「食品衛生行政」国の動き 平成31年1月

(株)中部衛生検査センター 学術顧問
森田邦雄

1 食品衛生法第11条第3項の規定により人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるものとして厚生労働大臣が定める物質の一部を改正する件

 平成31年1月22日、標記の件が、平成31年厚生労働省告示第10号として官報に登載された。
 これは、新たにカプリン酸グリセリル及びグリセリンクエン酸脂肪酸エステルが定められ、同日、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官名をもって各検疫所長宛に通知が出された。

https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000472062.pdf

2 HACCP に沿った衛生管理の制度化に関するQ&A更新

 平成31年1月30日、厚生労働省は医薬・生活衛生局食品監視安全課名をもって各都道府県等衛生主管(部)局宛標記事務連絡を出した。これは、昨年末全国7カ所で開催した「「食品衛生法等の一部を改正する法律」に基づく政省令案の検討状況に関する説明会」での質疑応答を踏まえ、「HACCPに沿った衛生管理の制度化に関するQ&A」を更新したもので、問は1から22まである。その一部は次の通り。

 問12  飲食店が、「HACCP に沿った衛生管理」を実施していない事業者から仕入れた食材を使用した場合、法違反になるのか。
 ○ HACCP に沿った衛生管理を行っていない事業者から原材料等を購入したことが、直ちに法違反となるものではありませんが、食品衛生法を遵守している事業者から購入するようにしてください。

 問13  事業者が民間認証を取得している場合は「HACCP に沿った衛生管理」を実施していると言えるのか。
 1 JFS、FSSC22000 等の民間認証は、その認証基準にHACCP を含んでおり、事業者間の取引等において活用されていますが、これらはあくまで事業者による任意の取組であり、食品衛生法に基づく規制においては、事業者に対して、これら民間認証の取得を求めないこととしています。

 2 ただし、これらの認証のうち、JFS、FSSC22000、ISO22000 等、HACCP に関してコーデックスと同様の要件を求めているものについては、「HACCP に基づく衛生管理」の要件を満たしていると考えており、保健所等による立入検査等の際に、認定に必要な書類や記録、審査や監査の結果等を活用し、事業者負担の軽減に配慮することを検討しています。

https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000475367.pdf

Q&A
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000475365.pdf

3 HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化に伴う食品等事業者への監視指導について通知

 平成31年2月1日、厚生労働省は医薬・生活衛生局食品監視安全課長名をもって各都道府県等衛生主管 部(局)長宛標記通知を出した。その内容は次の通り。

 昨年、食品衛生法等の一部を改正する法律が公布され、原則として、すべての食品等事業者(以下、「事業者」という。)に、一般衛生管理に加え、HACCPに沿った衛生管理の実施を求めることとし、実施にあたっては、対象事業者の規模や業種等に応じた衛生管理とすることとしている。
 加えて、HACCPに沿った衛生管理の制度化に向けては、衛生管理の基準を厚生労働省令に規定し、地方自治体による監視指導の内容を平準化することとしており、平準化にあたっては、「食品衛生管理に関する技術検討会」において確認等が終了した、事業者団体が作成した業種別手引書に基づき実施することとしている。
 また、上記の法律改正を踏まえた「「食品衛生法等の一部を改正する法律」に基づく政省令案の検討状況に関する説明会」において、事業者から一部の地方自治体により事業者の規模、業種等を考慮せず「HACCPに基づく衛生管理」を要求する指導が行われ、事業に支障を生じている旨の意見が寄せられている ついは、これらの状況等を踏まえ、次の内容に留意し、対応願います。

 1. 地方自治体において、HACCPに沿った衛生管理の監視指導等を行う際は、上記検討会の確認を終了した手引書に基づいて行うこと。
 2. 1.の監視指導等に際し、上記手引書の簡易版等が必要な場合は、上記検討会の確認を要することから、当課に事前協議すること。

https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000476113.pdf