「食品衛生行政」国の動き 2021(令和3)年2月

 
(株)中部衛生検査センター顧問
森田邦雄
 

1 食品衛生法第57条に基づく営業届について

 令和3年2月10日、厚生労働省は、医薬・生活衛生局食品監視安全課長名をもって各都道府県等衛生主管部(局)長宛標記通知を出した。

 これは、食品衛生法(以下「法」という。)第57条(本通知内での条番号については、令和3年6月1日時点のもの)に基づく営業届に関し、その取扱いを示したもので、その主な内容は次の通り。

(1)食品衛生申請等システムによる受付等
 食品衛生申請等システムによる、法第57 条に基づく営業届の受付については、本年2月15日からの利用開始とする。

(2)法第57条に基づき届出が必要となる営業者
 法第57条に基づき届出が必要となる営業(以下「届出業種」という。)については、同条において、「営業(法第54 条に規定する営業、公衆衛生に与える影響が少ない営業で政令に定めるもの及び食鳥処理の事業を除く。)」とされているところです。これまで、法第55 条に基づく営業許可を有する事業者(以下「許可営業者」という。)が併せて届出業種を営んでいる場合には、法第57条に基づく届出は不要と説明していたが、改めて精査し、許可営業者であっても、届出業種を営む場合には別途、同条に基づく届出が必要と整理した。なお、複数の届出業種を営んでいる場合は、代表的な業種について届出を求めることとする。

これに関連し、同日、令和2年3月31日付け薬生食監発0331第11号「営業許可申請・届出等に関する様式、記載要領及び添付書類取扱いについて」(厚生労働省医薬・生活衛生局食品監視安全課長通知)の内容について、改正する通知が出された。

 

2 食品表示法第10条の2第1項の規定に基づく食品の自主回収の届出について

 令和3年2月26日、消費者庁は次長名をもって各都道府県知事等宛標記通知を出した。これは、「食品表示法第10条の2第1項の規定に基づく食品の自主回収の届出」を新たに定め、その運用を示したもので、その主な内容は次の通り。

また、食品表示法違反等の食品について、食品衛生上の問題がなく、かつ表示の是正をすることが可能な場合においては、表示の是正を行った上で、食品としての利用を図るなど、過剰な回収による食品ロスにつながらないよう、併せて食品関連事業者等へ助言するようにとしている。

 届出の対象は、食品表示法第10条の2第1項に定めるとおり、食品関連事業者等が、食品表示法第6条第8項に規定するアレルゲン、消費期限、食品を安全に摂取するために加熱を要するかどうかの別その他の食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす事項等を定める内閣府令で定める事項について、食品表示基準に従った表示がされていない食品の販売をした場合において、自ら当該食品を回収した場合とする。なお、消費期限及び賞味期限を超過した食品であっても、同様に自ら当該食品を回収した場合、届出を要することに留意すること。

 また、食品関連事業者等が、食品の自主回収の届出を既に行っている場合であっても、当該食品による消費者の生命又は身体に対する危害が報告されている場合には、当該食品関連事業者等の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事等は、法第6条第8項の規定に基づき、回収等の命令の措置を検討すること。

 なお、法第10条の2第1項の規定によらないものの、アレルゲンのうち「特定原材料に準ずるもの」の表示不備を理由として食品関連事業者等が自主回収を行った場合、当該食品関連事業者等の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事は、消費者の生命又は身体に対する危害の発生防止の観点から、当該食品関連事業者等に対し、積極的な届出を促すこと。

食品の自主回収の届出に当たっては、食品衛生法第58条第1項の規定に基づく届出と同様に、厚生労働省の電子申請システムの活用を推奨すること。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/amendment_001/assets/food_labeling_cms204_210226_01.pdf