アニキサス食中毒に注意しましょう!

 近年、下に示したアニサキス食中毒発生状況のとおり患者数が急増しており、厚生労働省は、注意喚起を促しています。クジラやイルカの捕獲頭数が減少し、海洋での頭数が増加していることが一因と考える専門家もいるようです。
 回虫目アニサキス科アニサキス属のアニサキス線虫は、海洋ほ乳類(クジラやイルカ等)の消化管内に寄生しています。糞と共に海中に放出されたアニサキス線虫の虫卵や第1期幼虫は、オキアミに捕食され、さらに、サバ、サケ、ニシン、スルメイカ、イワシ、サンマ等にオキアミと共に捕食され、第3期幼虫(以下、アニサキス幼虫:体長2~3cm、幅0.5~1mm、白色の少し太い糸のように見える幼虫)に成長し、内臓表面や筋肉内に寄生します(厚生労働省資料写真参照)。
 このアニサキス幼虫を生あるいは半生のサバ、サケ、ニシン、スルメイカ、イワシ、サンマ等と共に喫食すると4~5時間後にアニサキス幼虫が胃壁や腸壁に潜り込むことで突然に激しい腹痛、吐気・嘔吐が起ります。内視鏡検査によりアニサキス幼虫を確認し、鉗子で取り除くことで症状は改善されます。


なお、令和元年において、336名の患者が確認されています。

厚生労働省資料写真


次の事項に注意して、アニサキス食中毒の発生を予防しましょう。
1.アニサキス幼虫は、60℃で1分以上或いは70度以上で数秒の加熱又は-20℃で24時間以上の冷凍で死滅するので、これらの処理をした魚を喫食する。
2.アニサキス幼虫は、魚が死亡すると内臓から筋肉に移動するので、鮮度に注意すると共に速やかに内臓を取り除く。
3. 魚の内臓は、生食しない。
4. 魚に寄生しているアニサキス幼虫を目視で確認し、虫体が有れば除去してから喫食する。
なお、アニサキス幼虫は、一般的に料理で使用する酢、塩、醤油、ワサビでは死滅しません。