「食品衛生行政」国の動き 平成30年10月

(株)中部衛生検査センター 学術顧問
森田邦雄

1 食品衛生法第11 条第3項の規定により人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるものとして厚生労働大臣が定める物質の一部を改正

 平成30年10月18日、厚生労働省は大臣官房生活衛生・食品安全審議官名をもって各都道府県知事等宛標記通知を出した。これは、同日をもって厚生労働省告示が改正され、法第11 条第3項の規定に基づく対象外物質に、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンが追加された旨を周知したものである。

https://www.mhlw.go.jp/content/000368035.pdf

2 米国疾病管理予防センター 、総菜ハムに関連したリステリア集団感染情報等を公表

 平成30年10月17日、食品安全委員会が公表した食品安全総合情報システムに標記等の報告が登載されている。その主なものは、次の通り。

(1) 総菜ハムに関連したリステリア集団感染情報
 ア 米国疾病管理予防センター(CDC)、複数州の公衆衛生及び規制当局は、Johnston County Hams社(ノースカロライナ州Smithfield)製の非加熱喫食調理済み(RTE)惣菜ハム(Deli Ham)に関連したリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)よる複数州における集団感染症について調査している。米国農務省の食品安全検査局(USDA-FSIS)が本集団感染を監視している。
 イ 2018年10月3日時点で、リステリア・モノサイトゲネスの集団感染株に感染した4人が2州(バージニア州、ノースカロライナ州)から報告されている。
 ウ 患者からのリステリア検体は2017年7月8日から2018年8月11日に収集された。患者の年齢は70歳未満~81歳、年齢中央値76歳である。患者の50%が女性である。4人の患者全員(100%)が入院した。バージニア州から1人の死亡が報告されている。

(2) 牛挽肉に関連したサルモネラ属菌集団感染情報を公表
 ア CDC、複数州の公衆衛生及び規制当局並びに米国農務省の食品安全検査局(USDA-FSIS)は、JBS Tolleson社(アリゾナ州)製の牛挽肉に関連したサルモネラ・ニューポート(Salmonella Newport)による複数州における集団感染症について調査している。
 イ 2018年10月4日時点で、S. Newportの集団感染株に感染した57人が16州から報告されている。
 ウ 患者は2018年8月5日から9月6日の間に発症している。患者は1歳未満~88歳、年齢中央値は33歳、61%が男性である。情報の得られた45人のうち14人(31%)が入院、死亡者は報告されていない。
 エ 疫学及び遡及調査の証拠は、JBS Tolleson社製の牛挽肉が本集団感染源である可能性が高いことを示している。

(3) 食鳥処理施設の作業者の間で発生した複数州におけるオウム病集団感染(2018年)について公表
 ア 最新の集団感染情報:
 2018年8月から9月にかけて、バージニア州及びジョージア州の2つの食鳥処理施設の作業者の間で、オウム病症例が報告された。一企業が両方の施設を所有している。
 検査機関で実施された検査によって、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)が11人で確認された。検査確定症例ではないが、当該2施設の作業者において更なる患者が確認されている。死亡者の報告はない。
 イ どのようにしてオウム病に感染するか:
 オウム病を引き起こす細菌への最も一般的な感染経路は、感染した鳥類由来の乾燥した分泌物(例えば、排泄や呼吸による)を含む塵を吸入することである。鶏肉の調理或いは喫食で、当該細菌が広がる可能性があるという科学的証拠はない。
 オウム病がヒトからヒトへ伝播することはまれである。当該集団感染で、感染施設の作業者ではない家族間での感染は報告されていない。

http://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/search?keyword=%EF%BC%AC%EF%BC%A4%EF%BC%95%EF%BC%90&query=&logic=and&calendar=japanese&year=&from=struct&from_year=2018&from_month=09&from_day=14&to=struct&to_year=2018&to_month=10&to_day=05&areaId=00&countryId=000&informationSourceId=0000&max=100&sort_order=date.desc

3 スウェーデン及びオーストリアで発生した輸入いちごによる集団A型肝炎

 平成18年10月31日、食品安全委員会が公表した食品安全総合情報システムに標記の報告が登載されている。その主なものは、次の通り。

 Eurosurveillanceに掲載された論文「シークエンス解析により関連付けられた2018年6月から9月にスウェーデン及びオーストリアで発生した輸入いちごによる集団A型肝炎の概要は以下のとおり。
 2018年6から9月に、スウェーデンの6つの郡でA型肝炎患者20人の届出があった。疫学調査及び微生物学的調査を総合して、ポーランドで製造された輸入冷凍いちごが集団感染源と特定された。シークエンス解析によって、いちごに100%同一の集団感染株IBが確認されたことから、該当バッチは回収された。
 シークエンス情報を国際的に共有したところ、更にオーストリアの14人の患者が同一製造者のいちごに関連していることが確認された。

http://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/search?keyword=%EF%BC%AC%EF%BC%A4%EF%BC%95%EF%BC%90&query=&logic=and&calendar=japanese&year=&from=struct&from_year=2018&from_month=10&from_day=05&to=struct&to_year=2018&to_month=10&to_day=19&areaId=00&countryId=000&informationSourceId=0000&max=100&sort_order=date.desc