「食品衛生行政」国の動き 令和元年10月

(株)中部衛生検査センター 学術顧問
森田邦雄

1 食品衛生法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令公布

 2019(令和元)年10月9日、標記政令が政令第121号として公布された。
 その内容は、食品衛生法等の一部を改正する法律の施行期日は2020(令和2)年6月1日(HACCPに沿った衛生管理、特別の成分を含む食品により健康被害情報の収集、器具・容器包装の衛生規制等関係)とし、同法附則第1条第3号(営業許可制度の見直し、営業届け出制度、食品リコール情報の報告制度関係)に掲げる規定の施行期日は2021(令和3)年6月1日とする。

https://kanpou.npb.go.jp/20191009/20191009h00108/20191009h001080003f.html

2 食品衛生法施行令及び厚生労働省組織令の一部を改正する政令公布

 2019(令和元)年10月9日、標記政令が政令第122号として公布された。その主な内容は次の通り。

第1条 食品衛生法第18条第3項の政令で定める材質(器具・容器包装のポジティブリスト制度の対象となる物質)は、合成樹脂とする。
第2条及び第3条を削除
(小規模な営業者等)
第34条の2 法第50条の2第1項第2号の政令で定める営業者は、次のとおりとする。
 一 食品を製造し、又は加工する営業者であって、食品を製造し、又は加工する施設に併設され、又は隣接した店舗においてその施設で製造し、又は加工した食品の全部又は大部分を小売販売するもの
 二 飲食店営業(一般食堂、料理店、すし屋、そば屋、旅館、仕出し屋、弁当屋、レストラン、カフェー、バー、キャバレーその他食品を調理し、又は設備を設けて客に飲食させる営業をいい、喫茶店営業(喫茶店、サロンその他設備を設けて酒類以外の飲物又は茶菓を客に飲食させる営業をいう。以下この号及び次条第二号において同じ。)を除く。同条第一号において同じ。)又は喫茶店営業を行う者その他の食品を調理する営業者であって厚生労働省令で定めるもの
 三 容器包装に入れられ、又は容器包装で包まれた食品のみを貯蔵し、運搬し、又は販売する営業者
 四 前三号に掲げる営業者のほか、食品を分割して容器包装に入れ、又は容器包装で包み、小売販売する営業者その他の法第五十条の二第一項第一号に規定する施設の内外の清潔保持、ねずみ及び昆虫の駆除その他一般的な衛生管理並びに同項第二号に規定するその取り扱う食品の特性に応じた取組により公衆衛生上必要な措置を講ずることが可能であると認められる営業者であって厚生労働省令で定めるもの

3 食品衛生法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令公布

 2019(令和元)年10月9日、標記政令が政令第123号として公布された。その主な内容は次の通り。

 同日、政令第122号で改正された(小規模な営業者等)第34条の2第2号中「一般食堂、料理店、すし屋、そば屋、旅館、仕出し屋、弁当屋、レストラン、カフェー、バー、キャバレーその他食品を調理し、又は設備を設けて客に飲食させる営業をいい、喫茶店営業(喫茶店、サロンその他設備を設けて酒類以外の飲物又は茶菓を客に飲食させる営業をいう。以下この号及び次条第2号において同じ。)を除く。同条第一号」を「食品を調理し、又は設備を設けて客に飲食させる営業をいう。次条第1号」に、「喫茶店営業を」を「調理の機能を有する自動販売機(容器包装に入れられず、又は容器包装で包まれない状態の食品に直接接触するものに限る。同条第2号において同じ。)により食品を調理し、調理された食品を販売する営業を」に改める。

 第35条各号(施設基準及び許可の対象)を次のように改める。
一 飲食店営業
二 調理の機能を有する自動販売機(容器包装に入れられず、又は容器包装で包まれない状態の食品に直接接触する部分を自動的に洗浄するための装置その他の食品衛生上の危害の発生を防止するために必要な装置を有するものを除く。)により食品を調理し、調理された食品を販売する営業
三 食肉販売業(食肉を専ら容器包装に入れられた状態で仕入れ、そのままの状態で販売する営業を除く。)
四 魚介類販売業(店舗を設け、鮮魚介類(冷凍したものを含む。以下この号及び次号において同じ。)を販売する営業をいい、魚介類を生きているまま販売するもの、鮮魚介類を専ら容器包装に入れられた状態で仕入れ、そのままの状態で販売するもの及び同号に該当するものを除く。)
五 魚介類競り売り営業(鮮魚介類を魚介類市場において競り売りその他の厚生労働省令で定める取引の方法で販売する営業をいう。)
六 集乳業(生乳を集荷し、これを保存する営業をいう。)
七 乳処理業(生乳を処理し、若しくは飲用に供される乳の製造(小分けを含む。以下この号において同じ。)をする営業又は生乳を処理し、若しくは飲用に供される乳の製造をし、併せて乳製品(飲料に限る。)若しくは清涼飲料水の製造をする営業をいう。)
八 特別牛乳搾取処理業(牛乳を搾取し、殺菌しないか、又は低温殺菌の方法によって、これを厚生労働省令で定める成分規格を有する牛乳に処理する営業をいう。)
九 食肉処理業(食用に供する目的で食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律第2条第1号に規定する食鳥以外の鳥若しくはと畜場法第3条第1項に規定する獣畜以外の獣畜をとさつし、若しくは解体し、又は解体された鳥獣の肉、内臓等を分割し、若しくは細切する営業をいい、第二十六号又は第二十八号に該当するものを除く。)
十 食品の放射線照射業
十一 菓子製造業(菓子(パン及びあん類を含む。)を製造する営業をいい、第二十六号又は第二十八号に該当するものを除く。)
十二 アイスクリーム類製造業(アイスクリーム、アイスシャーベット、アイスキャンデーその他液体食品又はこれに他の食品を混和したものを凍結させた食品を製造する営業をいう。)
十三 乳製品製造業(粉乳、練乳、発酵乳、クリーム、バター、チーズ、乳酸菌飲料その他の厚生労働省令で定める乳を主原料とする食品の製造(小分け(固形物の小分けを除く。)を含む。)をする営業をいう。)
十四 清涼飲料水製造業(生乳を使用しない清涼飲料水又は生乳を使用しない乳製品(飲料に限る。)の製造(小分けを含む。)をする営業をいう。)
十五 食肉製品製造業(ハム、ソーセージ、ベーコンその他これらに類するもの(以下この号において「食肉製品」という。)を製造する営業又は食肉製品と併せて食肉若しくは食肉製品を使用したそうざいを製造する営業をいう。)
十六 水産製品製造業(魚介類その他の水産動物若しくはその卵(以下この号において「水産動物等」という。)を主原料とする食品を製造する営業又は当該食品と併せて当該食品若しくは水産動物等を使用したそうざいを製造する営業をいい、第二十六号又は第二十八号に該当するものを除く。)
十七 氷雪製造業
十八 液卵製造業(鶏卵から卵殻を取り除いたものの製造(小分けを含む。)をする営業をいう。)
十九 食用油脂製造業(マーガリン又はショートニング製造業を含む。)
二十 みそ又はしょうゆ製造業(みそ若しくはしょうゆを製造する営業又はこれらと併せてこれらを主原料とする食品を製造する営業をいう。)
二十一 酒類製造業(酒類の製造(小分けを含む。)をする営業をいう。)
二十二 豆腐製造業(豆腐を製造する営業又は豆腐と併せて豆腐若しくは豆腐の製造に伴う副産物を主原料とする食品を製造する営業をいう。)
二十三 納豆製造業
二十四 麺類製造業(麺類を製造する営業をいい、第二十六号又は第二十八号に該当するものを除く。)
二十五 そうざい製造業(通常副食物として供される煮物(つくだ煮を含む。)、焼物(いため物を含む。)、揚物、蒸し物、酢の物若しくはあえ物又はこれらの食品と米飯その他の通常主食と認められる食品を組み合わせた食品を製造する営業をいい、第十五号、第十六号、第二十二号又は次号から第二十八号までに該当するものを除く。)
二十六 複合型そうざい製造業(前号に規定する営業と併せて第九号に規定する営業に係る食肉の処理をする営業(法第51 条第1 項第2 号に規定する食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するための取組(以下この号において「重要工程管理」という。)を行う場合に限る。第二十八号において同じ。)又は第十一号、第十六号(魚肉練り製品(魚肉ハム、魚肉ソーセージ、鯨肉ベーコンその他これらに類するものを含む。)の製造に係る営業を除く。第二十八号において同じ。)若しくは第二十四号に規定する営業に係る食品を製造する営業(重要工程管理を行う場合に限る。第二十八号において同じ。)をいう。)
二十七 冷凍食品製造業(第二十五号に規定する営業に係る食品を製造し、その製造された食品の冷凍品を製造する営業をいい、次号に該当するものを除く。)
二十八 複合型冷凍食品製造業(前号に規定する営業と併せて第九号に規定する営業に係る食肉の処理をする営業又は第十一号、第十六号若しくは第二十四号に規定する営業に係る食品(冷凍品に限る。)を製造する営業をいう。)
二十九 漬物製造業(漬物を製造する営業又は漬物と併せて漬物を主原料とする食品を製造する営業をいう。)
三十 密封包装食品製造業(密封包装食品(レトルトパウチ食品、缶詰、瓶詰その他の容器包装に密封された食品をいう。)であつて、その保存に冷凍又は冷蔵を要しないもの(冷凍又は冷蔵によらない方法により保存した場合においてボツリヌス菌その他の耐熱性の芽胞を形成する嫌気性の細菌が増殖するおそれのないことが明らかな食品であって厚生労働省令で定めるものを除く。)を製造する営業(前各号に該当するものを除く。)をいう。)
三十一 食品の小分け業(専ら第十一号、第十三号(固形物の製造に係る営業に限る。)、第十五号、第十六号、第十九号、第二十号又は第二十二号から第二十九号までに該当する営業において製造された食品を小分けして容器包装に入れ、又は容器包装で包む営業をいう。)
三十二 添加物製造業(法第十三条第一項の規定により規格が定められた添加物の製造(小分けを含む。)をする営業をいう。)

(公衆衛生に与える影響が少ない営業)
第三十五条の二法第57条第1項に規定する公衆衛生に与える影響が少ない営業として政令で定めるもの(営業の届け出対象外)は、次のとおりとする。
一 食品又は添加物の輸入をする営業
二 食品又は添加物の貯蔵のみをし、又は運搬のみをする営業(食品の冷凍又は冷蔵業を除く。)
三 容器包装に入れられ、又は容器包装で包まれた食品又は添加物のうち、冷凍又は冷蔵によらない方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化により食品衛生上の危害の発生のおそれがないものの販売をする営業
四 器具又は容器包装(第一条に規定する材質以外の原材料が使用された器具又は容器包装に限る。)の製造をする営業
五 器具又は容器包装の輸入をし、又は販売をする営業

(営業の許可に関する経過措置)
 第九条この政令の施行の際現に第一条の規定による改正前の食品衛生法施行令(次条及び第十一条において「旧施行令」という。)第三十五条各号の営業に該当しない営業(第一条の規定による改正後の食品衛生法施行令(次条及び第十一条において「新施行令」という。)第三十五条各号の営業のいずれかに該当する営業に限る。)を行っている者は、食品衛生法等の一部を改正する法律(次条及び第十二条において「改正法」という。)第二条の規定による改正後の食品衛生法(以下「新法」という。)第五十五条第一項の規定にかかわらず、この政令の施行の日(次条及び第十一条において「施行日」という。)から起算して三年を経過する日までの間は、同項の許可を受けないで当該営業を行うことができるものとする。

(営業の届出に関する経過措置)
 第十条この政令の施行の際現に改正法第二条の規定による改正前の食品衛生法(次条において「旧法」という。)第五十二条第一項の許可を受けて旧施行令第三十五条各号の営業(新施行令第三十五条各号の営業のいずれにも該当しない営業に限る。)を行っている者は、新法第五十七条第一項及び改正法附則第八条の規定にかかわらず、施行日に新法第五十七条第一項の規定による届出をしたものとみなす。

(食品若しくは添加物又は器具若しくは容器包装の回収に関する経過措置)
 第十二条新法第五十八条第一項の規定は、改正法第二条の規定の施行の日以後に着手された同項に規定する食品若しくは添加物又は器具若しくは容器包装の回収について適用する。

(施行期日)
 第一条この政令は、食品衛生法等の一部を改正する法律(次条において「改正法」という。)附則第一条第三号に掲げる規定の施行の日(2021(令和3)年六月一日)から施行する。

(食品衛生法施行令の一部改正に伴う経過措置)
 第二条この政令の施行の際現に改正法第二条の規定による改正前の食品衛生法(以下この条において「旧法」という。)第五十二条第一項の許可を受けて第一条の規定による改正前の食品衛生法施行令(次項において「旧施行令」という。)第三十五条各号の営業(第一条の規定による改正後の食品衛生法施行令第三十五条各号の営業のいずれかに該当する営業に限る。)を行っている者は、当該許可に係る旧法第五十二条第三項の有効期間の満了の日までの間は、なお従前の例により当該営業を行うことができる。

2 この政令の施行の際現に旧法第五十二条第一項の許可を受けて旧施行令第三十五条第二十三号及び第二十四号の営業を同一の施設において行っている者又は同条第二十五号及び第二十六号の営業を同一の施設において行っている者は、前項の規定にかかわらず、当該者が行っている当該それぞれの営業の許可に係る旧法第五十二条第三項の有効期間が満了する日のうちいずれか遅い日までの間は、なお従前の例により当該それぞれの営業を行うことができる。

4 食品表示法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令公布(政令第一二五号)

 2019(令和元)年10月9日、標記政令が政令第125号(消費者庁)として公布された。その主な内容は次の通り。

食品表示法第15条の規定による権限の委任等に関する政令の一部改正
 食品表示法第10条の2第1項(食品関連事業者等が食品の安全性に関する食品表示基準に従った表示がされていない食品の自主回収を行う場合、行政機関への届出を義務付け。)の規定による届出の受理及び当該届出に係る同条第2項の規定による公表に関する事務を都道府県知事等が行うこととした。(施行期日2021(令和3)年6月1日)

5 食品衛生法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令

 2019(令和元)年11月7日、標記省令が厚生労働省令第68号として公布された。これは、平成30年6月13日公布された食品衛生法等の一部を改正する法律及び2019(令和元)年10月9日公布された関係政令に基づく省令で、2020(令和元2)年6月1日施行されるHACCPに沿った衛生管理等について規定された。その主な内容は次の通り。

(1)法第10条第2項に基づき輸入食品で衛生証明書の添付が必要な食品として、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令第2条第1項に規定する乳(常温保存可能品を除く。)及び同省令第2条第12項に規定する乳製品(バターオイル、チーズ(プロセスチーズに限る。)、アイスクリーム類、調製粉乳、調製液状乳、乳酸菌飲料及び乳飲料を除く。)が規定された。

(2)法50条の2第1項第1号(一般的な衛生管理)に関する基準が別表第17として、同条第1項第2号(HACCPに沿った衛生管理)に関する基準として別表18として規定された。

(3)営業者は、法第50条の2第2項の規定に基づき、別紙17及び18の基準に従い、次に定めるところにより公衆衛生上必要な措置を定め、これを遵守しなければならない。

一 食品衛生上の危害の発生の防止のため、施設の衛生管理及び食品又は添加物の取扱い等に関する計画(以下「衛生管理計画」という。)を作成し、食品又は添加物を取り扱う者及び関係者に周知徹底を図ること。
二 施設設備、機械器具の構造及び材質並びに食品の製造、加工、調理、運搬、貯蔵又は販売の工程を考慮し、これらの工程において公衆衛生上必要な措置を適切に行うための手順書下「手順書」という。)を必要に応じて作成すること。
三 衛生管理の実施状況を記録し、保存すること。なお、記録の保存期間は、取り扱う食品又は添加物が使用され、又は消費されるまでの期間を踏まえ、合理的に設定すること。
四 衛生管理計画及び手順書の効果を検証し、必要に応じてその内容を見直すこと。

(4)次に定める営業者にあっては、上記(3)第1号中「作成し、」を「必要に応じて作成し、」と、同第3号中「記録し、保存すること。」を「必要に応じて記録し、保存すること。」と読み替えて適用する。

一 食品又は添加物の輸入をする営業を行う者
二 食品又は添加物の貯蔵のみをし、又は運搬のみをする営業を行う者(食品の冷凍又は冷蔵業を営む者を除く。)
三 容器包装に入れられ、又は容器包装で包まれた食品又は添加物のうち、冷凍又は冷蔵によらない方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化により食品衛生上の危害の発生のおそれのないものの販売をする営業を行う者
四 器具又は容器包装の輸入をし、又は販売をする営業を行う者

(5)政令で委任された小規模市業者として、飲食店営業を行う者(法第62条第3項に規定する学校、病院その他の施設における当該施設の設置者又は管理者を含む。)、菓子製造業のうち、パン(比較的短期間に消費されるものに限る。)を製造する営業を行う者, そうざい製造業を行う者,食品を製造し、加工し、貯蔵し、販売し、又は処理する営業を行う者のうち、食品の取扱いに従事する者の数が50人未満である事業場を有する営業者等が規定された。

(6)小規模市業者にあっては、HACCPに沿った衛生管理に関する基準、別表18中の8において、その取り扱う食品の特性又は営業の規模に応じ、別表18の各号に掲げる事項を簡略化して公衆衛生上必要な措置を行うことができるとした。

(7)合成樹脂の原材料が使用された器具又は容器包装を販売し、又は販売の用に供するために製造し、若しくは輸入する者は、法第50条の4第1項の規定による器具又は容器包装の販売の相手方に対する説明について、次の各号に定めるところにより行わなければならない。

一 説明の対象となる器具又は容器包装を特定し、それが法第50条の4第1項第1号又は同項第2号のいずれかに該当することが確認できる情報を伝達すること。
二 前号に規定する情報の伝達を実施するための体制を整え、前号の情報に変更があつた場合は、当該情報を速やかに伝達すること。