「食品衛生行政」国の動き 平成30年6月

(株)中部衛生検査センター 学術顧問
森田邦雄

1 食品衛生法等の一部を改正する法律(平成30年6月13日、法律第46号)公布

 平成30年3月13日、内閣が通常国会に提出した「食品衛生法等の一部を改正する法律案」については、4月13日参議院本会議において全会一致で可決され、6月7衆議院本会議においても全会一致で可決され、6月13日官報に搭載され公布された。その概要は次のとおり。なお、施行期日及び経過措置については、最後にある附則を参照されたい。また、各条の上部にある( )書きについては、官報にはなく便宜上つけたものである。

第1条から第7条までは従来通り。

(新開発食品による危害発生の届け出)
第八条 食品衛生上の危害の発生を防止する見地から特別の注意を必要とする成分又は物であって、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定したもの(第三項及び第七十条第一項において「指定成分等」という。)を含む食品(以下この項において「指定成分等含有食品」という。)を取り扱う営業者は、その取り扱う指定成分等含有食品が人の健康に被害を生じ、又は生じさせるおそれがある旨の情報を得た場合は、当該情報を、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なく、都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長(以下「都道府県知事等」という。)に届け出なければならない。
② 都道府県知事等は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を厚生労働大臣に報告しなければならない。
③ 医師、歯科医師、薬剤師その他の関係者は、指定成分等の摂取によるものと疑われる人の健康に係る被害の把握に努めるとともに、都道府県知事等が、食品衛生上の危害の発生を防止するため指定成分等の摂取によるものと疑われる人の健康に係る被害に関する調査を行う場合において、当該調査に関し必要な協力を要請されたときは、当該要請に応じ、当該被害に関する情報の提供その他必要な協力をするよう努めなければならない。

第8条を第9条と、第9条を第10条とする。

(輸入食品のHACCPの取り扱い)
第十一条 食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための措置が講じられていることが必要なものとして厚生労働省令で定める食品又は添加物は、当該措置が講じられていることが確実であるもとして厚生労働大臣が定める国若しくは地域又は施設において製造し、又は加工されたものでなければ、これを販売の用に供するために輸入してはならない。
② 第六条各号に掲げる食品又は添加物のいずれにも該当しないことその他厚生労働省令で定める事項を確認するために生産地における食品衛生上の管理の状況の証明が必要であるものとして厚生労働省令で定める食品又は添加物は、輸出国の政府機関によって発行され、かつ、当該事項を記載した証明書又はその写しを添付したものでなければ、これを販売の用に供するために輸入してはならない。

第10条を第12条と、第11条を第13条と、第12条を第14条とし、第13条及び第14条を削る。

第15条から第17条までは従来通り。

第18条に第3項を加える(器具容器包装のポジティブリスト化)
③ 器具又は容器包装には、成分の食品への溶出又は浸出による公衆衛生に与える影響を考慮して政令で定める材質の原材料であって、これに含まれる物質(その物質が化学的に変化して生成した物質を除く。)について、当該原材料を使用して製造される器具若しくは容器包装に含有さることが許容される量又は当該原材料を使用して製造される器具若しくは容器包装から溶出し、若しくは浸出して食品に混和することが許容される量が第一項の規格に定められていないものは、使用してはならない。ただし、当該物質が人の健康を損なうおそれのない量として厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定める量を超えて溶出し、又は浸出して食品に混和するおそれがないように器具又は容器包装が加工されている場合(当該物質が器具又は容器包装の食品に接触する部分に使用される場合を除く。)については、この限りでない

第19条から第21条までは従来通り。

(広域的な食中毒事案への対策)
第二十一条の二 国及び都道府県等は、食品、添加物、器具又は容器包装に起因する中毒患者又はその疑いのある者(以下「食中毒患者等」という。)の広域にわたる発生又はその拡大を防止し、及び広域にわたり流通する食品、添加物、器具又は容器包装に関してこの法律又はこの法律に基づく命令若しくは処分に係る違反を防止するため、その行う食品衛生に関する監視又は指導(以下「監視指導」という。)が総合的かつ迅速に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。

第二十一条の三 厚生労働大臣は、監視指導の実施に当たっての連携協力体制の整備を図るため、厚生労働省令で定めるところにより、国、都道府県等その他関係機関により構成される広域連携協議会(以下この条及び第六六条において「協議会」という。)を設けることができる。
② 協議会は、必要があると認めるときは、当該協議会の構成員以外の都道府県等その他協議会が必要と認める者をその構成員として加えることできる。
③ 協議会において協議が調った事項については、協議会の構成員は、その協議の結果を尊重しなければならない。
④ 前三項に定めるもののほか、協議会の運営に関し必要な事項は、協議会が定める。

第22条から第49条までは従来通り

第50条の第2項を削る。

(HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理)
第五十一条 厚生労働大臣は、営業(器具又は容器包装を製造する営業及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律第二条第五号に規定する食鳥処理の事業(第五十四条及び第五十七条第一項において「食鳥処理の事業」という。)を除く。)の施設の衛生的な管理その他公衆衛生上必要な措置(以下この条において「公衆衛生上必要な措置」という。)について、厚生労働省令で、次に掲げる事項に関する基準を定めるものとする。
一施設の内外の清潔保持、ねずみ及び昆虫の駆除その他一般的な衛生管理に関すること。
二食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための取組(小規模な営業者(器具又は容器包装を製造する営業者及び食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律第六条第一項に規定する食鳥処理業者を除く。次項において同じ。)その他の政令で定める営業者にあっては、その取り扱う食品の特性に応じた取組)に関すること。
② 営業者は、前項の規定により定められた基準に従い、厚生労働省令で定めるところにより公衆衛生上必要な措置を定め、これを遵守しなければならない。

(注)「食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための取組」が「HACCP に基づく衛生管理」に、「小規模な営業者その他の政令で定める営業者にあつては、その取り扱う食品の特性に応じた取組」が「HACCP の考え方を取り入れた衛生管理」に該当する。

第五十二条 厚生労働大臣は、器具又は容器包装を製造する営業の施設の衛生的な管理その他公衆衛生上必要な措置(以下この条において「公衆衛生上必要な措置」という。)について、厚生労働省令で、次に掲げる事項に関する基準を定めるものとする。
一施設の内外の清潔保持その他一般的な衛生管理に関すること。
二食品衛生上の危害の発生を防止するために必要な適正に製造を管理するための取組に関すること。
② 器具又は容器包装を製造する営業者は、前項の規定により定められた基準(第十八条第三項に規定する政令で定める材質以外の材質の原材料のみが使用された器具又は容器包装を製造する営業者にあっては、前項第一号に掲げる事項に限る。)に従い、公衆衛生上必要な措置を講じなければならない。
③ 都道府県知事等は、公衆衛生上必要な措置について、第一項の規定により定められた基準に反しない限り、条例で必要な規定を定めることができる。

第五十三条 第十八条第三項に規定する政令で定める材質の原材料が使用された器具又は容器包装を販売し、又は販売の用に供するために製造し、若しくは輸入する者は、厚生労働省令で定めるところにより、その取り扱う器具又は容器包装の販売の相手方に対し、当該取り扱う器具又は容器包装が次の各号のいずれかに該当する旨を説明しなければならない。
一第十八条第三項に規定する政令で定める材質の原材料について、同条第一項の規定により定められた規格に適合しているもののみを使用した器具又は容器包装であること。
二第十八条第三項ただし書に規定する加工がされている器具又は容器包装であること。
② 器具又は容器包装の原材料であって、第十八条第三項に規定する政令で定める材質のものを販売し、又は販売の用に供するために製造し、若しくは輸入する者は、当該原材料を使用して器具又は容器包装を製造する者から、当該原材料が同条第一項の規定により定められた規格に適合しているものである旨の確認を求められた場合には、厚生労働省令で定めるところにより、必要な説明をするよう努めなければならない。

第51条を第54条に、第52条を第55条に、第53条を第56,条に改める。

(営業届け出制度)
第五十七条 営業(第五十四条に規定する営業、公衆衛生に与える影響が少ない営業で政令で定めるもの及び食鳥処理の事業を除く。)を営もうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、その営業所の名称及び所在地その他厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。
(食品リコール情報の報告制度)
第五十八条 営業者が、次の各号のいずれかに該当する場合であって、その採取し、製造し、輸入し、加工し、若しくは販売した食品若しくは添加物又はその製造し、輸入し、若しくは販売した器具若しくは容器包装を回収するとき(次条第一項又は第二項の規定による命令を受けて回収するとき、及び食品衛生上の危害が発生するおそれがない場合として厚生労働省令・内閣府令で定めるときを除く。)は、厚生労働省令・内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、回収に着手した旨及び回収の状況を都道府県知事に届け出なければならない。 一 第六条、第十条から第十二条まで、第十三条第二項若しくは第三項、第十六条、第十八条第二項若しくは第三項又は第二十条の規定に違反し、又は違反するおそれがある場合
二 第九条第一項又は第十七条第一項の規定による禁止に違反し、又は違反するおそれがある場合

第54条から第60条を第59条から第65条に改める。

第六十六条 前条に規定する場合において、厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、協議会を開催し、食中毒の原因調査及びその結果に関する必要な情報を共有し、関係機関等の連携の緊密化を図るとともに、食中毒患者等の広域にわたる発生又はその拡大を防止するために必要な対策について協議を行うよう努めなければならない。

第61条から第65条の3までを第67条から第73条までに改める。

第七十四条 厚生労働大臣は、食品衛生に関する国際的な連携を確保するため、外国の政府機関から、輸出食品安全証明書(輸出する食品の安全性に関する証明書をいう。以下この条及び次条において同じ。)を厚生労働大臣が発行するよう求められている場合であつて、食品を輸出しようとする者から申請があつたときは、厚生労働省令で定めるところ、により、輸出食品安全証明書を発行することができる。
② 前項の規定により輸出食品安全証明書の発行を受けようとする者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国に納付しなければならない。
③ 第一項に規定するもののほか、厚生労働大臣は、輸出する食品の安全性の証明のための手続の整備その他外国の政府機関に対する食品衛生に関する情報の提供のために必要な措置を講ずるものとする。
第七十五条 都道府県知事等は、前条第一項の規定により厚生労働大臣が輸出食品安全証明書を発行する場合を除き、食品を輸出しようとする者から申請があつたときは、厚生労働省令で定めるところにより、輸出食品安全証明書を発行することができる。
② 前項に規定するもののほか、都道府県知事等は、外国の政府機関に対する食品衛生に関する情報の提供のために必要な措置を講ずることができる。

第66条から第79条までを第76条から第89条までに改める。

附則(概要)
(施行期日)
第一条この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
二 第二十一条の二条及び二十一条の三の規定
公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日
三 第五十七条及び第五十八条の規定
公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日
(食品等の輸入に関する経過措置)
第二条 第十一条第一項の規定については、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)から起算して一年間は、適用しない。この場合において、同項に規定する厚生労働省令で定める食品又は添加物を販売の用に供するために輸入する者は、同項に規定する厚生労働大臣が定める国若しくは地域又は施設において製造し、又は加工された食品又は添加物を輸入するよう努めなければならない。
(器具及び容器包装の規制に関する経過措置)
第四条 この法律の施行の際現に販売され、販売の用に供するために製造され、若しくは輸入され、又は営業上使用されている器具及び容器包装については、新食品衛生法第十八条第三項及び第五十三条の規定は、適用しない。
(公衆衛生上必要な措置に関する経過措置)
第五条 食品衛生法第五十一条第二項に規定する公衆衛生上必要な措置については、施行日から起算して一年間は、旧食品衛生法第五十条第二項の規定により定められた基準によることとする。
(営業の届出に関する経過措置)
第八条 第五十七条第一項の規定による届出をしなければならない営業を営んでいる者は、同項の規定にかかわらず、施行日から起算して六月を経過する日までに、同項の規定による届出をしなければならない。

2 牛乳等における異味異臭疑い事案の調査について

 平成30年6月14日、厚生労働省は医薬・生活衛生局食品監視安全課長名をもって各都道府県等衛生主管部(局)長宛表記通知を出した。その主な内容は次の通り。

 牛乳等について、異味異臭が生じているとの情報を把握した場合は、当該製品を処理した乳処理業者等に対し、原因究明等の必要な調査、指導を行っていただいているところですが、乳処理施設内に原因が確認されない事例も報告されています。
 つきましては、衛生主管部局においては、下記の事項に留意し、食品衛生法第28 条第1項に基づき、集乳業者、搾乳業者、乳処理業者等関係施設における衛生管理の調査を実施するようお願いします。また、集乳業者及び搾乳業者に対する調査に当たっては、必要に応じて農政主管部局と協力するとともに、関係施設を他の都道府県等が管轄する場合は、管轄する都道府県等と連携し、対応をお願いします。
なお、本件に関し、別添のとおり農林水産省から各都道府県の農政主管部局に対し、通知されていることを申し添えます。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000212294.pdf

3 シアン化合物を含有する食品の取扱いについて

 平成30年6月14日、厚生労働省は医薬・生活衛生局食品監視安全課長名をもって各都道府県等衛生主管部(局)長宛標記通知を出した。その主な内容は次の通り。

 独立行政法人国民生活センターの買上調査において、びわの種子を使用した食品等からシアン化合物が検出されたことを踏まえ、シアン化合物を含有する食品の取扱いについて、下記のとおりとすることとした。
1.天然にシアン化合物を含有することが知られている以下の食品及びその加工品について、自主検査の実施等により、シアン化合物の濃度が10ppm を超えないように適切に管理するよう製造・販売業者を指導すること。なお、10ppmを超えてシアン化合物が検出された場合は、原則として、食品衛生法第6条第2号に該当するものとして措置すること。
<自主検査の対象食品>
亜麻の実、杏子の種子、梅の種子、ビターアーモンド、キャッサバ、キャッサバの葉、びわの種子

2.原料から10ppm を超えてシアン化合物が検出された場合であっても、調理・加工等により、最終製品においてシアン化合物の含有量が10ppm を下回る場合は、食品衛生法第6条第2号に該当しないものとして取り扱うこと。

3.葉や種子の破砕片をティーバッグに入れた食品で、お湯等で抽出して飲むものについては、ティーバッグの内容物から10ppm を超えてシアン化合物が検出された場合でも、抽出液で10ppm 超えていない場合は、直ちに食品衛生法第6条第2号に該当するものとはしないこと。

http://www.hourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T180618I0010.pdf

4 腸管出血性大腸菌食中毒の予防対策等の徹底について

 平成30年6月15日、厚生労働省は医薬・生活衛生局食品監視安全課長名をもって各都道府県等衛生主管部(局)長宛標記通知を出した。その内容は次の通り。なお、別紙の調査結果に「サンチュ」が記載されている。

 本年5月25 日以降、埼玉県、東京都、茨城県及び福島県で報告された腸管出血性大腸菌O157 による食中毒・感染症の事案のうち、6件について、患者からの菌の遺伝子型が同一であったことが確認されています。
 関係地方自治体が行った当該遺伝子型の腸管出血性大腸菌O157:H7 による感染症法及び食品衛生法に基づく調査の結果(別紙参照)を踏まえ、腸管出血性大腸菌感染症・食中毒の発生及び拡大防止の観点から下記のとおり対応をよろしくお願いします。
 なお、当該生産・出荷者は、既に出荷自粛及び自主回収の要請が行われており、改善後に出荷が再開される予定としていることを申し添えます。


1.野菜等を生で食べるときにはよく洗うことを注意喚起すること。
2.特に、高齢者、若齢者及び抵抗力の弱い者を対象とした食事を提供する施設に対しては、引き続き、腸管出血性大腸菌による食中毒を予防する観点から、野菜及び果物を加熱せずに供する場合(表皮を除去する場合を除く。)には、殺菌を行うよう改めて指導の徹底すること。
 (参考通知)「大量調理施設衛生管理マニュアル」(平成9 年3 月24 日付け衛食第85 号(最終改正:平成29 年6 月16 日付け生食発0616 第1号)の別添)
3.農林水産省に対して野菜等の衛生管理に関して協力を要請したので生産部局と適切に連携すること。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000212359.pdf

5 食品表示の適正化に向けた取組について

 平成30年6月25日、消費者庁は、食品衛生の監視指導の強化が求められる夏期において、食品の表示・広告の適正化を図るため、都道府県等と連携し、食品表示法、景品表示法及び健康増進法の規定に基づき取組を実施することを公表した。その主なものは次の通り。

(1)実施時期:平成30 年7月1日から同月31 日まで
(2)主な監視指導事項
ア アレルゲン、期限表示等の衛生・保健事項に関する表示
イ 保健機能食品を含めた健康食品に関する表示
ウ 生食用食肉、遺伝子組換え食品等に関する表示
エ 道の駅や産地直売所、業務用加工食品に関する表示
オ 食品表示基準に基づく表示方法の普及・啓発
(3)表示の適正化等に向けた重点的な取組について
ア カンピロバクター食中毒対策の推進について
イ 食中毒等の健康被害発生時の連携について
ウ 原料原産地表示制度の普及啓発の協力依頼について
なお、本件については、6月6日消費者庁次長名をもって各都道府県知事等宛先「平成30 年度食品衛生法等の規定に基づく食品等の表示に係る夏期一斉取締りの実施について」の通知がされている。

http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/pdf/food_labeling_information_180625_0001.pdf

6 平成29年度食品衛生法等の表示に係る年末一斉取締り結果

 平成30年6月25日,消費者庁は地方公共団体(都道府県、保健所設置市及び特別区の保健部局)による、食品等の表示に係る平成29年度一斉取締りの指導件数等を公表した。その主な内容は次の通り。

 表示に関して、法に基づく命令及び指示はなかったが、命令及び指示以外の措置については、夏期、2,181件、年末、2,185件であった。
 違反の内容は、多かった順で見ると、製造者加工者、夏期、36件、年末、30件、添加物、夏期、34件,年末、31件、アレルゲン、夏期、22件、年末、33件であった。

食品等の表示に係る一斉取締りの指導件数等
http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/pdf/food_labeling_information_180625_0002.pdf
http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/pdf/food_labeling_information_180625_0003.pdf

食品表示法の食品表示基準に係る国(消費者庁、国税庁及び農林水産省)による平成29年度下半期(平成29年10月~平成30年3月)の指導の件数等
http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/pdf/food_labeling_information_180622_0001.pdf

7 既存添加物の販売等の実態調査について

 平成30年6月27日、厚生労働省は医薬・生活衛生局食品基準審査課長名をもって各都道府県等衛生主管部(局)長宛標記通知を出した。その主な内容は次の通り。

 厚生労働省では「消除予定添加物名簿の作成に係る既存添加物の販売等調査について」(平成29 年12 月22 日)により、現に販売の用に供されていない可能性がある196 品目の既存添加物に関して販売等の状況について調査を行ったところ。
 その結果、別添1に掲げる68 品目の既存添加物については、添加物としての販売等の実態を確認するに足りる資料の提出が得られなかったことから、今般これらの品目の販売等の状況について、国内及び海外において調査を拡大して行うこととした。
 ついては、平成29 年調査と同様に、貴管内の既存添加物又はこれを含む製剤若しくは食品(以下「既存添加物等」という。)を販売等する営業者に対し、調査対象の既存添加物等について、販売等がなされているのであれば、別添2-1及び2-2により申出がなされるよう周知方お願いする。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000213398.pdf

別添1 食品添加物として販売の用に供されていない既存添加物(68品目)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000213253.pdf

8 腸管出血性大腸菌による広域的な感染症・食中毒に関する調査について

 平成30年6月29日、厚生労働省は健康局結核感染症課及び医薬・生活衛生局食品監視安全課の連名で各都道府県等 衛生主管部(局)宛標記事務連絡を出した。その主な内容は次の通り。

 腸管出血性大腸菌による広域的な感染症・食中毒については、平成29 年夏期の発生事例を踏まえ、同年11 月に腸管出血性大腸菌感染症・食中毒事例の調査結果取りまとめを行い事例の検証、今後の対応等を整理し公表しています。
 今般、当該取りまとめを踏まえ、病因物質が腸管出血性大腸菌O157,O26,O111と疑われる場合は、下記の関係通知に加え、別紙のとおり取扱うこととしますので、実施方よろしくお願いします。

別紙
腸管出血性大腸菌による広域的な感染症・食中毒に関する調査について
1. 概要
 腸管出血性大腸菌による広域的な感染症・食中毒の調査について、事案の早期探知、関係部門間の連携及び情報の共有等を目的として新たに、疫学情報に感染症サーベイランスシステムにて付与された番号(以下「NESID ID」という。)を付して管理するとともに反復配列多型解析法(Multiple-LocusVariable-number tandem repeat Analysis )による解析結果を一覧化して共有を行うこととするため、その取り扱いについて定める。また併せて、国、都道府県等関係機関1の連携・協力体制を確保するため、腸管出血性大腸菌による広域的な感染症・食中毒に関する調査情報の共有手順等について定める。

https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000307591.pdf

9 米国におけるカット済みメロンに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Adelaide)感染アウトブレイク等

 国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部の食品安全情報(微生物)No.14 / 2018(2018.07.04)で表記情報が搭載されている。主な内容は次の通り。

 米国疾病予防管理センター(US CDC)、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国食品医薬品局(US FDA)は、7州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Adelaide)感染アウトブレイクを調査している。
 2018年6月8日の初発情報以降、新たに10人が本アウトブレイクの患者に追加された。2018年6月18日時点で、S. Adelaideアウトブレイク株の感染患者が7州から計70人報告されている
 また。同食品安全情報(微生物)には、Del Monte Fresh Produce社製の野菜盛り合わせ製品に関連して米国の複数州で発生しているサイクロスポラ症アウトブレイクの情報が搭載されている
 米国疾病予防管理センター(US CDC)、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国食品医薬品(US FDA)は、複数州にわたり発生しているサイクロスポラ感染アウトブレイクを調査している。
 ブロッコリー、カリフラワー、ニンジン、およびディル(ハーブの一種)ディップソースを盛り合わせたDel Monte Fresh Produce社製の包装済み野菜製品を喫食したと報告し、検査機関でサイクロスポラ感染が確認された患者が、2018年6月28日までに4州から計185人報告されている。

http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2018/foodinfo201814m.pdf

10 欧州食品安全機関(EFSA)のトランス脂肪酸の問題についての科学的および技術的補足

 国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部の食品安全情報(化学物質)No. 14/ 2018(2018. 07. 04)で表記情報が搭載されている。主な内容は次の通り。

 EFSAの各パネルによって提示された科学的助言は、諸外国の機関や国際機関によって設定された最も新しいDRVs、栄養学的目標・推奨事項、及びTFAに関する食事ガイドラインの科学的根拠と一致している。介入試験の結果から、TFAを含む食事の摂取はcis- 一価不飽和脂肪酸やcis- 多価不飽和脂肪酸を含む食事をした場合よりも、冠動脈性心疾患(CHD)リスクの増加の予兆となる血中脂質への有害影響を及ぼし、その影響は用量依存的であることが示されている。前向きコホート調査では、TFAの多量摂取とCHDリスク増加との間に一貫した関連性が示されている。これら2つのタイプの調査で得られた根拠の一貫性は、TFA摂取が他の脂肪酸の摂取に比べてCHDリスクを増加させるという直線的で用量依存的な影響を与えるという結論を強く支持している。入手可能な根拠では、天然由来(反芻動物)と工業由来のTFAによる影響が同等であるのかどうかを確定するには不十分である。
 欧州域内におけるTFA摂取に関する推奨事項は、フランスと英国では2%E(% of total energy)未満とすることを維持しているが、その他の国ではWHOと同様の1%E未満又は可能な限り少なくすべきとしている。最新の米国農務省(USDA)によるアメリカ人のための食事ガイドラインでは、工業的に生産されるTFAの摂取は避け、天然由来のTFAの摂取は0.5%E未満にすることを推奨している。これは、米国FDAによる工業的に生産されるTFAの主な摂取源である部分水素添加油に関する決定を反映したものとなっている。

http://www.nihs.go.jp/hse/food-info/foodinfonews/2018/foodinfo201814c.pdf