「食品衛生行政」国の動き 2022(令和4)年11月

 
(株)中部衛生検査センター顧問
森田邦雄
 

1 食品表示の適正化に向けた取組について

 令和4年11月17日、消費者庁は表記について公表した。これは、10月25日、厚生労働省が公表した令和4年度食品、添加物等の年末一斉取締りの実施についてと連携するもので、その主な内容は次の通り。
 国及び都道府県等においては、食品衛生の監視指導の強化が求められる年末において、食中毒などの健康被害の発生を防止するため、従来から食品衛生の監視指導を強化してきたところですが、例年どおり、この時期に合わせ、食品等の表示の信頼性を確保する観点から、食品表示の衛生・保健事項に係る取締りの強化を全国一斉に実施します(別紙)。

(1)実施時期:令和4年12月1日から同月31日まで
(2)主な監視指導事項
ア アレルゲン、期限表示等の衛生・保健事項に関する表示
イ 保健機能食品を含めた健康食品に関する表示
ウ 生食用食肉、遺伝子組換え食品等に関する表示
エ 道の駅や産地直売所、業務用加工食品に関する表示
オ 食品表示基準に基づく表示方法の普及・啓発

https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms214_221117_01.pdf

2 食品添加物は危ないの?複合的な影響は?

 添加物に関する質問に食品安全委員会川西徹委員がお答えします

 令和4年11月17日、食品安全委員会は表記情報を公開した。
その主な内容は次の通り。
 食品安全委員会は7月から3回にわたって、添加物についてのリスクコミュニケーション「食品添加物のリスク評価をアップデート─評価指針を改定、ワイン添加物も続々評価─」を開催しました。報道関係者、食品安全モニター、事業者など300人あまりの方々に参加いただきました。

 各回とも前半では、食品安全委員会が昨年度に行なった添加物の評価指針改定について、化学物質のリスク評価を担当する川西徹委員が話題提供しました。そこで、主な質問について川西委員にウェブサイト上で解説してもらうことにしました。

 海外で禁止されている添加物がどうして日本で使われているの?日本は緩いの?添加物を複合して摂ったときのリスクは?なるべくなら動物試験はしてほしくないんだけど……。さまざまな質問、意見にお答えします。

Q&A
Q1. 添加物のリスク評価は、どのように行っているのか?
Q2. 海外と日本とで使える添加物の種類が異なるのはなぜ? 
日本は評価基準が緩いのか?
Q3. 複数の添加物を同時に摂取する「複合ばく露」をどう考えたらよいのか? 
食品内で添加物同士が反応して安全性が変わる可能性は?
Q4. 動物試験は減らせるか?
Q5. この添加物が危ない、というニュースが出た時、どういうところに注意して受け止めたらよいか?
Q6. 添加物に関する情報はどこにあるか?


https://www.fsc.go.jp/foodsafetyinfo_map/tenkabutsu_anzen.html

3 食品表示基準の一部改正等

 令和4年12月7日、消費者委員会食品表示部会において標記基準等の改正について検討された。その主な内容は次の通り。
(1)食物アレルギーに関する義務表示事項の追加
【概要】
食物アレルギーに関する表示について、医療機関等の専門家の意見を踏まえ、現在「特定原材料に準ずるもの」として任意の表示を奨励している「くるみ」について、義務表示と なる「特定原材料」に移行させる。
【施行期日】公布日から起算して2年間の経過措置を設ける。
(2)農林水産物・食品の輸出拡大のための輸入国規制への対応等に関する関係閣僚会議  輸出促進に向けた食品表示等のグローバル化対応については、令和4年12月5 日に開催された「第17回農林水産物・食品の輸出拡大のための輸入国規制への対応等に関する関係閣僚会議」において改訂された、農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略に、以下の通り盛り込まれた。

農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略(関係部分抜粋)(令和4年12月5日改訂)
○食料供給のグローバル化に対応し、①我が国の農林水産物及び加工食品の輸出促進と②国内で販売される輸入食品も含めた食料消費の合理的な選択の双方に資するため、現行の食品表示制度を国際基準(コーデックス規格)との整合性の観点も踏まえ見直す。

https://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/syokuhinhyouji/bukai/069/shiryou/index.html