「食品衛生行政」国の動き 2020(令和2)年8月

(株)中部衛生検査センター 学術顧問
森田邦雄

1 食品等の自主回収届等に関する様式及び記載要領について

 令和2年8月3日、厚生労働省は医薬・生活衛生局食品監視安全課長名をもって各都道府県衛等衛生主管部 (局)長宛標記通知を出した。
 これは、改正食品衛生法に基づき、令和3年6月1日から、食品等事業者は、食品等が食品衛生法の規定に違反し、又はそのおそれがあるとして自主回収する場合は、都道府県知事等に届け出ることとなったことから、当該報告の様式及び記載要領を示したものである。

https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000659764.pdf

2「食品安全総合情報システム」公表

 令和2年9月2日、食品安全委員会が公表した標記システムに次の記事が掲載されている。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/search?keyword=%EF%BC%AC%EF%BC%A4%EF%BC%95%EF%BC%90&query=&logic=and&calendar=japanese&year=&from=struct&from_year=2020&from_month=07&from_day=23&to=struct&to_year=2020&to_month=08&to_day=14&areaId=00&countryId=000&informationSourceId=0000&max=100&sort_order=date.desc

 米国疾病管理予防センター (CDC)は、2020年8月7日、たまねぎと関連した複数州にわたるサルモネラ・ニューポート(Salmonella Newport)集団感染についての続報を公表した。概要は以下のとおり。

1. CDC、複数州の公衆衛生及び規制当局、並びに米国食品医薬品庁(FDA)は、たまねぎと関連した複数州にわたるS. Newportの集団感染に関して調査を行っている。

2. Thomson International社のリコール対象のたまねぎあるいは当該たまねぎで作られた食品を喫食、提供、販売しないこと。たまねぎの種類には、赤、白、黄色及び黄色甘味種がある。他の企業も、リコール対象のたまねぎで作ったチキンサラダのような食品のリコールを公表している。当該たまねぎは、米国の全50州及びコロンビア特別区にある卸売業者、飲食店及び小売店に様々なブランド名で流通していた。

3. 2020年8月6日時点で、S. Newport集団感染株の感染者が640人、43州(ユタ州、オレゴン州、カリフォルニア州、モンタナ州、イリノイ州他)から報告されている。

4. 発症日は2020年6月19日から7月23日まで、患者の年齢は1歳未満から102歳、年齢中央値は39歳である。患者の54%が女性である。情報の得られた343人のうち、85人の入院が報告されている。死亡者の報告はない。

5. 患者から分離された48菌株の全ゲノムシークエンス解析(WGS)では、いずれの薬剤耐性も予測されなかった。CDCの全米薬剤耐性監視システム(NARMS)検査機関による標準薬剤感受性試験が実施中である。

6. 疫学及び遡及調査の情報により、赤たまねぎ(red onion)が当該集団感染の原因である可能性が高いことが示された。当該集団感染の患者クラスターからの情報により、多くの患者が赤たまねぎを喫食したことが示された。収集された遡及情報により、カリフォルニア州ベーカーズフィールドのThomson International社が、赤たまねぎの供給源である可能性が高いことが判明した。たまねぎの栽培及び収穫方法のため、白、黄あるいは黄色甘味種等、他の種類のたまねぎも汚染している可能性がある。他のたまねぎが集団感染に関連しているかどうかを判断するために、追加の遡及調査が進行中である。

7. WGSによって、カナダのS. Newport集団感染は米国の当該集団感染と(その原因株が)遺伝的に関連していることが示された。2020年7月30日、カナダ公衆衛生庁(PHAC)の集団感染の調査により、米国の赤たまねぎが感染源である可能性が高いと確認された。

8. 2020年8月1日、Thomson International社は、サルモネラ属菌汚染の可能性があるため、赤、白、黄及び黄色甘味種のたまねぎを自主的にリコールした。

https://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu05430510104