「食品衛生行政」国の動き 2020(令和2)年1月

(株)中部衛生検査センター 学術顧問
森田邦雄

1 食品衛生法施行規則の一部を改正する省令及び食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について

 2020(令和2)年1月15日、厚生労働省は大臣官房生活衛生・食品安全審議官名をもって各都道府県知事等宛標記通知を出した。主な内容は次の通り。

 省令関係として、食品衛生法第10条の規定に基づき、二炭酸ジメチルを新たな添加物として省令別表第1に追加したこと。(殺菌剤)
 規格基準告示関係として法第11条第1項の規定に基づき、二炭酸ジメチルについて添加物の規格基準を設定したこと。
 使用基準関係として、二炭酸ジメチルは飲料に添加後、時間の経過に伴い二酸化炭素とメタノールに加水分解され、飲料中には残存しないとされていることから、二炭酸ジメチルを使用した製品を販売する場合、製造後、十分な時間が経過した後消費されるよう、製造から出荷までの期間に留意すること。
 これらは、公布日から施行するものであること。

https://www.mhlw.go.jp/content/000584679.pdf

2 食品衛生責任者の取扱いについて

 2020(令和2)年1月17日、厚生労働省は医薬・生活衛生局食品監視安全課長名をもって各都道府県等衛生主管部(局)長宛標記通知を出した。これは、先に改正された食品衛生法施行規則の別表第17において、営業者は、施設の衛生管理にあたって中心的な役割を担う者として食品衛生責任者を定めることとされ、併せて食品衛生責任者の資格要件が規定され、食品衛生に関する一定の知識を有する者のほか、都道府県知事等が行う講習会又は都道府県知事等が適正と認める講習会(以下「養成講習会」という。)を受講した者とされ、食品衛生責任者について全国的に統一的な取扱いがなされるよう、次の通り、養成講習会の標準的なプログラムが示されたものである。

1.養成講習会の科目及び時間は、次を標準とすること。
(一) 食品衛生学 2.5時間
 主要な食中毒、健康被害及び食品事故並びにその原因(微生物、自然毒、化学物質・汚染物質、異物等)
 食中毒等の発生を防止するための基本的な対応
 施設・設備の衛生管理(5S(整理、整頓、清掃、清潔、習慣)を含む。)
 基本的な食品の取扱い(食中毒予防の3原則を含む。)
 食品取扱者等の衛生管理(感染症の予防対策を含む。) 等

(二) 食品衛生法 3時間
 食品衛生法の全体像
 自主的な衛生管理に関すること
 営業者の責務(衛生管理計画及び手順書の作成、食品取扱者等への周知、衛生管理の実施状況の記録及びその保存並びに衛生管理の検証)
 一般衛生管理及びHACCP に沿った衛生管理の基準
 小規模事業者等による手引書の活用方法 等
 自主回収報告制度に関すること
 営業規制に関すること(許可、届出、施設基準)
 その他食品衛生関連法規に関すること 等

(三) 公衆衛生学 0.5時間
 環境衛生
 労働衛生 等

(四) 確認試験
 講義の理解度及び知識の定着度を確認するための試験
計6時間程度
 なお、既に食品衛生責任者となっている者の取扱いについて、平成7年7月11日付け衛食第131 号の取扱いに基づき、都道府県等が既に食品衛生責任者と認めた者については、引き続き食品衛生責任者たる者として取り扱って差し支えないこと。ただし、HACCP に沿った衛生管理を含む自主的な衛生管理の推進等、標準プログラムに新たに追加された内容については、実務講習会の受講等を通じて、標準的な養成講習会を受講した者と同等以上の知見等を習得させること。

https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000586453.pdf

3 菌末を添加した調製粉乳に係る厚生労働大臣の承認に関する追加申請事項について

 2020(令和2)年1月23日、厚生労働省は医薬・生活衛生局食品監視安全課長名をもって各都道府県等衛生主管部(局)長宛標記通知を出した。その主な内容は次の通り。

 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令別表の二の(五)の(6)の規定に基づく調製粉乳に関する厚生労働大臣の承認については、「乳等に使用する添加物、乳等の容器包装等に係る厚生大臣の承認について」(平成9年通知)により、その申請手続等を定めているところ、今般、調製粉乳のうち、離乳食で不足しがちな栄養を補うための調製粉乳(フォローアップミルク)に菌末を添加した製品に関する追加の申請事項を定め、平成9年通知を改正した。
 今後、菌末を添加したフォローアップミルクの承認審査においては、従前より求めている資料に加え、追加申請事項に定める資料の提出が必要となる。
 添加菌株は、国内で調製粉乳その他の乳幼児が摂取する食品により使用実績があるBifidobacterium 属菌又はLactobacillus 属菌であり、属(Genus)、種(Species)、菌株(Strain)が遺伝学的に同定されていること。
 また、添加する菌量については、申請を行う調製粉乳の摂取対象月齢において、当該調製粉乳から摂取される菌量が、国内に流通する添加菌株が使用された食品等と比較し同等以下であること。

https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000588772.pdf

4 食品安全委員会食品安全総合情報システム

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/search?keyword=%EF%BC%AC%EF%BC%A4%EF%BC%95%EF%BC%90&query=&logic=and&calendar=japanese&year=&from=struct&from_year=2019&from_month=12&from_day=14&to=struct&to_year=2020&to_month=01&to_day=09&areaId=00&countryId=000&informationSourceId=0000&max=100&sort_order=date.desc
 2020(令和2)年1月27日公表した標記情報に次の記事が登載されている。

(1)カナダ公衆衛生庁(PHAC)、一部のサラミソーセージが原因と見られるサルモネラ属菌集団感染に関する調査の最新情報を公表(2019年12月23日時点) カナダ公衆衛生庁(PHAC)は12月23日、一部のサラミソーセージが原因と見られるサルモネラ属菌集団感染に関する調査の最新情報(最終報告)を公表した。
(2019年12月23日時点)
 当該集団感染は終息したと考えられることから、今回が最終の情報提供であり、調査は終了した。
 調査結果から、FilicettiブランドのItalian Style mild, dry, cured sausageが感染源の一つとして特定された。
 2019年12月23日時点で、Salmonella Litchfield感染確定症例が、2州(オンタリオ州及びケベック州)で13人確認されている(訳注:前回10月23日時点と比べ1人増)。患者は2019年5~10月に発病した。1人が入院した。死亡者は報告されていない。患者の年齢は4~81歳で、過半数(54%)が女性であった。
 Salmonella Litchfieldは稀なサルモネラ属菌で、カナダではあまり見られない。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu05290330477

(2)米国疾病管理予防センター(CDC)、ロメインレタスに関連した複数州における腸管出血性大腸菌O157:H7集団感染に関する続報を公表
米国疾病管理予防センター(CDC)は12月19日、ロメインレタスに関連した複数州における腸管出血性大腸菌O157:H7集団感染に関する続報を公表した(11月20日初報) 概要は以下のとおり。

1. CDC、複数州の公衆衛生及び規制当局並びに米国食品医薬品庁(FDA)は、カリフォルニア州サリナスの栽培地帯で収穫されたロメインレタスに関連した複数州における腸管出血性大腸菌O157:H7集団感染症に関して引き続き調査を行っている。
2. 前回12月4日の更新以降、36人の追加患者が報告された。2019年12月17日現在、腸管出血性大腸菌O157:H7集団感染株の感染者計138人が25州(ウィスコンシン州、ペンシルベニア州、オハイオ州他)から報告されている。
3. 発症日は2019年9月20日から12月1日まで、患者の年齢は1歳未満から89歳、年齢の中央値は26歳である。62%が女性である。情報の得られた136人のうち、腎不全の一種である溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症した13人を含む72人が入院した。死亡者は報告されていない。
4. 疫学、検査及び遡及調査のエビデンスは、カリフォルニア州サリナスの栽培地帯に由来するロメインレタスが、本集団感染の原因である可能性が高いことを示している。
5. ウィスコンシン州保健局は最近、患者宅から回収したFresh ExpressブランドのLeafy Green Romaineの未開封の袋で腸管出血性大腸菌O157:H7集団感染株を確認したと報告した。袋で確認されたロメインレタスの産地はカリフォルニア州サリナスであった。
6. FDA及び州当局は、患者が喫食したロメインレタスの供給源を引き続き追跡している。
7. CDCは引き続き、カリフォルニア州サリナスで栽培されたロメインレタスを消費者が喫食、小売業者が販売しないよう勧告している。
 当該勧告は、カリフォルニア州サリナスで栽培された全ての種類のロメインレタスが対象であり、ロメインレタスの株全体、有機栽培のロメインレタス、中の柔らかい部分、サラダラップに入ったロメインレタス、カット済みロメインレタス、サラダミックス等(ベビーロメイン、スプリングミックス、シーザーサラダ等)が該当する。「屋内栽培」と表示されている可能性がある水耕栽培及び温室栽培のロメインレタスは、どの地域からのものも現在の集団感染とは関連がないようである。
 栽培地の表示がない場合や、レタスがロメインレタスなのか、あるいはサラダミックス、サラダラップにロメインレタスが含まれているかどうか不明である場合は喫食せずに捨てること。
8. 当該集団感染は、2017年の葉物野菜及び2018年のロメインレタスに関連する集団感染の原因となった腸管出血性大腸菌O157:H7集団感染株と同じ株が原因となっている。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu05290310104