「食品衛生行政」国の動き 2020(令和2)年2月

(株)中部衛生検査センター 学術顧問
森田邦雄

1 食品安全委員会食品安全総合情報システム

 2020(令和2)年1月27日公表した標記情報に次の記事が登載されている。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/search?keyword=%EF%BC%AC%EF%BC%A4%EF%BC%95%EF%BC%90&query=&logic=and&calendar=japanese&year=&from=struct&from_year=2020&from_month=01&from_day=25&to=struct&to_year=2020&to_month=02&to_day=06&areaId=00&countryId=000&informationSourceId=0000&max=100&sort_order=date.desc

(1)欧州疾病予防管理センター(ECDC)、サルモネラ症に関する2017年疫学報告書を公表
 欧州疾病予防管理センター(ECDC)は、1月30日、サルモネラ症に関する2017年疫学報告書(8ページ)を公表した。
 主な内容は以下のとおり。

1. サルモネラ症は欧州連合/欧州経済領域(EU/EEA)において2番目に多く報告された胃腸感染症であり、集団食中毒の重要な原因である。
2. 2017年は92,649件の検査確定症例が報告され、うち156名が死亡している。
3. EU/EEAでの届出率は人口10万対19.6症例であった。
4. サルモネラ症届出率は長期間低減傾向にあったが、その後の直近5年間は一定であった。
5. 届出率は0~4歳児が人口10万対94.1症例で最も高く、成人(25~64歳)の8倍であった。
6. 2017年では、サルモネラ属菌は集団食中毒の原因として最も多く、報告された集団食中毒事例の24%(1,241件)を占めた。卵及び卵製品が引き続き集団感染の媒介物として最も多く確認されている。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu05310340470

(2)欧州疾病予防管理センター(ECDC)、リステリア症に関する2017年疫学報告書を公表
 欧州疾病予防管理センター(ECDC)は、1月30日、リステリア症に関する2017年疫学報告書(6ページ)を公表した。
 主な内容は以下のとおり。

1. 2017年は、欧州連合/欧州経済領域(EU/EEA)の30か国からリステリア症確定症例が2,502件報告された。
2. EU/EEAの年齢調整届出率は人口10万対0.42症例であった。
3. 64歳超の人々で最も高い届出率(人口10万対1.7症例)がみられた。
4. EU/EEAにおけるリステリア症の年間症例数は増加傾向を示している。2013~2017年の期間で、EU加盟5か国(ドイツ、イタリア、オランダ、ポーランド及びスペイン)で有意な増加傾向が報告され、有意な減少傾向がみられた加盟国はなかった。EU/EEAレベルでの増加は、高齢で感受性の高い人々の人口規模の絶対的増加が原因の一部の可能性がある。
5. 2017年では、合計10件(合計39症例を含む)のリステリア・モノサイトゲネスの集団感染が欧州食品安全機関(EFSA)に報告された。これらの集団感染のうち4件は強固なエビデンスのある集団感染としてオーストリア(2件)、デンマーク(1件)及びスウェーデン(1件)から報告された。関連した食品のカテゴリーは「チーズ」、「魚及び魚製品」、「肉及び肉製品」、及び「野菜及び野菜ジュース並びにこれらに関連する他製品」であった。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu05310350470

2 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う中国産輸入原材料の供給不足を受けた食品表示法に基づく食品表示基準の運用について

 2020(令和2)年3月3日、消費者庁及び農林水産省は表示対策課長及び消費・安全局消費者行政・食育課長名の連名で各都道府県等食品表示主管部(局)長宛標記通知を出した。
 その内容は次の通り。

 中国における新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う中国産輸入原材料の供給不足を受け、中国産として原料原産地表示を行っている商品について、原料原産地表示の中国産との表記と実際に使用されている原材料の原料原産地に齟齬(そご)がある場合であっても、一般消費者に対して、店舗等内の告知、社告、ウェブサイトの掲示板等により当該商品の適正な原料原産地に係る適切な情報伝達がなされている場合に限り、食品表示基準を弾力的に運用する旨。
 今回の運用は、食品の生産及び流通の円滑化を図るために講じるものであり、消費者を欺瞞(ぎまん)するような悪質な違反に対しては、これまでどおり厳正な取締りを行う。

https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/kansa/attach/pdf/200303-1.pdf