「食品衛生行政」国の動き 2022(令和4)年5月

 
(株)中部衛生検査センター顧問
森田邦雄
 

1 令和4年度食品、添加物等の夏期一斉取締りの実施について

 令和4年5月20日、厚生労働省は大臣官房生活衛生・食品安全審議官名をもって各都道府県知事等宛標記通知を出した。

 その概要は次の通り。
 食品衛生法第22条の規定に基づく食品衛生に関する監視指導の実施に関する指針(平成15年厚生労働省告示第301号)第3の6に基づき、夏期に多発する食中毒の発生防止を図るとともに、積極的に食品衛生の向上を図る見地から、全国一斉に標記取締りを行うこととしましたので、別添の実施要領(未公表)に基づき遺漏なく実施するようお願いします。

 本実施要領は、夏期一斉取締りの実施に当たっての基本的事項のみを示しているため、各都道府県等において、都道府県等食品衛生監視指導計画等に基づき、適宜事項を追加して実施してください。(例年7月に実施)

 また、監視指導の結果、汚染食品を発見した場合のほか、食中毒が発生した場合には、流通経路の遡り調査を徹底して行い、汚染源を排除するための適切な措置を講ずるとともに、関係機関に対して速やかに情報提供するようお願いします。

 なお、一斉取締りの取りまとめ結果については、公表することとしていますので、御了知ください。

https://www.mhlw.go.jp/content/000941198.pdf

2 食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書

 令和4年6月7日、消費者庁は標記報告書を掲載した。

 主な内容は次の通り。
 【目 次】
1.即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査
2.落花生アレルギーが疑われる患者に対する段階的な落花生経口負荷試験の実効性と安全性の検証
3.特定原材料等による食物アレルギーの臨床像に関する検討
4.木の実類アレルギーに対する少量経口免疫療法の有効性と安全性の検証

・調査目的
 我が国の即時型食物アレルギーの変遷と現状を明らかにし、“食品表示法に基づくア レルゲンを含む食品に関する表示”の特定原材料等の妥当性や改正の必要性を検討し、また、同法の遵守の状況を推測する。これ以外にも最新の大規模な食物アレルギーの疫学情報を基礎研究や臨床研究の資料として提供する。

・即時型食物アレルギーの原因食物
1)粗解析(図2,表1)
 原因食物は鶏卵が最も多く 33.4%(2,028 例)を占めた。以下、牛乳が 18.6%(1,131 例)、木の実類が 13.5%(819 例)であった。前回の調査まで原因食物の上位3品目は鶏卵・牛乳・小麦であったが、今回の調査では木の実類の割合が増加し、第3位となった(前回 8.2%、第4位)。落花生までの上位5品目で 80.4%を占め、さらに、魚卵、果実類、甲殻類、魚類、大豆、ソバと続いた。木の実類の内訳を表1に示す。クルミが 463 例(木の実類の 56.5%)で最も多く、全体に対する割合は 7.6%で、落花生の 6.1%より上位であった。次いで、カシューナッツが 174 例(木実類の 21.2%)、マカダミアナッツ 45例(木の実類の 5.5%)が上位3品目であった。その他は、アーモンド、ピスタチオ、ペカンナッツ、ヘーゼルナッツ、ココナッツ、カカオ、クリ、松の実の報告があった。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/assets/food_labeling_cms204_220601_01.pdf

 

3 食品表示の適正化に向けた取組について

 令和4年6月8日、消費者庁は、食品衛生の監視指導の強化が求められる夏期において、食品の表示・広告の適正化を図るため、都道府県等と連携し、食品表示法等の規定に基づき下記の取組を実施することを公表した。

 その主な内容は次の通り。
 夏期一斉取締りの実施について
 国及び都道府県等においては、食品衛生の監視指導の強化が求められる夏期において、食中毒などの健康被害の発生を防止するため、従来から食品衛生の監視指導を強化してきたところですが、例年どおり、この時期に合わせ、食品等の表示の信頼性を確保する観点から、食品表示の衛生・保健事項に係る取締りの強化を全国一斉に実施します(別紙)。

(1)実施時期:令和4年7月1日から同月 31 日まで
(2)主な監視指導事項
ア アレルゲン、期限表示等の衛生・保健事項に関する表示
イ 保健機能食品を含めた健康食品に関する表示
ウ 生食用食肉、遺伝子組換え食品等に関する表示
エ 道の駅や産地直売所、業務用加工食品に関する表示
オ 食品表示基準に基づく表示方法の普及・啓発

https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms214_220608_01.pdf