協議会を活用し、対応に努めることとする。

2.HACCP(ハサップ)*に沿った衛生管理の制度化
 原則として、すべての食品等事業者に、一般衛生管理に加え、HACCPに沿った衛生管理の実施を求める。ただし、規模や業種等を考慮した一定の営業者については、取り扱う食品の特性等に応じた衛生管理とする。
 * 事業者が食中毒菌汚染等の危害要因を把握した上で、原材料の入荷から製品出荷までの全工程の中で、危害要因を除去低減させるために特に重要な工程を管理し、安全性を確保する衛生管理手法。先進国を中心に義務化が進められている。

 参考 今国会提出法律案
 第五十条の二厚生労働大臣は、営業(器具又は容器包装を製造する営業及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律第二条第五号に規定する食鳥処理の事業(第五十一条において「食鳥処理の事業」という。)を除く。)の施設の衛生的な管理その他公衆衛生上必要な措置(以下この条において「公衆衛生上必要な措置」という。)について、厚生労働省令で、次に掲げる事項に関する基準を定めるものとする。
 一 施設の内外の清潔保持、ねずみ及び昆虫の駆除その他一般的な衛生管理に関すること。
 二 食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための取組(小規模な営業者(器具又は容器包装を製造する営業者及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律第六条第一項に規定する食鳥処理業者を除く。次項において同じ。)その他の政令で定める営業者にあっては、その取り扱う食品の特性に応じた取組)に関すること。
② 営業者は、前項の規定により定められた基準に従い、厚生労働省令で定めるところにより公衆衛生上必要な措置を定め、これを遵守しなければならない。

3.特別の注意を必要とする成分等を含む食品による健康被害情報の収集
 健康被害の発生を未然に防止する見地から、特別の注意を必要とする成分等を含む食品について、事業者から行政への健康被害情報の届出を求める。

4.国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の整備
 食品用器具・容器包装について、安全性を評価した物質のみ使用可能とするポジティブリスト制度の導入等を行う。

5.営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設
 実態に応じた営業許可業種への見直しや、現行の営業許可業種(政令で定める34業種)以外の事業者の届出制の創設を行う。

6.食品リコール情報の報告制度の創設
 営業者が自主回収を行う場合に、自治体へ報告する仕組みの構築を行う。

7.その他(乳製品・水産食品の衛生証明書の添付等の輸入要件化、自治体等の食品輸出関係事務に係る規定の創設等)

(3) 施行期日
 公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日(ただし、1.は1年、5.及び6.は3年)

6 2016年の欧州における食品媒介寄生虫の優先順位付け

 平成30年3月26日、食品安全委員会が公表した食品安全総合情報システムに標記報告が掲載された。その内容は、次のとおり。

 Eurosurveillance (Volume 23, Issue 9, 01/Mar/2018)に掲載された論文「2016年の欧州における食品媒介寄生虫の優先順位付け(Prioritisation of food-borne parasites in Europe, 2016 )、著者Martijn Bouwknegt(National Institute for Public Health and the Environment, オランダ)ら」の概要は、以下のとおり。

1.背景及び目的:優先順位を決定することは公衆衛生従事者にとって困難な業務である。これに関与する保健従事者の支援及び国連食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)の助言に従い、欧州及び欧州に含まれる地域で重要な食品媒介寄生虫を順位付ける目的で、欧州の寄生虫学者35名が2016年2月8~12日の学術会議に参加した。

2.手法:欧州臨床微生物学及び感染症学会で用いられている欧州地域に従って、各国が各地域に分けられた。ここでは結果の比較のためにFAO/WHOと同様の多基準決定分析手法を、又、より地域代表性を示すために修正版を用いた。予め定義された決定方法を用いて、25の食品媒介寄生虫がサブグループで採点された。

3.結果:欧州全体としては、エキノコックス・マルチロクラリス(Echinococcus multilocularis)が第1位、次いでトキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)及びトリヒナ・スピラリス(Trichinella spiralis)となった。地域別では、北欧及び東欧においてはE. multinocularisが最も高く、南西欧及び南東欧ではE. granulosus、西欧ではT. gondiiがそれぞれ第1位であった。アニサキス(Anisakidae)は世界では17位であるが、欧州各域のそれぞれ上位10位内に入っていた。対照的に、有鉤条虫(Taenia solium)は世界的にはトップであるが、欧州では10位となった。

4.結論:欧州において重要な食品媒介寄生虫は世界的に重要な寄生虫とは異なっていたことから、対象を絞ったサーベイランス体制、介入策、及び世界と欧州とでは異なる防備計画が求められる。

http://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/search?keyword=%EF%BC%AC%EF%BC%A4%EF%BC%95%EF%BC%90&query=&logic=and&calendar=japanese&year=&from=struct&from_year=2018&from_month=02&from_day=24&to=struct&to_year=2018&to_month=03&to_day=09&areaId=00&countryId=000&informationSourceId=0000&max=100&sort_order=date.desc

7 食鳥処理場への鶏の計画的な出荷について

 平成30年3月26日、厚生労働省は医薬・生活衛生局食品監視安全課長名をもって各都道府県等衛生主管部(局)長宛標記通知を出した。これは、標記について農林水産省より都道府県農政部局宛て周知したとの情報提供があったことから出されたものでその内容は、次のとおり。

 食鳥処理場への鶏の計画的な出荷が行われず、鶏の保管時の滞留が発生することにより、積み上げられた生体輸送容器上段の鶏の排泄物が下段の鶏を著しく汚染させるなどの保管時の問題が確認された場合は、食鳥処理業者に対して、当該通知に基づく養鶏業者との調整状況を確認する等、特段の御配慮をお願いする。
 なお、農林水産省生産局畜産部畜産振興課長及び食肉鶏卵課長から各地方農政局生産部長等へ出された内容は次のとおり。

 採卵鶏の更新については、例年、不需要期である夏場や年明けにこれを行う養鶏業者が多く見られることに加え、最近は、鶏飼養羽数が増加傾向で推移していることから、今後、鶏の食鳥処理場への出荷が従来よりも多くなると見込まれる。
 このため、仮に、鶏の食鳥処理場への出荷が過度に集中し、食鳥処理業者等において、輸送の過密化や食鳥処理場での保管の長時間化を余儀なくされた場合には、関係法令等に定める保管基準等の適切な遵守に支障を来すことが懸念される。
 ついては、貴管内の都道府県に対し、特に鶏の食鳥処理場への出荷に当たっては、養鶏業者と食鳥処理業者が調整の上、関係法令等に留意しつつ、計画的に出荷すべき旨、養鶏業者等関係者に対して周知するよう依頼されたい。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000199531.pdf

8 平成30年度輸入食品監視指導計画の策定について

 平成30年3月29日、厚生労働省は大臣官房生活衛生・食品安全審議官名をもって各検疫所長宛標記通知を出した。これは、食品衛生法第23条第1項の規定により、「食品衛生に関する監視指導の実施に関する指針」(平成15年厚生労働省告示第301号)に基づき、平成30年度における食品、添加物、器具、容器包装及びおもちゃの輸入について国が行う監視指導の実施に関する計画(以下「平成30年度輸入食品監視指導計画」という。)を定めたもので、その計画の主な内容は、次のとおり。

(1) 輸出国段階での措置
 ○ 輸出国政府との二国間協議、技術協力、計画的な現地調査等の実施
 ○ 輸出国のHACCP導入状況等の制度調査、輸出国によるHACCPに基づく衛生管理の推進
 ○ 諸外国の食品衛生、経済連携協定等に伴う輸入動向に基づく対応
(2) 輸入時段階での措置
 ○ 輸入者への輸入前指導を含む安全性確保に関する指導の実施
 ○ 輸入届出の審査による食品衛生法への適合性の確認
 ○ 輸入届出内容と実際の貨物が同一であることの確認等
 ○ 多種多様な食品等の安全性を幅広く監視するためのモニタリング検査の実施
(検査件数約98,500件(平成29年度検査件数約97,500件))
特に、病原微生物の検査、ポジティブリスト制度に対応した残留農薬等の検査及び冷凍水産加工食品等の成分規格に係る検査の実施
 ○ 食品衛生法違反の可能性が高いと見込まれる食品等の輸入者に対する検査の命令
 ○ 食品衛生法違反判明時の輸入者への改善結果報告の指導
 ○ 海外からの問題発生情報等に基づく緊急対応の実施
(3) 国内流通段階での措置
 ○ 食品衛生法違反判明時の回収等の指示
(4) その他
 ○ リスクコミュニケーションの実施

通知
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000157889_1.pdf

平成30年度輸入食品監視指導計画
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000162160_1.pdf

9「食品表示基準について」の一部改正について

 平成30年3月28日、消費者庁は次長名をもって各都道府県知事等宛標記通知を出した。その主な内容及び改正は、次のとおり。

 容器包装に入れられた生鮮食品の一部の表示事項については、容器包装に表示することとされているが、一部の生鮮食品の容器包装の形状によっては、容器包装に直接表示することが困難な場合も想定される。また、規制改革実施計画(平成29年6月9日閣議決定)では、生鮮食品における機能性表示食品制度の活用促進のため、必要な措置を講ずることとされている。
 ついては、生鮮食品の容器包装の範囲を拡大し、生鮮食品における機能性表示食品の表示例を追記した。また、食品表示法施行後における事業者等からの問合せ等を受け、食品表示基準の解釈を本通知において明確化すべきと判断した点等についても、併せて別紙新旧対照表のとおり一部改正した。
・改正内容
(生鮮食品)の3表示の方式に次の文章が追加され、卵のみに適用されていたものが生鮮食品に拡大された。
(1) 容器包装に入れられた生鮮食品の表示
生鮮食品の表示については、一部の事項を除き容器包装(容器包装が小売りのために包装されている場合は、当該包装。以下同じ。)の見やすい箇所に表示することとされているが、容器包装の形状等により当該包装に直接表示することが困難な場合は、以下の箇所への表示をもって、容器包装への表示に代えることができることとする。
① 透明な容器包装に包装されている等、必要な表示事項が外部から容易に確認できる場合にあっては、当該容器包装に内封されている表示書
② 容器包装に結び付ける等、当該容器包装と一体となっている場合にあっては、当該容器包装に結び付けられた札、票せん、プレート等
別添アレルゲンを含む食品に関する表別の表1 特定原材料の範囲の中分類欄中、クリーム、濃縮ホエイ、クリームパウダー、ホエイパウダー及びたん白質濃縮ホエイパウダーについて(乳製品)の表示が削除され、
別表2 特定原材料等由来の添加物についての表示例の1 特定原材料の特定原材料の表示欄中、卵黄レシチン及び卵白リゾチームについて卵黄レシチン(卵由来)及び卵白リゾチーム(卵由来)と(卵由来)が追加された。

http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/pdf/food_labeling_act_180328_0005.pdf

新旧対照表
http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/pdf/food_labeling_act_180328_0006.pdf

10 カンピロバクター食中毒事案に対する告発について

 平成30年3月29日、厚生労働省は医薬・生活衛生局食品監視安全課長名をもって各都道府県等衛生主管部(局)長宛標記通知を出した。その主な内容は、次のとおり。

 平成29 年に発生したカンピロバクター食中毒事例について、都道府県等の報告に基づき集計したところ、飲食店等で発生したカンピロバクター食中毒の約半数の事例では、仕入れ品に加熱用表示があるにもかかわらず、生又は加熱不十分な鶏肉を客に提供していたことが判明しています。
 これらの結果について、本年度の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会に報告し議論された結果、今後の対応として、過去の食中毒事例も踏まえつつ、事案の悪質性、組織性、緊急性、広域性等を総合的に勘案し、カンピロバクター食中毒を発生させた関係事業者に対する告発の必要性が確認されています。
 つきましては、下記に該当する事案を発生させた関係事業者に対し、「消費生活事犯対策ワーキングチームの検討結果について」(平成21 年7月7日付け食安監発0707 第4号)に基づき、警察等との連携や告発等、厳正な措置を講じるよう、御対応をよろしくお願いします。


1.加熱用鶏肉であることを認識しつつも、生食等料理を提供したことにより、カンピロバクター食中毒を繰り返し発生させた場合
2.広域的に事業を展開するフランチャイズチェーン店において、一括仕入れする鶏肉が加熱用であることを認識しつつも、チェーンの複数店舗で生食等料理を提供し、カンピロバクター食中毒を広域的に発生させた場合

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000200841.pdf

11 食品衛生法等に基づく処分の理由の提示について

 平成30年3月29日、厚生労働省は医薬・生活衛生局食品監視安全課長名をもって各都道府県等衛生主管部(局)長宛標記通知を出した。その主な内容は、次のとおり。

 食品衛生法等に基づく処分の理由の提示については、行政手続法第8条第1項(申請に対する拒否処分)及び第14 条第1項(不利益処分)の規定により、申請者等に対し、当該処分の理由を示さなければならないこととされています。 特に食品衛生法に基づく営業の禁停止処分等の不利益処分の理由の提示については、処分の取消訴訟において、例えば、「法第6条に違反した」と記載されているのみで、処分の原因となる基本的事実関係や、違反した条項が具体的に示されておらず、行政手続法が求める理由の提示がなされていないとして処分の違法性が判決において指摘された例がみられることから、下記を踏まえ、必要な手続が適切になされるよう特段の御配慮をお願いします。


1 一般に、処分に理由の提示が求められるのは、処分庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を相手方に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨であり、その提示を欠く場合には、処分自体の取消しを免れないこと。

2 1の趣旨から理由の提示が求められている場合における理由の提示の程度は、特段の理由のない限り、いかなる事実関係に基づき、いかなる法規を適用して当該処分がされたのかを、処分の相手方において、その提示内容自体から了知し得るものでなければならず、単に抽象的に処分の根拠規定を示すだけでは、それによって当該規定の適用の原因となった具体的事実関係をも当然に知り得るような例外的な場合を除いては、理由の提示として十分でないこと。

3 以上を踏まえれば、食中毒を発生させ、食品衛生法第6条各号に違反したとして営業者に対して営業の禁停止処分を行う場合には、当該処分を通知する書面に、当該営業者、食品が食中毒の原因であると判断し、推定し、又は疑わしいとした根拠である食中毒調査を踏まえ、同条各号に違反したとする食品※、それが同条各号のいずれに該当するか、当該営業者の行為が同条が的事実関係と適用する法条の適用関係が明らかになるよう記載することが必要であること。
※ 例えば、原因施設のみ特定し、原因食品が特定できない場合には、「当該施設において加工、販売された食品」と記載することが考えられる。

4 上記のことは、原因食品及び原因施設が一応推定しかできない又は疑わしい場合においても、危害の拡大防止のため、営業の禁停止処分等の必要な措置をできるだけ速やかに実施しなければならないこと等、従来からの食中毒事件に対する取扱いを変更するものではないこと。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000200840.pdf

12 「自動車で野生鳥獣を解体する食肉処理業の施設基準ガイドライン」の策定及び
「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」の一部改正について

 平成30年3月29日、厚生労働省は厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官名をもって各都道府県知事等宛標記通知を出した。その主な内容は次のとおり。

 近年、野生鳥獣の食肉としての利活用が推進される中で、食肉処理施設が近隣にない地域における衛生的な処理等を目的として、野生鳥獣の解体に必要な設備等を備えた移動式解体処理車の開発及び普及が進められようとしている。
 今般、食品衛生法第51 条に基づく基準に係る「自動車で野生鳥獣を解体する食肉処理業の施設基準ガイドライン」を別添1のとおり策定したので、御了知されたい。
 また、平成26年11月14日付け食安発1114 第1号別添「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」についても、食肉処理施設に設置することが望ましい施設設備等として、専用のはく皮作業等を行う場所を追加し、別添2のとおり改正するので御了知されたい。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000200775.pdf

13 サルモネラ(4:i:-)の取扱いについて

 平成3月30日、厚生労働省は医薬・生活衛生局食品監視安全課長名をもって各都道府県等衛生主管部(局)長宛標記通知を出した。その主な内容は次のとおり。

 家畜伝染病予防法第4条第1項に基づき届出伝染病と定められているサルモネラ症については、家畜伝染病予防法施行規則第2条において、サルモネラ・エンテリカであって血清型がダブリン、エンテリティディス、ティフィムリウム及びコレラエスイスによるものと規定されています。 今般、別添のとおり農林水産省から、サルモネラ・ティフィムリウム(ST)に性状が似ている、鞭毛抗原の第2相を欠くサルモネラ(以下、サルモネラ4:i:-)の報告の増加を踏まえ、当該抗原構造を有する菌について、平成30 年4 月1 日より家畜伝染病予防法第4条第1項に基づき規定されるサルモネラ症の原因であるSTとして取り扱うことにしたとの連絡がありました。
 つきましては、と畜場法第14 条及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律第15 条に基づく検査を行う際には、以上について御留意いただくようお願いいたします。
 なお、農林水産省の文書には、「サルモネラ4:i:-について、我が国における家畜からの分離状況、病原体等を調査した結果、STの遺伝子が一部変異したものであり、その病原性についてもSTと同様であったことから、サルモネラ4:i:-(臨床症状、疫学状況等から判断される場合を含む。)については、家畜衛生上、STとして取り扱うこととします。」とされ、「サルモネラ(4:i:-)の同定法マニュアル」が添付されている。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000201938.pdf