食中毒発生状況(2020.1.1~8.31)

 厚生労働省の発表では、この間に発生した食中毒は、下表のとおり件数が368件、患者数が3,999名であり、前年同時期の件数が713件、患者数が9.709名と比較して大幅に減少していた。これは新型コロナウイルス感染症の発生が主な要因と考えられた。

 件数別では、1位がアニサキス食中毒の164件(44.6%)、2位がノロウイルス食中毒の71件(19.3%)、3位がカンピロバクター食中毒の57件(15.5%)、患者数別では、1位がノロウイルス食中毒の1,944名(48.61%)、2位がウエルシュ菌食中毒の559名(13.98%)、3位がその他の病原大腸菌食中毒の378名(9.45%)、4位がカンピロバクター食中毒の256名(6.4%)であった。

 患者数が50名を超える大型食中毒は、15件あり、ノロウイルス食中毒が9件(最大患者数309名)、ウエルシュ菌食中毒が3件(最大患者数183名)、サルモネラ食中毒が2件(最大患者数95名)、その他の病原大腸菌食中毒が1件(患者数378名)であった。なお、その他の病原大腸菌食中毒は、6月に大阪市の飲食店で発生したチャーシュー及びラーメンを原因食品とする事例で、喫食者390名中378名が患者となっている。

 近年、アニサキス食中毒および自然毒食中毒の発生が増加しており、植物性自然毒食中毒では山芋に似ているグロリオサ球根の誤食で1名の死者が発生している。また、「給食病」とも呼ばれているウエルシュ菌食中毒も給食施設で発生しており、注意が必要である。


表 病因物質別食中毒発生状況
病 因 物 質 件   数 患 者 数
ウイルス(ノロウイルス) 71 (19.3%) 1944 (48.61%)
ウイルス(その他のウイルス) 1 (0.3%) 24 (0.6%)
寄生虫(アニサキス) 164 (44.6) 168 (4.2%)
寄生虫(クドア) 6 (1.6%) 73 (1.83%)
寄生虫(その他) 1 (0.3%) 1 (0,03%)
細菌(カンピロバクター属菌) 57 (15.5%) 256 (6.4%)
細菌(ウエルシュ菌) 10 (2.7%) 559 (13.98%)
細菌(サルモネラ属菌) 9 (2.4%) 268 (6.7%)
細菌(黄色ブドウ球菌) 7 (1.9%) 95 (2.38%)
細菌(その他の病原大腸菌) 1 (0.3%) 378 (9.45%)
化学物質 7 (1.9%) 113 (2.83%)
自然毒(植物性) 11 (3.0%) 22 (0.55%)
自然毒(動物性) 18 (4.9%) 32 (0.8%)
その他 2 (0.5%) 6 (0.15%)
不明 3 (0.8%) 60 (1.5%)
合計 368 3,999

(株)中部衛生検査センター 増田